ウルトラQ 4Kリマスター版 NHK https://www4.nhk.or.jp/P5138/
放送 NHK BSプレミアム。
【※以下ネタバレ】
第27話 206便消滅す
あらすじ
ウルトラQ 4Kリマスター版(27)206便消滅す
[BS4K] 2021年09月27日 午後11:15 ~ 午後11:41 (26分)
35mmフィルム原版から4Kリマスター。超音速旅客機を待つ由利子。万城目らが帰ってくる。が、突如その便との連絡が途絶える。レーダーからも消えてしまった!
超音速旅客機・206便を待ちわびている由利子。万城目と一平が研修から帰ってくるのだ。ところが、突如206便との連絡が途絶える。レーダーからも消えた206便だが、上空ではそのジェット音だけが不気味に響き渡っていた……。もともと35ミリフィルムで制作されていた1966年放送の特撮ドラマを4Kリマスター。だれも見たことがなかった「ウルトラQ」。
登場 … 四次元怪獣トドラ
万城目と一平は、香港でのパイロット研修を終え、日本初の超音速旅客機206(ニイマルロク)便に乗って日本へ向かっていたが、206便は東京上空で奇妙な渦に呑み込まれてしまう。
由利子は空港まで二人を出迎えに来ており、たまたま一ノ谷博士と出会うが、206便が行方不明になったと聞いてショックを受ける。管制塔では、206便と連絡が取れなくなり、さらにレーダーから機影が消えたにもかかわらず、何故かジェットエンジンの音だけが聞こえる、という異常な状況に困惑していた。一ノ谷博士は、戦時中、東京上空で飛行機が消えてしまったという奇怪な事件の事を思い出していた。
一方、206便は、もやの立ち込めた何処とも知れない場所に不時着していた。さらに、香港から日本に護送中の殺人犯・オリオン太郎が、刑事が失神している隙に手錠を外した上、拳銃を奪ってしまう。オリオン太郎は正副機長と万城目・一平を脅して機外にでるが、周囲には第二次大戦中の飛行機のゼロ戦やグラマンなどの残骸が転がっていた。
オリオン太郎は地面にダイヤモンドが大量にむき出しで落ちていることに気が付き、欲に目がくらんで拾おうとするが、万城目はその隙をついてオリオン太郎に飛び掛かる。しかしオリオン太郎の銃が暴発し、正副機長は二人とも怪我をしてしまう。なおも万城目とオリオン太郎は取っ組み合いを続けるが、オリオン太郎はもやの中に突然吸い込まれ姿を消してしまった。
直後、巨大なアザラシの怪獣(トドラ)が現われ、旅客機に迫ってきた。万城目と一平は正副機長の代わりに飛行機に乗り込み発進させるが、燃料が殆ど残っておらず、地上と連絡が付くものの、現在位置も不明ならどこに行くべきなのかもわからない。しかし前方に渦が見えてきたため、万城目はイチかバチかでその中に突っ込み、気が付くと206便は富士山上空を飛行していた。由利子たちは206便の帰還を知り安堵するのだった。
感想
評価は○(まずまず)。
今回は怪獣が主役ではなく、航空パニックをテーマにした一作で、クオリティはまずまずでした。
今回のような「飛行機が異空間に吸い込まれて消えてしまう」系の話は、昭和世代には「バミューダトライアングル」だの「四次元」だのという単語でもうお馴染みの設定。本作は30分枠という短い尺にも関わらず「異次元物」のポイントとなるところをきっちり押さえているのが好感度高でした。
例えば、いきなり通信が途絶えて、レーダーからも機影が消える、というだけではなく「飛行機は見えないのにエンジン音は聞こえる」とか「戦争中に軍用機が行方不明になっていたという過去語り」とかの味付けが実に絶妙で、「奇怪な消失物」にありがちな感じを醸しだしていました。
さらに異空間側でも、スタジオの中でドライアイスの雲をまき散らして、実にお手軽ですが結構効果的に異世界感を出しているのは上手かったし、戦争中の飛行機がそこら中にごろごろ転がっていて、パイロットは既に骨に……、というあたり、独創性はさほどないものの、「いかにも」な感じが実に良かった。
また、ただでさえ謎の場所に不時着して訳が分からないのに、空気を読めない凶悪犯が銃を振り回して調査や脱出の活動の邪魔をするなど、サスペンスの醸し出し方も絶妙です。しかし、何故犯人の名前を「オリオン太郎」などというマヌケな物にしてしまったのか……
そして、四次元パニック物だけではテレビ局が満足してくれなかったのか、終盤怪獣が取ってつけたように登場するのはちょっとどうかなという感じでした。まあ万城目たちをこの空間に安住させず、さっさと飛行機を出発させる理由付けにはなっていましたが、何故異空間にアザラシ(そして名前はトドラ)なのか……
最後は万城目たちの力で何かが解決したという訳ではなく、たまたま元の世界への入り口が開いて奇跡的に助かった、というだけの成り行き任せの決着でしたが、そこは「人間などバランスの崩れた世界の力の前には無力な存在であり、その力の前に翻弄されるにすぎないのだ……」的な話だと解釈すれば、わりとすんなり受け入れられる結末でした。
さて、今回登場した空港の管制官&一ノ谷博士の教え子・金子主任を演じたのは小泉博氏。東宝特撮映画の常連ですが、昭和世代としてはクイズ番組「クイズグランプリ」の司会役が心に焼き付いておりますね。
他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ
perry-r.hatenablog.com
Vol.2
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Vol.5
Vol.6
Vol.7