【SF小説】感想「シャツェンの博物館」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 613巻)(2020年3月18日発売)

シャツェンの博物館 (宇宙英雄ローダン・シリーズ613)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150122733
シャツェンの博物館 (宇宙英雄ローダン・シリーズ613) (日本語) 文庫 2020/3/18
クルト・マール (著), 若松 宣子 (翻訳)
文庫: 254ページ
出版社: 早川書房 (2020/3/18)
発売日: 2020/3/18

【※以下ネタバレ】
 

深淵の地のアトランとジェン・サリクは、まだグレイの国にされていないシャツェンへ向かう。そこを領主ムータンが攻撃してきた!


アトラン、ジェン・サリク、テングリ・レトス=テラクドシャンの深淵の三騎士および、そのオービターであるドモ・ソクラトとつむじ風ボンシンは、領主ムータンから奪ったゴンドラ5でコルツブランチをめざしていた。コルツブランチはソクラトが深淵に設立したコロニーで、ムータン領と境界を接するシャツェンの近くにある。領主ムータンは、博物館が多く存在するシャツェンの地をグレイにして征服しようと画策していた!

 

あらすじ

◇1225話 ホルトの聖櫃(クルト・マール)(訳者:若松 宣子)

 深淵の地。アトランたち五人は、領主ムータンの追撃を逃れ、ムータン領と隣国「シャツェン」との境界にある、ドモ・ソクラトが建設したコロニー「コルツブランチ」にたどり着いた。そしてコルツブランチに攻め込んで来たムータンの軍勢を撃退した後、さらにシャツェンの住民に領主ムータンの危険を警告するため旅立った。博物館の国シャツェンの「保管係」たちは、アトランたちをスパイだと疑うが、神秘的な小箱「ホルトの聖櫃」は、アトランたちが深淵の騎士だと認める。直後、ムータンの軍勢の侵略が開始された。(時期:不明。NGZ428年2月頃)

※初出キーワード=コルツブランチ、ソルジャー、ラタン、保管係、ヴァイタル破壊工作者、アレスタワン人、ツィルミイ種族、ホルトの聖櫃



◇1224話 シャツェンの博物館(クルト・マール)(訳者:若松 宣子)

 シャツェンに領主ムータン率いる軍勢が攻撃を開始するが、アトランたちの指揮の下、保管係たちは封印されていた時空エンジニアの武器を解放し、軍勢を撃退した。アトランたちは、シャツェンの安全を確保するため、ムータン領に侵攻することにした。(時期:不明。NGZ428年2月頃)

※初出キーワード=グレイ生成器、インターヴァル砲、ニー領


あとがきにかえて

 ノーベル文学賞の話を皮切りに、ドイツ・オーストリアの作家についての話。


感想

 前半エピソード … ローダン・シリーズではおなじみのジャングル探検も織り交ぜつつ、コルツブランチ、シャツェン、と旅するお話で、なかなかの密度。

 しかしスタルセンの頃には、グレイ力/深遠作用は、生物から生命を奪ったり石化させたり姿を変えたり、と恐ろしい力として描写されていましたが、この話では「物から色が無くなって全てグレイになってしまう」「生物は性格が変わって陰険になってしまう」というくらいで、全然危険でも何でもなくなっているのがなんとも…… まあ性格が別人に変わってしまうというのはそれはそれで無害とは言えませんが、なんかそんなに恐ろしい物でも無くなったな、と……

 新キャラ(?)の「ホルトの聖櫃」のやたら偉そうなところが妙に愉快です。


 後半エピソード … シャツェンが大侵攻を受けるものの、都合よく博物館に収められていた超兵器で追い払う、という話。グレイ力を生み出す「グレイ生成器」とか出現し、ますますグレイ力がお手軽な力になってきた感あり。
 
 
 

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