【SF小説】感想「マイナス宇宙へ」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 617巻)(2020年5月26日発売)

マイナス宇宙へ (宇宙英雄ローダン・シリーズ617)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150122822
マイナス宇宙へ (宇宙英雄ローダン・シリーズ617) (日本語) 文庫 2020/5/26
クルト・マール (著), エルンスト・ヴルチェク (著), 増田 久美子 (翻訳)
文庫: 271ページ
出版社: 早川書房 (2020/5/26)
発売日: 2020/5/26

【※以下ネタバレ】
 

科学者が冷気生物をマイナス宇宙へ戻す方法を探るなか、エラートたちは惑星チョルトを支配する仮面エレメントの拠点を攻撃した!


カッツェンカットは冷気生物たちを操る目的で、かれらの指導者トルムセン・ヴァリーに化けた仮面エレメントを惑星チョルトに送りこんだ。ヴァリーは十戒の陰謀を暴くため、自分がじかに冷気生物たちに呼びかけると決意する。ほんものの指導者だけが持つカリスマ的オーラのおかげで、かれらはしだいに真実に気づきはじめた。こうしてヴァリーはヴィールス人間エルンスト・エラートとともにふたたびチョルトを掌握するが?

 

あらすじ

◇1233話 マイナス宇宙へ(クルト・マール)(訳者:増田 久美子)

 惑星チョルトでは、エラートたちはがチョルト奪還を目指していたが成果は上がらず、やがてエラートもサイコフロストの影響で無気力化してしまう。ローダンは冷気生物たちをマイナス宇宙に送り返すため、艦隊をチョルトに向かわせ、カッツェンカットはその動きを察して、冷気艦隊を惑星ガタスから撤退させチョルト防衛に配置した。惑星チョルトと冷気艦隊はセルフィル=ファタロ装置の放射によってマイナス宇宙に消えた。無限アルマダは遂にガタス近傍に到着し、クロノフォシル・イーストサイドが活性化され、ブルー族は感情を持つ種族へと進化した。(時期:~NGZ428年11月30日)

※初出キーワード=なし



◇1234話 海賊放送局アケローン(エルンスト・ヴルチェク)(訳者:増田 久美子)

 地球では、無限アルマダが太陽系に来訪するのか否か、クロノフォシル活性化が人類に何をもたらすのか、が大きな話題となっていた。同じ頃、謎めいた「海賊放送局アケローン」が出現し、「警告者」が人類に向けて不気味な未来予測について放送を開始した。エラートは挙動不審のヴィールスインペリウムについて調査するため、内部へと消えた。地球に来たヴィシュナとゲシールは、行方不明だったスリマヴォを見つけ出し、三姉妹が揃ったことで彼女たちは力を取り戻し、無限アルマダが太陽系へやってくることを通達した。(時期:NGZ428年12月1日~)

※初出キーワード=海賊放送局アケローン、警告者


あとがきにかえて

 今年(2020年)「緊急事態宣言」が発令されたという話。


感想

 前半エピソード … 冷気生物編最終回。チョルトにやって来たヴァリーがやる気を失ったり、エラートがサイコフロストで無気力になったり、という展開になってしまい、彼らが元気よくチョルトに来た理由は何だったのか……、と困惑する展開もありましたが、とりあえず冷気生物たちを本来の宇宙に送り返すことで強引に一件落着。全く了承とか得ずにいきなりの転送でしたが、まあ故郷に返してあげたからその辺りは気にするべきでは無いのか。

 転送の際に美人科学者イリング・リースが犠牲になってしまいましたが、個人的なエピソードがまるで無かったので全然感動とか悲しみとか無かったのがイマイチ。あと、放射の影響でセルフィル=ファタロ装置が消えてしまいましたが、フィクティブ転送機と同じパターンだなぁという感じ。便利な(便利過ぎる)機械はすぐ壊れて二度と使えなくなる……


 後半エピソード … 舞台はいよいよ地球に移っての新展開。謎の少女アイリスの正体がスリマヴォというのは見え見えでしたが、彼女がゲシールとの対決に負けたとかいう話は、多分宇宙ハンザサイクルのどこかにあった気がしますが、もう記憶の彼方でした……

 現在(NGZ428年)の地球には超コンピューター・ヴィールスインペリウムの端末が街角に有って簡単にアクセスできるようですが、予想通り一般大衆はわりとくだらない用途でしか使ってないみたいです(笑)
 
 

600巻~650巻(「クロノフォシル」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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