ウルトラセブン 4Kリマスター版 NHK https://www4.nhk.or.jp/P6565/
放送 NHK BSプレミアム。
【※以下ネタバレ】
1967年10月1日に放送が開始された「ウルトラセブン」。当時のフィルムをデジタルスキャンし、4K・HDRでよみがえらせた4Kリマスター版を、NHKが初めて放送する。
第34話 蒸発都市
あらすじ
ウルトラセブン 4Kリマスター版(34)「蒸発都市」
[BS4K] 2021年11月14日 午前8:00 ~ 午前8:26 (26分)
第6管区巡回中のダンとソガが消えた。翌朝、同区のビル街も消失。犯人である宇宙生物ダンカンは霊媒師の口を通じて、宇宙乱流を避けるために地球に留まると告げる。
1967年に地上波放送された『ウルトラセブン』を初の4K化・国内初放送!深夜、第6管区をパトロール中のダンとソガが消えた。翌朝、同地区のビル街が一区画、丸ごと消失する。宇宙生物ダンカンは、霊媒師の口を通じて、一時的な宇宙乱流を避けるために地球に侵入したが、ビルを居住区にしてそのまま留まるとウルトラ警備隊に告げる。そして人質となっていたダン=セブンは洗脳されてしまう。
登場 … 発泡怪獣 ダンカン
深夜。ダンとアマギはポインターで第六管区のビル街をパトロールしていたが、ダンは道路工事の音が異常な事に気が付き、作業員に質問しようとする。ところが近くのバンがいきなりダンたちに銃撃してきた後、そのまま逃走した。ダンたちはポインターで追跡するが、その目前でバンは消え、さらにダンとソガ、近くにいた警官一人までも同様に消えてしまう。
一人残った警官が地球防衛軍に通報し、すぐさまキリヤマたちが駆け付けるが、放射能が検出されたものの、消えた三人の手掛かりはなかった。さらに翌朝、同じ第六管区でビルや道路にいた人々が次々と消滅し、ビル街は巨大な空き地と化してしまう。キリヤマは空き地に謎の泡がうごめいているのを見て攻撃させるが、すぐに消えてしまった。
タケナカ参謀、フルハシ、アンヌは、有名な霊媒師・ユタ花村から、都市蒸発事件について話したいとの連絡を受け、彼女の元に向かった。三人に対して、ユタ花村の口を借りた謎の宇宙人が語りかけて来るが、その内容は宇宙乱流を避けるため一時的に地球に滞在するので、居住区としてビル街をもらったというものだった。そしてダンとソガを人質にしているので、自分たちに手を出すなと警告して来た。
ウルトラ警備隊は、宇宙人の居住区を特定するための捜索を開始し、フルハシとアンヌは郊外の平原の中にいきなりビル街が出現したのを見つけて、中に乗り込む。そこでは消えた人々が硬直状態となっていた。
宇宙人はウルトラ警備隊が約束を破ったので報復すると宣言し、ダンをウルトラセブンに変身させて暴れさせ始めた。フルハシがセブンを操っていた宇宙人を銃撃して倒すと、セブンは正気に戻るが、宇宙人は怪獣ダンカンと化してセブンに襲い掛かってきた。しかしセブンはダンカンを倒し、硬直していた人々も解放された。
脚本:金城哲夫
監督:円谷 一
特殊技術:高野宏一
感想
評価は○(今一つ)
久しぶりの金城哲夫氏の脚本の回ですが、どうもイマイチピンと来なかったエピソード。サブタイトルはカッコいいのですが……
深夜の工事が実は宇宙人による侵略活動だったという導入部からオオっと思わされましたし、追跡したダンたちが行方不明になり、さらにはビル街までが次々と消え去ってしまう、という展開は「さすが金城脚本」とうなっていたのですが、その後がどうにも。
・宇宙生物ダンカンが、地球人とコンタクトするのに、わざわざ霊媒師・ユタ花村を利用しますが、そんな面倒くさいことしなくても地球防衛軍に電話して来ればいいのでは? (実際、後半では直接地球防衛軍基地にクレームの電話を入れている)
・ヘリに乗ったキリヤマ隊長が、ビルが消えた跡地に泡がうごめいているのを見て、いきなり「撃ってみろ」と命じるのはあまりにもあんまり。そこは近づいて調査するべきなのでは。
・フルハシとアンヌが、ダンとソガが人質になっているのに、宇宙人の警告を無視して都市に乗り込んだ挙句、宇宙人を怒らせて最後通牒を突きつけられてしまうという展開。宇宙人が怒り狂うのももっともで、フルハシやアンヌは、キリヤマから「行動を慎むように」と言われていたのに全く守っていない。
・怒った宇宙人がダンをセブンに変身させたあと、何故か自分たちが住むために盗んで来たビル街をセブンに破壊させ始める。その行動でダメージが行くのは宇宙人の方でしょう。
・宇宙人は「我々」と自称し、多量のビルを盗んだことから、大勢いると思われますが、謎の男に化けていた一人を倒しただけで事件解決になってしまっているのは納得いかない。
などなど言いたいことが山盛りの回でした。
今回の話はフルハシの台詞「これじゃ街だって蒸発したろうって気になるね」というこの部分、つまりビル街が唐突に大自然の中に立っている、というあのシーンのイメージがまずあって、その他の要素は後付けで組み立てていったので、こういう話になってしまったのではないか、と推測せずにはいられません。というか、そうでも考えないと、このスムーズさの欠片も無い展開の説明がつかないでしょう。
今回登場した宇宙生物ダンカンは、トゲトゲではあるものの、全体に愛嬌があるデザインであまり凶悪な宇宙生物には見えません。そもそもダンカンは緊急避難のため地球に来たのであって、侵略目的では無いといっていましたしね。しかし、今回はペガッサ星人の時のような深みやら悲しみやらのある話には全くならず、単純な宇宙人退治物に終始してしまったのは失望させられました。
またセブンとのダンカンの戦闘シーンも、街中を鬼ごっこのように走り回って逃げる場面が多く、なんともユーモラスというか、あまり怖さを感じませんでした。最期も(何故か)道路の真ん中にうずくまって丸くなったところに、セブンのエメリウム光線を浴びて泡になって消滅してしまう、という決着の付け方は、今一つ釈然としませんでした。
地味なダンカンの活躍が少なかったのに対し、今回破壊活動に活躍したのはウルトラセブンの方で、催眠で操られていたためか怪獣みたいな変な声をあげて威嚇したり、エメリウム光線で路上の乗用車を炎上させ、パンチキックでビルを破壊し、挙句の果てにアイスラッガーを地上にいたウルトラ警備隊員に放つなど大暴れを見せてくれました。
正直、金城脚本回としては期待外れの低クオリティでした。最後のナレーションで「ビルに心があれば、あのゴミゴミした過密都市に帰るより、この方がいいと思うかもしれません」とかでまとめられてもあまり満足感は無かったですし……、正直ガッカリでした。
他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ
perry-r.hatenablog.com
Vol.2
Vol.3
Vol.4
Vol.5
Vol.6
Vol.7
Vol.8
Vol.9
Vol.10
Vol.11
Vol.12