【特撮】感想:特撮「ウルトラセブン 4Kリマスター版」第43話「第四惑星の悪夢」

ウルトラセブン Vol.1 [DVD]

ウルトラセブン 4Kリマスター版 NHK https://www4.nhk.or.jp/P6565/
放送 NHK BSプレミアム

【※以下ネタバレ】
 

1967年10月1日に放送が開始された「ウルトラセブン」。当時のフィルムをデジタルスキャンし、4K・HDRでよみがえらせた4Kリマスター版を、NHKが初めて放送する。

 

第43話 第四惑星の悪夢

 

あらすじ

ウルトラセブン 4Kリマスター版(43)「第四惑星の悪夢」
[BS4K] 2022年01月24日 午後11:15 ~ 午後11:41 (26分)


宇宙ロケットの試験飛行によりダンとソガが辿り着いたのは、ロボットが人間を支配する「第四惑星」。その星のロボットたちは地球を植民地にすることを企んでいた。


地球防衛軍が開発した全自動制御の宇宙ロケット「スコーピオン号」の試験飛行が実施された。20日間の睡眠状態から覚めたダンとソガは目標のコースから外れてしまい、地球にそっくりな「第四惑星」にたどり着く。同星の総合センター長官に接見したダンとソガは、同星は元々人間が支配していたが、今ではロボットが人間を支配していると教えられる。そして地球はロボットが支配する第四惑星の植民地にされる危機にあることを知る。


【出演】中山昭二森次晃嗣ひし美ゆり子毒蝮三太夫阿知波信介古谷敏

 
登場 … 第四惑星アンドロイド ロボット長官、ロボット署長

 地球防衛軍は銀河系のどこにでも行くことのできるロケット「スコーピオン号」を開発し、テストパイロットとしてダンとソガが乗り込むことになった。スコーピオン号は地上から電子計算機で完全に制御されるため、基本的に乗員の仕事は無く、ダンとソガは二十日間の眠りにつく。しかし、スコーピオン号は突然予定のコースを離れて姿を消してしまう。

 出発から三十日後、ダンとソガが目覚めると、スコーピオン号は地上に着陸していたが場所がどこか分からない。二人はスコーピオン号を降りて周囲を確かめると、明らかに日本だった。ところが公衆電話から地球防衛軍に電話すると、番号が廃番になっていると言われてしまう。

 二人は無謀運転のトラックにはねられそうになった少年を助けるが、そこに制服を着た男が現れ、二人を連行する。二人を出迎えた「長官」は、今二人がいるのは地球から約120万億キロ離れた「第四惑星」で、第四惑星の技術でスコーピオン号を呼び寄せたという。この長官は人間そっくりに作られたロボットだった。

 かつて第四惑星は人間が支配していたが、ロボットを開発したあとやることが無くなって怠惰になり、結果的にロボットに支配されるようになったのだという。ロボットたちにとって人間はエネルギー源だったが、五百年以内に滅亡することが予測されており、そのためロボットたちは地球に侵攻して地球人を代わりのエネルギーにするつもりだった。

 二人は長官の秘書アリーの手引きで逃走するが、アリーと彼女をかくまった二人は長官に捕まり、処刑されそうになる。二人を助けに来たダンとソガだったが、兵隊の銃撃でソガが撃たれ、ダンはセブンに変身する。セブンは地球侵略用の宇宙船を次々と破壊した。

 ダンとソガはスコーピオン号で地球に帰還することが出来たが、キリヤマたちは第四惑星の話に対して半信半疑だった。ソガは地球防衛軍のシステムが電子計算機に置き換えられるという話を聞き、第四惑星と同じことになると反論するが、キリヤマは取り合わなかった。最後、ダンとソガが二人で外を歩いて適当に話をしているシーンで〆。


脚本:川崎 高・上原正三
監督:実相寺昭雄
特殊技術:高野宏一


感想

 評価は○(それなり)

 第33話「侵略する死者たち」・第37話「盗まれたウルトラ・アイ」と並ぶ着ぐるみ宇宙人が出てこない回、鬼才・実相寺昭雄監督のセブン復帰作、大人向けというか子供視聴者無視のエピソード、と色々な事で有名な回。正直これをウルトラセブンでやる必要があるのか感が物凄いエピソードでした。


 いつものように予算がないために着ぐるみ抜きの話を作ることになって生まれた一作だそうですが、おかげで内容はウルトラセブンというより「トワイライトゾーン」(※アメリカのテレビドラマシリーズ)の方がよほど向いている回となっており、中高生以上ならともかく、子供の視聴者の事を意識しているとは全く思えない内容でした。そういう話なのでヒーロー・ウルトラセブンの登場場面は無理やりこじつけたような感じで、物凄い違和感でしたね。。


 また、それ以前の段階で、シナリオに粗が目立ち

・地球とは全く違う星に来たはずなのにガソリンスタンドで日本語を使っている
・お馴染みのデザインの赤電話がある
・ダンとソガが第四惑星から逃げ出すあたりの描写が丸ごと無い

 等等、かなり「適当」な話になってしまっています。ソガはセブンが現れたことに気が付いていたのか居なかったか、地球侵略部隊がどうなったか気にならなかったのだろうか、など、気にしていたらきりがありません。もっと緻密に組み立てられて恐怖感を煽るようなエピソードだと思っていたので、雑な展開にはちょっと面食らいました。


 まあ、そういうシナリオを補ってあまりあったのが実相寺監督の演出力。いつものように薄暗くて仕方ないウルトラ警備隊の作戦室、無意味に奥に長くて不気味感が漂うロボット長官の部屋(廊下の真ん中に机を置いているだけにも見えますが……)、などで、人間とロボットの立場が逆転した悪夢世界を実に上手く描写していました。この回は、実相寺監督担当でなければ凡作扱いだった可能性が高そうです。


 印象的なロボット長官を演じたのは、第29話「ひとりぼっちの地球人」でプロテ星人/仁羽教授を演じた成瀬昌彦氏。知的さを漂わせる悪役キャラがやたら似合う俳優さんであります。


 ようやく地球に帰って来たダンとソガですが、ラストシーンは二人で私服で景色を眺めながら、下駄を放って明日の天気を占うという訳の分からないオチになっており、目を白黒させる羽目になりました。ここはありがちでも「機械文明批判」とかそういう物で締めくくればよかったのに、どういう気持ちであのお天気占いの結末を見ればよいのか解りません。

 ということでイメージしていた内容とは色々と違うエピソードでありました。これなら同じ予算ひっ迫エピソードでも、「盗まれたウルトラ・アイ」の方がよほど良かったな……
 

第四惑星の悪夢 ロボット長官
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