ウルトラセブン 4Kリマスター版 NHK https://www4.nhk.or.jp/P6565/
放送 NHK BSプレミアム。
【※以下ネタバレ】
1967年10月1日に放送が開始された「ウルトラセブン」。当時のフィルムをデジタルスキャンし、4K・HDRでよみがえらせた4Kリマスター版を、NHKが初めて放送する。
第28話 700キロを突っ走れ!
あらすじ
ウルトラセブン 4Kリマスター版(28)「700キロを突っ走れ!」
[BS4K] 2021年10月03日 午前8:00 ~ 午前8:26 (26分)
地球防衛軍が開発した爆薬「スパイナー」。警戒して実験場に運ぶため、ダンとアマギは700キロラリーに紛れて運ぶ作戦をとるが、情報を得たキル星人の襲撃を受ける。
1967年に地上波放送された『ウルトラセブン』を初の4K化・国内初放送!地球防衛軍が開発した高性能爆薬「スパイナー」。警戒して実験場に運ぶため、ウルトラ警備隊は700キロラリーに紛れて爆薬を運ぶ作戦をとり、ダンとアマギがその任務につく。その情報を得た謎の宇宙人・キル星人は人間に化けて執ように2人の車を狙う。襲撃をかわして輸送は成功。しかし実験が行われようとした時、恐竜戦車が突如出現した!
登場 … 侵略宇宙人 キル星人、戦車怪獣 恐竜戦車
地球防衛軍はニトログリセリンの数百倍の爆発力を持つ新型火薬「スパイナー」の開発に成功した。ところがスパイナーを実験場まで運んでいた輸送機が何者かに撃墜されてしまい、ウルトラ警備隊に輸送の命令が下った。そして、途中までは潜水艦で輸送し、最後の陸路はダンの提案でラリーにまぎれて運ぶことになった。
ダンとアマギが輸送任務につくが、未知の敵は人間爆弾や地雷などで次々と襲撃を繰り返し、二人は危ういところで切り抜けながら任務を続ける。アマギは子供の頃、近所の花火工場の爆発事故を目撃し、爆発物に恐怖心を抱いていた。
やがて車に時限爆弾が仕掛けられ、キリヤマはアマギに解体を命じる。アマギは恐怖心に負けそうにながらも、なんとか解体をやり遂げる。これに自信を付けたアマギは、キリヤマからの交代の提案をあえて断り、ダンと任務を続けることを選ぶ。
やがてダンとアマギは実験場に到着するが、実は二人が運んでいたのはダミーで、本物のスパイナーはキリヤマたちが別途運んでいた。今回の任務はキリヤマがアマギの爆発物への恐怖を克服させるための試練だったのだった。
直後スパイナーの爆発実験が準備されるが、そこに宇宙人の投入した恐竜型戦車が出現した。ダンはセブンに変身し、スパイナーを爆発させて恐竜戦車を破壊した。
脚本:上原正三
監督:満田かずほ
特殊技術:高野宏一
感想
評価は○(ぎりぎり)
ウルトラセブンの筈なのに、スパイアクション物のような突飛な展開を盛り込んでしまったエピソード。毎回毎回宇宙人が出て来る違う話を書くのは大変だ、ということはよくわかるのですが、面白さはもう一つ。
終盤のセブン対怪獣のアクションシーン以外は、ほぼ「極秘に爆弾を運ぶスパイアクション物」のノリで作られており、そのおかげで展開が妙なことに……
冒頭、ダンがラリーの映画に夢中になる辺り、「宇宙を自在に飛び回れる宇宙人が車の運転に憧れるものなのか?」と些細な疑問を感じさせてくれますが、そのあと、ダンが仕事と趣味の一石二鳥的に「火薬をラリーに紛れて運びましょう」と提案するのは、公私混同が過ぎると思わずにはいられません。そもそもこんな危険な任務をウルトラ警備隊がするべきなのか?
つづいて、ダンが危険運転のバイクとすれ違った途端、いきなり銃をぶっ放すシーンは、「もし相手が宇宙人ではなく、ただの暴走運転のバイクだったらどうするのか」と突っ込みたくなります。
また深夜焚火に当たっている謎の集団を調べたらキリヤマたちだった、という場面も、ビックリはしましたが任務上の必然性に乏しいし(キリヤマたちは何をしていたのか)。さらに、ソガがマンドリン型マシンガンを持ち歩いているというのもなんなんでしょうか。スパイアクションドラマなどでしたらこれはこれで面白い仕掛けですが、ウルトラ警備隊がこんな訳の分からない武器を持ち歩く意味が不明すぎる。
とどめでアマギが死ぬ思いでスパイナーを届けたら、「本物はキリヤマたちが既に運んでいました」という真相も結構ひどいです(笑)
そもそもなぜこの宇宙人たちは、地球にやってきて飛行機を打ち落とす科学力がありながら、ダンとアマギを襲うときは、いちいち地味にバイクや地雷や時限爆弾を使うのでしょうか。また何故本来の姿を見せないのでしょうか。予算がなくて宇宙人のスーツを作れなかったからでしょうか。とにかく、ここまで見ている限りではウルトラセブン要素ゼロで、宇宙人に襲われているのだか、悪質なテロ集団に襲われているのだか区別が尽きませんでした。
今回は、キリヤマがスパルタ的な任務投入でアマギの爆発物恐怖症を克服させるという良い話、の筈なのですが、その他の粗の部分に突っ込み要素が多すぎて、そういう本筋が殆ど頭に残りませんでした。
あと、終盤に待望の怪獣として戦車に乗った恐竜「恐竜戦車」が登場しますが、見た目のインパクト以外に恐竜と戦車を合体させる意味がない……、また、恐竜戦車を見て、キリヤマが「どうやら、やつらの動く要塞らしい…」とか、フルハシが「スパイナーの実験を恐れるわけだ」とか口々にコメントしますが、何故要塞と解ったのか、何故実験を恐れるのか、私には全く理解できませんでした……
最後にダンがとってつけたように「これからも恐ろしい敵は次々と現れるだろう。だが、われわれがウルトラ警備隊魂を持ちつづける限り、地球の平和は守られるに違いない」とか威勢のいいことを言いますが、全体的に何だこりゃ感満載のイマイチ回でした。
今回の話には声優として有名な(ナイトライダーのKITTの声とか)野島昭生氏がクレジットされていますが、名のある役ではなくドライバー姿のキル星人を演じていただけだそうで、顔もロクに映らない、というかどの人なのかもわかりませんでした。マンドリン型マシンガンで撃たれた人かな?
恐竜戦車
他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ
perry-r.hatenablog.com
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