【歴史】感想:歴史番組「ダークサイドミステリー」シーズン3(2021年版)「超常事件簿 人体の不思議であぶない物語」(2021年6月10日(木)放送)

謎 戦慄の人体発火現象―世界各国で事件続発 (サラ・ブックス)

ダークサイドミステリー NHK https://www.nhk.jp/p/darkside/ts/4847XJM6K8/
放送 NHK BSプレミアム。毎週木曜夜9時放送。

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

perry-r.hatenablog.com
 

本当の謎は、人間の闇


背筋がゾワゾワ、心がドキドキ、怖いからこそ見たくなる。世界はそんなミステリーに満ちている。世間を揺るがした未解決の事件、常識を越えた自然の脅威、いにしえの不思議な伝説、怪しい歴史の記録、作家の驚異の創造力…。こうした事件・出来事を徹底再検証!
人智を超えた謎に迫る「幻解!超常ファイル」を拡大スピンオフ!今度は人間や自然が生み出した謎と恐怖に満ちた事件・伝説の正体に、栗山千明志方あきこ中田譲治のダークなトライアングルで引き続き迫ります。

 

超常事件簿 人体の不思議であぶない物語 (2021年6月10日(木)放送)

 

内容

ダークサイドミステリー「超常事件簿 人体の不思議であぶない物語」
[BS4K] 2021年06月10日 午後9:00 ~ 午後10:00 (60分)


人の体から自然に炎が燃え上がる?胴体に剣を刺しても平気な不死身の男?魂の重さは21グラム…伝説実験は本当か?人体3つの怪事件の、不思議で知られざる真相に迫る。


あなたの身近なのに不思議だらけの「人体」をめぐる想像を超えた3つの怪事件▽(1)謎現象!人体自然発火…火事で部屋は燃えていないのに遺体だけ燃え尽きた?3百年以上続く超常現象の真相は?▽(2)不死身の男ミリン・ダヨ…体に剣を刺しても平気なのは、なぜ?医師も頭を抱えた男の体で何が起きていた?▽(3)魂の重さは21グラム?…死の瞬間、人の体重が21グラム減った?これは魂の重さなのか?伝説の謎実験の真相は


【ナビゲーター】栗山千明,【ゲスト】茨木保,佐藤健寿,【語り】中田譲治,【司会】青井実

 
 今回のテーマは「人体の不思議」。


●人体自然発火現象

 「人体自然発火現象」(Spontaneous Human Combustion)とは、文字通り人間の体から自然に発火し、灰になって燃え尽きてしまうという異常な現象の事。過去300年間に200例も報告されている。人間の体は60パーセントは水分なので、本来なら起きるはずもない異常な現象である。

 2010年にも、アイルランドの港町ゴールウェイで、一人暮らしの高齢者の老婦人が焼死する事態が発生した。ところが焼けているのは体と床・天井のみで、その他の部分は全く燃えていなかった。検視官はこれは「人体自然発火現象」であると検死報告書に記載している。


 人体自然発火現象で最も有名なのは、1951年7月1日にアメリカ・フロリダ州のセントピータースバーグで発生したメアリー・リーサー夫人の事件。大家がリ―サー夫人を訪問すると、夫人は椅子に座ったまま焼死していたが、死体は猛烈な炎で焼き尽くされており、片足しか残っていなかった。


 人体自然発火現象でポイントとなるのは二点。「人間の体から自然に発火するのか?」と「人の体が灰になるまで焼けることがあるのか?」である。


 まず「人間の体から自然に発火するのか?」については、ガソリンスタンドで突然発火する事例が何件も確認されている。ただし、これは人体の静電気が気化したガソリンに点火して発火しているだけで、人間が燃えている訳ではない。

 「人の体が灰になるまで焼けることがあるのか?」だが、焼き肉を考えると解るように、肉を焼いても灰になるまで燃えるということは普通あり得ない。焼肉で火が上がるのは肉から出た油が気化して燃えているだけで、水分の多い肉自体が猛烈に燃えることはない。

 人を灰にするには猛烈な高温が必要で、火葬場では700度~1000度の熱で一時間焼く。しかし普通の部屋の中でそんな高温が発生することは考えられない。


 そこで人体自然発火現象の原因と考えられているのが「ロウソク効果説」。ロウソクが燃える理由は、芯が燃えているのではなく、

1)ロウソクの芯に火をつける
2)熱によって、火の近くのろうそくが溶けて液体になり、溶けたろうが毛細管現象で芯に吸い上げられる
3)吸い上げられたろうが酸素と結びついて燃える
4)燃えた熱でろうが溶ける

 という繰り返しでずっと燃え続ける。


 これと同じ理屈で、居眠り中にタバコの火などによって服に火が付き、その火が体内の脂肪を溶かし「服がロウソクの芯」「脂肪がろう」と同じ役割を果たし、体内の脂肪を燃料に長時間かけて燃え続け、最終的に灰になるのではないか、という考え。火災の専門家は火災の検証実験で検体を使った際に、このような事象を確認したという。

