ウルトラセブン 4Kリマスター版 NHK https://www4.nhk.or.jp/P6565/
放送 NHK BSプレミアム。
【※以下ネタバレ】
1967年10月1日に放送が開始された「ウルトラセブン」。当時のフィルムをデジタルスキャンし、4K・HDRでよみがえらせた4Kリマスター版を、NHKが初めて放送する。
第32話 散歩する惑星
あらすじ
ウルトラセブン 4Kリマスター版(32)「散歩する惑星」
[BS4K] 2021年10月31日 午前8:00 ~ 午前8:26 (26分)
小惑星と思われる物体が飛来。その物体からの電磁波で、地球防衛軍の基地機能の一部がマヒ。そして調査に向かったウルトラ警備隊の前には、怪獣リッガーが現れる。
1967年に地上波放送された『ウルトラセブン』を初の4K化・国内初放送!アステロイド・ベルトから離脱した小惑星と思われた物体。実は何者かによって遠隔操作された島のごとき無人基地で、そこから発せられる電磁波のために地球防衛軍の基地機能がマヒ寸前に陥る。真っ直ぐに防衛軍基地を目指す「散歩する惑星」。それを調査するウルトラ警備隊の前に出現した怪獣リッガーに対し、ダンはカプセル怪獣アギラで迎え撃つ!
地球防衛軍の基地に、宇宙ステーションV2から、アステロイドベルトの小惑星が地球に接近しているとの連絡が入った。フルハシ・アマギ・ダンは、警戒パトロールのためホーク1号で出発するが、空中に浮かぶ島に遭遇し、ホーク1号は島から発射された光線に吸い寄せられて墜落してしまう。
目を覚ましたダンたちは、未知の場所に不時着していることに気が付くが、近くに富士山が見えることから地球にいると安堵する。同時に、今いるのが宇宙から飛来した小惑星の上だと悟り、宇宙人の前進基地らしい物を見つけたため、すぐさま内部に突入した。しかし中には誰もおらず、さらに扉が閉まって閉じ込められてしまう。
地球防衛軍基地では、小惑星から発せられる強力な電磁波で機能がマヒしていた。キリヤマ・ソガ・アンヌはポインターで消えたダンたちの捜索に向かうが、バリアに阻まれて先に進めなくなり、仕方なく基地に引き返す。マナベ参謀は、新型ミサイル・キリーで小惑星を攻撃する準備を進めさせる。
ダンたちはようやく謎の施設から脱出し、ホーク1号で飛び立とうとするが、施設が発する電磁波のため機器が作動しなかった。ダンは施設を爆弾で破壊するために単身戻るが、謎の怪獣(リッガー)と遭遇してしまう。ダンはセブンに変身しようとするが電磁波のため上手くいかず、カプセル怪獣アギラを投入した。
ダンは爆弾で施設を破壊し、電磁波の放射は止まった。キリヤマたちはホーク3号でフルハシたちの救出に駆け付けたが、ダンが行方不明のため、仕方なくフルハシとアマギだけを連れて脱出した。
ダンはセブンに変身し、リッガーの首を切り落とすと、首が小惑星の誘導装置になっていることに気が付き、宇宙へと運んでいった。小惑星は進路を変えて首を追いかけて宇宙に向かい、空中で爆発した。
感想
評価は△(イマイチ)
原案一人、脚本二人、の三人がかりで書いたにもかかわらず、とりとめがなく締まらない内容のエピソードで評価は今一つ。
原案担当の虎見邦男氏は「ウルトラQ」で傑作「バルンガ」のシナリオを書いた人ですが、氏の書いた原案がこの程度だっのか、脚本の二人の料理の仕方が悪かったのか、とにかく、なんかピリッとしない展開で退屈至極でした。
今回は攻撃を仕掛けてきたのが何者だったのか、また何を企んでいたのか、が全く明らかにならないまま終わってしまうという異色なエピソード。このような展開は、上手く料理すれば不気味でミステリアスな雰囲気を醸し出すことができますが、今回の場合は「敵について何も具体性な事を決めずに、適当に誤魔化して作ったような話」にしか見えず、未知の敵という要素が全く面白さに繋がっていませんでした。
地球にやってきた「散歩する惑星」が、侵略基地ではなく時限爆弾だというのは、ダンの勝手な推測でしたが、いつの間にかそれが既成事実として語られ始めるのも何か納得できませんでした。また、セブンが切り落としたリッガーの首が小惑星の進路を誘導する装置だったという設定も、小惑星を追い払うために作られたご都合主義展開にしか見えず、突然セブンが首を抱えて宇宙に飛んでいくくだりもなにか釈然としませんでした。
さらに、終盤、キリヤマが行方不明のダンを置いて小惑星を脱出する決断をするのは、状況的に見て致し方ないとは思うのですが、そのあとダンが戻って来る描写が無いまま番組が終了してしまうというのは、あまりにも投げっぱなし過ぎるというか、しめ方が雑過ぎました。あの状況ではダンが生きて戻ってこれる可能性ほぼゼロですけど、そのあとのフォローというか、ダンがなんとか助かって仲間と再会するシーンが無い事には、上手い結末を思いつかなくて適当にお茶を濁したと言われても仕方ないでしょう。とにかく、様々なところでいい加減さが目に付く話でした。
今回、第三のカプセル怪獣アギラが初登場。同じカプセル怪獣でも、ウィンダムは第1話、ミクラスは第3話、と早々にデビューしたのと比較して、あまりにも遅い登場です。また他の二体が「ロボットっぽい」「牛っぽい」と個性的なデザインなのに対し、ただのトカゲ風と個性(?)が無く、地味に感じるキャラクターで、登場してもあまりありがたみがありませんでした。
侵略宇宙人は出てこないわ、カプセル怪獣は地味だわ、と、全てにおいて見どころのないエピソードだったと言えましょう。秀逸なのはサブタイトルだけでしたね。
他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ
perry-r.hatenablog.com
Vol.2
Vol.3
Vol.4
Vol.5
Vol.6
Vol.7
Vol.8
Vol.9
Vol.10
Vol.11
Vol.12