【特撮】感想:特撮「ウルトラQ 4Kリマスター版」第24話「ゴーガの像」

ウルトラQ Vol.1 [DVD]

ウルトラQ 4Kリマスター版 NHK https://www4.nhk.or.jp/P5138/
放送 NHK BSプレミアム

【※以下ネタバレ】
 

第24話 ゴーガの像

 

あらすじ

ウルトラQ 4Kリマスター版(24)ゴーガの像
[BS4K] 2021年09月06日 午後11:15 ~ 午後11:41 (26分)


35mmフィルム原版から4Kリマスター。大使の娘のゴーガの像が、女性に奪われる。像はコレクターに渡り放射線鑑定を受けるがその影響で恐ろしい呪いが目覚める!


アーブ国駐在大使の娘・瀬川タミが持っていたゴーガの像が、怪しい女性に奪われてしまった。像は盗品コレクターの手に渡り放射線鑑定を受けるが、その影響で像の中に眠っていた恐ろしい呪いが目覚めてしまう……!もともと35ミリフィルムで制作されていた1966年放送の特撮ドラマを4Kリマスター。だれも見たことがなかった「ウルトラQ」。


【出演】佐原健二,西條康彦,桜井浩子

 
登場 … 貝獣ゴーガ

 密輸組織のボスで美術品愛好家の岩倉は、アーブから到着するという「ゴーガの像」を待ちわびていた。羽田空港に着陸した旅客機から客たちが降り立つが、一人の美女が客の少女が持っていた像を言葉巧みに預かるとそのまま空港の外に出てしまう。気が付いた少女が追いかけてくるが、美女を待っていた岩倉の手下たちに誘拐されてしまう。美女一行は岩倉の待ち受ける岩倉会館に到着し、美女はアリーンと名乗る。

 毎日新報社内では、万城目や由利子たちが空港での少女誘拐事件について話題にしていた。デスクは少女が持っていたのが、一週間前にアーブ博物館から盗まれた「ゴーガの像」そっくりだと指摘する。像は少女が香港で謎の老婆からもらったらしい。「ゴーガ」とはアランカ帝国を一晩で滅ぼした伝説の存在だった。

 岩倉はゴーガの像に「6000年の呪い」云々と刻まれていることを知るがさして気にすることも無く、放射線検査で像が完全に本物と解ったことに喜んでいた。しかしアリーンは、撮影した写真で、像の中に丸い物が写っており、それが次第に大きくなっていることを指摘する。

 岩倉会館の外には空港からつけてきた謎の男がうろついており、また香港からの電報でアリーンは意識不明で香港にいることが解り、つまりゴーガの像を運んで来た女は偽物だと判明する。岩倉は女の素性の調査を命じる。

 偽アリーンは岩倉会館の中で少女(たみ)を探していたが、同じ頃美術品室でゴーガの像の目が光り、近くにいた岩倉の部下は像から発せられた光を受け死んでしまう。さらに像が砕け散り、中から巨大なカタツムリが姿を現す。そこに岩倉たちが現れ、アリーンは死体発見のいきさつを説明するが、直後巨大カタツムリが廊下にいるのを目撃する。

 謎の男はオープンカーに乗っているところを岩倉の部下に狙撃されて死んでしまう。偶然近くにいた万城目たちは暴走している車に飛び移り、車を停止させるものの、運転者は既にこと切れていた。そこにアリーンからの無線連絡で「A3」から「N2」宛てに、誘拐された子供が岩倉会館にいるという通信が入る。直後アリーンは現場を押さえられ岩倉たちに捕まる。

 万城目たちは岩倉会館にやって来るものの岩倉の部下たちに捕まってしまう。同じ頃は偽アリーンはたみを連れて監禁場所から逃げ出し、やはり逃げ出した万城目たちと合流する。岩倉は一行を追い詰め、偽アリーンが実はアーブ大学の考古学教授リャンミンだと指摘する。

 直後、巨大化したゴーガが岩倉会館を破壊し、騒ぎの中で岩倉たちは死んでしまう。万城目たちはなんとか脱出するものの、ゴーガは東京で大暴れを開始した。リャンミンはアーブの古い言い伝えで、ゴーガは火の中で滅びたと言われていることを教え、自衛隊は火炎攻撃でゴーガを退治した。


脚本:上原正三 監督:野長瀬三摩地 特技監督:的場 徹

感想

 評価は○(意外と面白かった)。

 「スパイアクション物に怪獣物を合体」という意外な組み合わせの回でしたが、意外にもこれが結構面白くて驚かされたエピソードでした。


 世界各国の美術品を裏ルートで集める犯罪組織の面々(いかにも悪そう)の登場シーンから始まり、続いて空港からやってくる怪しげな女性、立ち位置の解らない謎のサングラス男、女性と犯罪組織のボスの顔合わせ、と、レギュラーの万城目たちも怪獣・宇宙人もが全く出てこないまま、スパイアクション風エピソードがどんどん展開してしまうので、最初の五分くらいは「一体何の番組を見せられているのだろう……」と不思議な気持ちになりました(笑)

 その後も、運び屋アリーンが実は犯罪組織の悪行を暴くために潜入捜査をしていた正義の大学教授だったと判明するとか、アリーンが正体がバレて閉じ込められたものの秘密小道具ですぐさま脱出、とか、スリル満点の物語が展開するので、もう怪獣が出てこなくてもこのアリーンと悪漢たちの戦いだけで十分面白かったという(笑)

 しかも、ちゃんと「密輸した美術品の中に怪獣の卵が入っていた」という自然な(?)展開で怪獣を登場させて、スパイアクションと怪獣ドラマをシームレスにつないでいるのが絶妙に上手かった。ウルトラQは、ストレートに怪獣物をやってもつまらない話があるのに、今回はサスペンスと怪獣の組み合わせが成功して二度美味しいという、見ていて実にお得な回でした。

 終盤は、東京で暴れまわるゴーガと自衛隊の一大バトルがしっかり展開され、怪獣好きも納得のクライマックス。そしてゴーガは火炎攻撃できちんと退治され、とどめで「街に悪がはびこり、人々が心を無くしたとき、ゴーガは蘇ると云われています」とか警句で締めるなど、余韻も十分。

 ということで、今回はエンタテイメント性抜群の面白回でありました。後はゴーガがでんでん虫ではなくもう少し派手な怪獣だったら言うこと無かったのですけどね。

 ちなみに犯罪組織の一員に、古谷敏氏(ウルトラセブンのアマギ隊員)がいました。もっとも、真っ先にゴーガに襲われて殺されてしまう役でしたけど。
 
 あと登場する10歳くらいの女の子の名前が「たみちゃん」というのが昭和41年/1966年という時代背景を強烈に感じさせてくれます。今なら見ると物凄い古風ですが、当時はアリだっんでしょうね、たみちゃん。
 
 
 
ゴーガ
X-PLUS 大怪獣シリーズ ウルトラQ 貝獣ゴーガ モノクロ
アンティッQ 懐獣大集結 其ノ壱 新造形 ゴーガ|ウルトラQ 円谷プロ
 
 

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