 考えてみれば「人体自然発火現象」という言葉はあるが、今までに「人間の体から自然に火を噴いて燃えだして灰になった」という事を目撃した物は誰もいないのである。



●奇跡の人ミリン・ダヨ

 第二次大戦終了直後のスイス・チューリッヒに「奇跡の男」と呼ばれる人物が現れ、信じられない様なパフォーマンスを行った。

 その人物の名前はミリン・ダヨ。なんと公衆の面前で、上半身裸になった後、助手にフェンシングの剣「フルーレ」を背中から突き立てさせ、剣が体を貫通しても平気だった。

 医者たちはインチキだと考え自分たちの前で同じことをさせてみたが、わき腹から真横に剣を貫通させてみて、レントゲンで撮影してトリックでないことが確認された。しかもミリン・ダヨは、その状態でランニングをしてから、屈伸運動までしてみせたのである。

 ミリン・ダヨは1912年オランダ・ロッテルダム生まれ。若い頃は平凡な人物だったが、第二次大戦で祖国オランダがドイツに占領され、強制収容所に入れられてしまう。1945年、強制収容所からの脱走に成功するが、あとから自分の服に銃弾が貫通した痕があることを発見し、神への信仰さえあれば人は人は自分の体を自由にコントロールできると確信した。そしてそれを証明するために、人前でのパフォーマンスを始めたのだった。


 医者が調べると、ミリン・ダヨは剣を刺しても全く出血しないうえ、心電図や心音などから苦痛を感じてもいない事が判明した。剣を消毒していないので、本来なら感染症にかかり、敗血症で死んでもおかしくないのに、そのような兆候も無かった。

 もしも「ろう孔」というピアスの穴のような物を体に開けていて、ろう孔が固くなっていればそのような事が可能だったかもしれないが、ピアスの穴をあけるのですら数週間穴に異物を入れておく必要があるのに、胴体を刺し貫いたまま数週間以上過ごす、など、現実的に考えて不可能だった。


 1948年5月11日朝。ミリン・ダヨは神からの啓示を受け、30センチもある釘を飲み込んだ。彼の考えでは釘は体内で非物質化するはずだったが、消滅どころか釘は胃や腸を刺し貫いており、手術で取り出されたものの、5月26日に死亡した。検死解剖した結果、体内の様々な臓器に剣で傷がついており、剣で体を刺しても彼が生きていたのは、本当に偶然のたまものだったと判明したのだった。



●魂の重さ

 1901年春、アメリカの医師ダンカン・マクドゥーガル結核で死ぬ直前の患者をはかりに乗せていた。そして死の瞬間、21グラムが減ったことを確認した。マクドゥーガルは意識の基盤となる魂という物が物理的に存在していると信じており、その重さを計測しようとしたのである。つまり魂の重さは21グラムということになる。

 しかしその後の計測では結果はまちまちで、「2回目 46g」「3回目 14g」「4~6回目 不備で計測不可」とまともな結果は得られなかった。

 さらに、やがて彼の研究が世間に漏れると、医者や学者が猛反発した。「魂の存在を認める」というのは、医者というよりスピリチュアルの領域だという訳である。そして体重が減るのは体内の二酸化炭素が抜けたりしただけと指摘し、マクドゥーガルはそれらも含めて計測したと主張したが受け入れられることはなかった。

 マクドゥーガルは自分の後進たちが研究を継続してくれることを期待していたが、その後120年間で同様の実験は2例だけ。一つは1915年のマウスを使った実験、もう一つは2000年のヒツジ・ヤギを使った実験、だったが、どちらも有意の結果は得られなかった。


感想

 人体に関するネタ三連発。

 人体自然発火現象は、これだけで一回分作れるだろうネタでした。ロウソク効果説はそれなりに信ぴょう性がありますが、「生きている人間が体に火が付いたまま眠っていられるものか」という疑問はありますね。まあ死んだ後に火が付いたなら説明も尽きますが、全員が全員そうなのか?

 ミリン・ダヨについては、「何故感染症にかからなかったのか」が全く説明できていない訳ですが……、何故だ?

 魂の重さについては、面白コラムネタ程度かな。昔の人は面白い事を大真面目にやっていたんだな、ということで。
 
 

光と闇のナビゲーター 栗山千明
MC 青井実 (アナウンサー)
語り 中田譲治
テーマ音楽 志方あきこ

 
 

他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

perry-r.hatenablog.com
 
 
Das Wunder - Mirin Dajo. Der unverletzbare Prophet und seine phaenomenalen Kraefte
Das Wunder - Mirin Dajo. Der unverletzbare Prophet und seine phaenomenalen Kraefte
魂の重さの量り方
魂の重さの量り方