【特撮】感想:特撮「ウルトラセブン 4Kリマスター版」第42話「ノンマルトの使者」

ウルトラセブン Vol.1 [DVD]

ウルトラセブン 4Kリマスター版 NHK https://www4.nhk.or.jp/P6565/
放送 NHK BSプレミアム

【※以下ネタバレ】
 

1967年10月1日に放送が開始された「ウルトラセブン」。当時のフィルムをデジタルスキャンし、4K・HDRでよみがえらせた4Kリマスター版を、NHKが初めて放送する。

 

第42話 ノンマルトの使者

 

あらすじ

ウルトラセブン 4Kリマスター版(42)「ノンマルトの使者」
[BS4K] 2022年01月17日 午後11:15 ~ 午後11:41 (26分)


海水浴を楽しんでいたダンとアンヌの目前で海上基地・シーホース号が爆発。ダンらの前に現れた不思議な少年は、地球の先住民ノンマルトが怒っていると告げる。


休日に海水浴を楽しんでいたダンとアンヌの目前で海洋開発センターの海上基地・シーホース号が突如爆発。その事件を予告してきた真市と名乗る不思議な少年は、地球の先住民ノンマルトが事件を起こしたと語る。現在の地球人はノンマルトを陸上から海底に追いやり、地球人がさらに海底開発に手をつけたことに怒っているという。そして何者かの操る原子力潜水艦グローリア号と怪獣ガイロスが人類に対して攻撃を始める。


【出演】中山昭二森次晃嗣ひし美ゆり子毒蝮三太夫阿知波信介古谷敏

 
登場 … 地球原人 ノンマルト、蛸怪獣 ガイロス

 ダンとアンヌは休暇で海水浴を楽しんでいたが、アンヌの前に見知らぬ少年が現れ、強引に話しかけてくる。少年は、近くの海で海底開発を行っているシーホース号に大変なことが起きるので開発をやめさせろと言うと、すぐに姿を消してしまう。直後、少年の言葉通りシーホース号は大爆発を起こす。

 アンヌはキリヤマに少年の事を報告し、キリヤマはアンヌ達に少年を探すように命じる。しかしいくら探しても少年は見つからず、二人は一旦基地に引き上げる。基地には謎の少年からの電話で「海底はノンマルトの物だから、侵略されれば戦う」という警告が届いていた。ダンは、故郷のM-78星雲では地球人の事をノンマルトと呼んでいるため困惑する。

 アンヌ達は再び海に向かい、ようやく謎の少年を見つける。その少年・真市は「ノンマルト」とは地球の先住民で、人間こそ侵略者であり、ノンマルトを海底に追いやったと訴えるとまた姿を消す。直後、怪獣が海に出現するが、ウルトラ警備隊が出動し空と海からの攻撃で怪獣を倒した。

 基地に帰還したフルハシたちは怪獣ノンマルトを倒したと意気揚々だったが、また少年から連絡が入り、彼らが倒したのは怪獣ガイロスであり、ノンマルトは別にいると知らされる。しかもノンマルトは二ヵ月前行方不明になったイギリスの原潜グローリア号を使い地上を攻撃してくると言う。

 その予告通り、グローリア号に乗り込んだノンマルトたちは地上への攻撃を開始し、死んだはずのガイロスも再出現した。ダンはセブンに変身しようとするが、その前に真市が現れ、ノンマルトへの攻撃を止めるように訴える。ダンは真市の目から逃れようと何度も場所を変えるものの、そのたびに真市は先回りして現れ、仕方なくダンはその前でセブンに変身する。

 セブンがガイロスと戦う一方、キリヤマたちはハイドランジャーでグローリア号を攻撃して破壊し、さらに海底にノンマルトの海底都市を発見する。キリヤマはノンマルトが地球の先住民という言葉に一度は躊躇するものの、結局海底基地に猛攻を仕掛け、完全に破壊してしまい、セブンもガイロスを倒した。


 戦いの後、ウルトラ警備隊のメンバーは海辺て休暇を楽しんでいたが、ダンとアンヌは割り切れぬ思いでいた。二人は岩場に真市がいるのを見つけ駆け付けると、真市はおらず、代わりに岩場で献花している女性と出会う。女性は二年前死んだ息子の命日だからやって来たと言い、ダンとアンヌはその子供の名前が「真市」であることを知って愕然とする。真市の魂がノンマルトの使者としてやってきたのか、ノンマルトは本当に地球の先住民だったのか、全ては謎のまま終わった。


脚本:金城哲夫
監督:満田かずほ
特殊技術:高野宏一

感想

 評価は○(伝説の一作)

 ウルトラセブンを語る時には必ず出て来る伝説級のエピソード。大人向け(=子供視聴者無視)のエピソードが連発された40話台でも特に代表的な話です。

 ちなみに40話台に後世に語り継がれるような「尖った」感じのエピソードか多いのは、番組途中でTBS側のプロデューサーが交代し、その人がストーリーに非常にこだわる人だからだったそうです。そのおかげで、子供には面白くもなんともないけど、大人たちが評価する話が量産された、ということらしい。


 今回のエピソードは、ヒーロー物としては異色中の異色の展開、普段は宇宙人の侵略を受けている人間/地球人が実は、他の種族から地上を奪った侵略側だったのでは? というとんでもないテーマの一作です。さすがにこれを真正面から描いて、ノンマルトが直接人間側を非難するような展開だと、あまりにキツすぎてとても見ていられなかったことでしょう。

 しかし、そこは金城哲夫氏の巧みなアイデアというかで、謎の少年・真市をノンマルト側のメッセンジャーにすることで、人間とノンマルトが立場の違いを巡って言い争うというような目を覆いたくなるシーンが出ずに済み、テーマの割には落ち着いてみられる雰囲気となっています。

 また、結末は、ウルトラ警備隊がノンマルトの基地を大破壊して一方的に虐殺するという苦いオチとなり、ダンやアンヌはわりきれずにいるわけですが、そこについても「実は真市は既に死んでいた!」という種明かしを最後に持ってくることで二人が変に思い悩んだままエピソードが終わる事にならずに済んでおり、上手く出来ているなと感心させられました。

 扱っているテーマは重厚ですが、金城氏の技巧ですんなりと視聴できる一作に仕上がっており、評価が高いのも納得のエピソードでありました。

 ちなみに 今回同様に「ウルトラ警備隊が未知の種族の都市を発見するが、詳しく調べるまでも無く一方的に破壊してしまう」という展開が、既に第17話「地底GO!GO!GO!」でも見られますが、その際にはウルトラ警備隊の全員が何の疑問も苦悩も感じていない、という対照的な回でした。比較するとちょっと面白い。


 今回登場した怪獣ガイロスは、当時視聴者相手に開催された怪獣デザインコンクールの入賞作品とのこと。まあ素人が考えたにしては悪くないデザインではないかと思います。特に感心するデザインでもありませんけど。


 冒頭、シーホース号の海底基地の人員役で、ウルトラマンのイデ隊員で有名な二瓶正也氏が数分登場していますが、ホントにこの場面しか出てきません。エエっという感じでしたねぇ。


ガイロス/ノンマルト
HG ウルトラマン セブン 怪獣コンプリート計画 ノンマルト/ガイロス 2種
 
 

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perry-r.hatenablog.com
 
 
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