【SF小説】感想「プシオン・ルーレット」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 615巻)(2020年4月16日発売)

プシオン・ルーレット (宇宙英雄ローダン・シリーズ615)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150122776
プシオン・ルーレット (宇宙英雄ローダン・シリーズ615) (日本語) 文庫 2020/4/16
エルンスト・ヴルチェク (著), トーマス・ツィーグラー (著), 稲田 久美 (翻訳)
文庫: 288ページ
出版社: 早川書房 (2020/4/16)
発売日: 2020/4/16

【※以下ネタバレ】
 

深淵の古い住人で、さまざまな技術機器をつくりだす"玩具職人"クリオは、アトランたちと出会って、忘れていた過去をとりもどす


深淵の地に住む一種族のサイリンは自分の体組織を使って種々の技術機器をつくりだせるため、玩具職人と呼ばれる。なかでも優秀な職人が女サイリンのクリオだ。彼女は深淵で起きた”種族放浪”によってムータン領に移動させられたのち、アトランをはじめとする深淵の騎士たちの一行に出会う。そしてジェン・サリクの細胞活性装置を見たとたん、長く忘れていた、ヴァジェンダと種族放浪に関する記憶をとりもどしはじめた!

 

あらすじ

◇1229話 プシオン・ルーレット(エルンスト・ヴルチェク)(訳者:稲田 久美)

 サイリン種族はトリイクル9再建の補助のために生み出された人工生命体で、クリオは試作品だった。時空エンジニアは、トリイクル9のプシオン情報パターンを再現するため、深遠の地に暮らす種族を次々と転送機で移動させる「種族放浪」を実施し、最後には無計画に野生の力の泉が生み出す乱数で作業を続けたものの、成果は上げられず、やがてサイリン種族は忘れ去られた。

 サリクはクリオをオービターにした。駆除部隊はアトランたちを犯罪者として罰しようとするが、アトランたちはそれを逃れ、ヴァイタル・エネルギーの流れを利用してヴァジェンダ目指して旅立った。駆除部隊は追跡しようとやはりヴァイタル・エネルギーに飛び込み、その過程で自分たちがグレイ作用に感染していたことに気が付いた。(時期:NGZ428年7月5日とその前後)

※初出キーワード=なし



◇1230話 サイコフロスト(トーマス・ツィーグラー)(訳者:稲田 久美)

 銀河系では、エレメントの支配者の企みにより、マイナス宇宙に飲み込まれた犠牲者たちが「冷気生物」の集団「冷たい群れ」として通常宇宙に帰還してきた。冷気生物たちは通常宇宙の熱に耐えられず、その苦痛が通常宇宙の生物への憎しみを煽っていた。ローダンたちは冷気生物が出現したブルー族の惑星ツュリュトを調査するが、惑星は完全に凍り付き、さらに冷気生物の発する「サイコフロスト」により住民たちも冷気生物化し始めていた。マイナス宇宙からは宇宙船団に加え、惑星チョルトまで出現し、冷気生物は惑星ガタスを目指した。(時期:NGZ428年7月17日~)

※初出キーワード=なし


あとがきにかえて

 今年(2020年)1月に京都旅行をした後、新型コロナウイルスのせいで旅行もできなくなった、という話。


感想

 前半エピソード … ムータン領編の最終回。クリオの回想の形で、時空エンジニアのトリイクル9再建作業が語られますが、「種族を適当に配置してみて、駄目だったらまたやり直して……」とか気の遠くなるような事をやっていたのが衝撃。超越知性体に進化する直前の種族だというので、もっと凄い存在だと思っていましたが、見通しも何も無く、ただあてずっぽうで作業していただけだったという……

 最後はアトランたちがヴァイタル・エネルギー流に乗ってヴァジェンダを目指しましたが、もう「また目的地とは別のところに到着する」というのが火を見るよりあきらかだという(笑) でもまあ駆除部隊のメンバーが正気に戻ったのはちょっと救いかな。


 後半エピソード … 銀河系に舞台を戻してのエピソード。マイナス宇宙から戻って来た冷気生物たちとの衝突が始まりました。

 それはともかく、物語の語り手クローン・メイセンハートが「想像」と断っておいて、エレメントの支配者とカッツェッンカットとの会話を描写していますが、何故そんなに敵の事情に詳しいの? エレメントの支配者の目的とか、コンピューター「思索者」の事とか、貯蔵基地の位置とか、作者しか知らないことを語りまくってます(笑)
 
 

600巻~650巻(「クロノフォシル」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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