【特撮】感想：特撮「ウルトラセブン 4Kリマスター版」第４７話「あなたはだぁれ？」

ウルトラセブン 4Kリマスター版 NHK　https://www4.nhk.or.jp/P6565/
放送　NHK BSプレミアム。

【※以下ネタバレ】
　

1967年10月1日に放送が開始された「ウルトラセブン」。当時のフィルムをデジタルスキャンし、4K・HDRでよみがえらせた4Kリマスター版を、NHKが初めて放送する。

第４７話　あなたはだぁれ？

あらすじ

ウルトラセブン　４Ｋリマスター版（４７）「あなたはだぁれ？」
[BS4K] 2022年02月20日午前8:00 ~ 午前8:26 (26分)

団地に住む佐藤が帰宅すると、家族や隣人から知らない人として扱われる。ダンたちが調査をすると、フック星人が団地を宇宙人居住区にしようとしていることがわかった。

Ｋ地区のふくろう団地に住むサラリーマン・佐藤は酔って帰宅した深夜、家族や隣人から「誰なのか知らない」と言われ途方に暮れる。やがて彼の姿は消えた。佐藤からの通報を受けていたウルトラ警備隊は調査に乗り出す。ダンとフルハシは調査で団地中の住人たちが偽者だと確信。フック星人が住人たちの姿を借り、夜な夜な住民を建物ごと入れ替え、団地を宇宙人居住区にしようとしていることを知る……。

【出演】中山昭二，森次晃嗣，ひし美ゆり子，毒蝮三太夫，阿知波信介，古谷敏

　
登場 … 集団宇宙人フック星人

　勤め人の佐藤は深夜二時に酔っ払って自宅のあるふくろう団地に帰宅するが、妻や息子から知らない人間扱いされて、部屋に入れてもらえなかった。しかも隣人や団地の交番の顔見知りの警官たちも、佐藤のことを見たことが無いと口をそろえたため、佐藤は困惑する。しかも団地には怪しい人影が徘徊していた。混乱した佐藤は公衆電話からウルトラ警備隊に連絡するが、宇宙人達に取り囲まれ、電話を切られてしまう。

　同じころ、ウルトラ警備隊ではK地区で発信される謎の音波について調査していた。ダンは、佐藤からの電話に同じ音波が入っているのに気が付き、調査を申し出る。

　翌日、ダンとフルハシはK地区のふくろう団地に赴き、電話の声の主が佐藤という人物で、昨夜から行方不明だと突き止める。佐藤の妻は昨夜は夫と会っていないと言い、佐藤の言っていた事と食い違っていた。

　ダンとフルハシは深夜に再度ふくろう団地に張りこみ、ダンは団地の建物が地下に沈み込み、代わりの建物が浮上してくる光景を目撃する。しかしそれは地球人の目には見えない様に偽装されていた。

　ダンとフルハシは謎の男たちに襲われるが撃退し、地下に乗り込むと、行方不明だった佐藤を見つけ出す。実は団地の地下には地球侵略を狙うフック星人が拠点を建設しており、夜な夜な建物を入れ替えては住民に偽装していたのだった。

　侵略準備を整えたフック星人は円盤を出撃させ、ダンたちは殺されそうになるが、ダンはセブンに変身してフルハシと佐藤を地上に脱出させた。そしてフルハシの連絡で駆け付けたウルトラホーク１号・３号がフック星人の円盤群を攻撃する一方、セブンが巨大化したフック星人三体と対峙した。そしてセブンはフック星人を倒し、円盤群もウルトラ警備隊の攻撃で壊滅した。

　最後、佐藤が団地に戻り、本当の家族と再会するシーンで〆。

脚本：上原正三
監督：安藤達己
特殊技術：的場徹

感想

　評価は○（そこそこ）

　セブンらしくない、なんとものんびりしたサブタイトルで有名な回。しかし内容はわりと平凡で、侵略宇宙人が登場して、事件が起きて、セブンが解決する、という、ある意味オーソドックス、ある意味特に個性も無く流れ作業的に作られたようなエピソード、で、評価はそこそこ。

　冒頭の「深夜に帰宅すると家族や隣人からから知らない人扱いされ、さらに怪しい影に襲われて……」という滑り出しはなかなか良いのですが、それ以降がもう一つ。大体において、フック星人が地球侵略をするために、わざわざ深夜に団地を入れ替え、自分たちが住人に化けておく、という行動の意味が解らない。もっと単純に「地下に基地を作って、そこに潜んで着々と侵略の準備を進める」で良いのでは？

　まあ、たぶんシナリオを「帰宅したら家族の様子がおかしい」という冒頭部分のインパクト重視で書き始めたものの、書きあがったからなんとなくつじつまが合わないお話になっていた、のだろうと思われます……

　今回のゲストキャラで結構出番が多い佐藤さんを演じたのは、小林昭二氏。ウルトラマンのムラマツキャップ、仮面ライダーの立花のおやっさん、と、二大作品でそれぞれ重要な役どころを演じ、昭和特撮キッズにとっては忘れられない俳優さんです。ウルトラマンではアラシ隊員を演じたフルハシ隊員こと石井伊吉氏とのツーショットはちょっと嬉しいボーナスでした。

　今回の侵略者フック星人は、クライマックスではなんと一度に三体も巨大化し、三位一体攻撃でセブンを追い詰める健闘ぶり。しかしその姿をよくよく見ると、頭の部分はともかく、体は黒いレオタードのような格好の上に透明ビニール製の上着を来ているだけ、という貧相さ。このあたり予算ひっ迫ぶりを見て取るのはうがちすぎでしょうか？

　しかも側転やとんぼ返りなどのトリッキーな動きに、さらに謎の音波を駆使した攻めでセブンを弱らせるのに成功したにもかかわらず、気合を入れたセブンが体を発光させると、その眩しさでダウンしてしまうありさま。とどめのワイドショットの変形のような光線を受ける前に完全にKOされていました。確かに「フック星人は夜しか行動しない」とうそぶいていましたが、こんなに光に弱いくせに地球を侵略しようとか、身の程をわきまえるべきだったと思われます。

　最終回前のエピソードがこんなに雑い作りのエピソードだったというのもちょっと驚き。まあ、いつもの「そこそこ」級のお話でした。

集団宇宙人フック星人

　
　