【SF小説】感想「サイコテロリスト」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 727巻)(2024年12月18日発売)

サイコテロリスト (ハヤカワ文庫SF)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150124647
サイコテロリスト (ハヤカワ文庫SF) 文庫 2024/12/18
ペーター・グリーゼ (著), クルト・マール (著), 宮下 潤子 (翻訳)
出版社:早川書房 (2024/12/18)
発売日:2024/12/18
文庫:272ページ

【※以下ネタバレ】
 

ローダンらは自動緊急操縦の助けでペルセウスブラックホールのカンタロの罠から脱出し惑星シシフォスで船体の修理を行うが……


ペルセウス宙域で満身創痍となった“シマロン”は、五・三光年の距離にあったメガイラ星系へと向かった。その第一惑星シシュフォスに着陸し、修理と同時に周辺の探査を開始する。一方、首席船医ミドメイズはペドラス・フォッホの記憶解剖を開始した。捕虜となっていたときのかれの記憶は消されており、そこに重要な情報があると考えたからだ。やがて記憶解剖により引きだされたシーンのひとつにローダンの妻ゲシールが!?

 

あらすじ

◇1453話 未知なる敵(クルト・マール)(訳者:宮下 潤子)

 ローダンたちの乗艦《シマロン》は、ペルセウスブラックホール近傍の惑星「シシュフォス」になんとかたどり着き、その後生きていたアトランやロワ・ダントンたちと合流にも成功した。しかし《シマロン》のシントロニクスにシシュフォスのデータは存在せず、何故船がこの惑星に来たのか不明だった。

 ペドラス・フォッホの記憶を分析すると、カンタロがローダンの行方不明の妻ゲシールを知っていることが判明した。シシュフォスに何者かが設置したプロジェクターには助けを求めるゲシールの映像が収録されていた。さらにシシュフォスに無人宇宙船が着陸し、内部にはローダンの敵を自称する相手からの挑発メッセージと細胞サンプルが残されていたが、細胞はゲシールを母親とするテラナーの物だった。(時期:不明:NGZ1144年頃)

※初出キーワード=惑星シシュフォス(メガイラ星系第一惑星)



◇1454話 サイコテロリスト(ペーター・グリーゼ)(訳者:宮下 潤子)

 ローダンは未知の敵がゲシールの子供だと知って以降、何度も意識を失って倒れるようになり、医者は精神的ショックと診断するが、ローダンは未知の敵による「サイコテロ」だと考える。700年前にゲシールが消える前に残した映像を再確認したところ、映像は捏造であることが判明した。

 ロータンたちは惑星アルヘナへ移動し、生きていたイホ・トロトと再会するが、トロトは惑星ハルトの現状を確認しようとしたもののカンタロに追い払われていた。やがてローダンに付いていた医者が、実はカンタロが変装したスパイでサイコテロの実行犯だと判明し、カンタロは自爆した。ローダンはアダムスに惑星アルヘナの位置がカンタロに漏れたはずと警告し、ヴィッダーは本部を「惑星ヘレイオス」へ移動させることになった。(時期:NGZ1144年8月10日~8月29日)

※初出キーワード=セファイデン宙域。繁殖惑星シュウンガー。惑星ヘレイオス(恒星セリフォス第四惑星)


あとがきにかえて

宮下 潤子氏
・1993年に夫婦で台湾旅行をした話


感想

・前半エピソード「未知なる敵」 原タイトル:DER UNBEKANNTE FEIND(意訳:未知なる敵)

 シラグサ・ブラックホールから脱出したローダンたちは未知惑星で船の修理を始めるが……、という話。

 今まですっかり忘れられていたゲシールが突然話題の中心に躍り出たばかりか、謎の敵がいきなりローダンに挑戦状を叩きつけてきたため、ローダンも困惑していましたが、読者としても大混乱。「このサイクルはカンタロと戦う話じゃなかったのか……? 唐突にローダンの宿敵が登場……?」と困惑しきりでした。



・後半エピソード「サイコテロリスト」 原タイトル:PSYCHOTERROR(意訳:サイコテロ)

 ローダンに謎の敵からの心理攻撃が開始され……、という話。

 ローダン対謎の敵の対決の第二ラウンド。サイコテロの実行犯が、遠くにいる謎の敵ではなく、すぐそばにいた「実はそっくりに変装して入れ替わっていたニセモノだった」というオチがいささか脱力ものでした。あとアダムスは、ローダン一味と手を組んだばかりに、長年苦労した本拠地アルヘナを放棄する羽目になって、内心後悔してそう……
 
 
 

700巻~750巻(「カンタロ」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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