【特撮】感想:特撮「ウルトラセブン 4Kリマスター版」第36話「必殺の0.1秒」

ウルトラセブン Vol.1 [DVD]

ウルトラセブン 4Kリマスター版 NHK https://www4.nhk.or.jp/P6565/
放送 NHK BSプレミアム

【※以下ネタバレ】
 

1967年10月1日に放送が開始された「ウルトラセブン」。当時のフィルムをデジタルスキャンし、4K・HDRでよみがえらせた4Kリマスター版を、NHKが初めて放送する。

 

第36話 必殺の0.1秒

 

あらすじ

ウルトラセブン 4Kリマスター版(36)「必殺の0.1秒」
[BS4K] 2021年11月28日 午前8:00 ~ 午前8:26 (26分)


地球防衛軍の射撃大会で上位成績の隊員たちが、人工太陽計画の最高責任者の警護を命じられる。しかしその一人、ヒロタ隊員はペガ星人の指令で動く暗殺団の一人であった。


1967年に地上波放送された『ウルトラセブン』を初の4K化・国内初放送!地球防衛軍の射撃大会で上位成績の隊員たちが、人工太陽計画の最高責任者であるリヒター博士の警護を命じられる。だがメンバーの一人、参謀本部所属でソガのライバルでもあるヒロタ隊員は、侵略者ぺガ星人の指令で動く暗殺団の一人であった。射撃大会優勝と引換えに、悪魔に魂を売っていたのだ。ソガはヒロタの良心に必死で訴えるが…。


【出演】中山昭二森次晃嗣ひし美ゆり子毒蝮三太夫阿知波信介古谷敏

 
登場 … 催眠宇宙人 ペガ星人


 地球防衛軍の射撃大会が開催され、ソガと参謀本部所属でソガの同期のヒロタ隊員が決勝に進出するが、ソガは射撃の際に足を滑らせて目標を撃ち損ねてしまい、ヒロタが優勝する。自室に戻ったヒロタに謎の声が呼び掛け、昨日聞いたヒロタの「大会に優勝したい」という望みをかなえてやったという。

 直後、ソガ・ヒロタら射撃大会の上位進出者四人がマナベ参謀に呼び出される。地球防衛軍は極秘裏に人工太陽計画を進めていたが、計画に携わる科学者たちが次々と何者かに殺害されており、その最中に計画の中心人物リヒター博士が来日するため、ソガたちはリヒター博士の護衛を命じられる。

 ところが博士の極秘来日は謎の敵に筒抜けで、ソガたちは襲撃を受けて博士は射殺され、ソガも何者かに撃たれてしまう。ソガは意識を失う直前、ヒロタが逃げていく姿を目にしていた。目を覚ましたソガは基地に運ばれ治療を受けるが、ヒロタが護衛の一人ミナミ隊員がスパイと証言したことを知らされる。殺されたリヒター博士は実は情報部員が変装した偽物で、本当の博士は翌日来日することになり、今度はウルトラ警備隊が護衛を任される。

 ソガはヒロタを訪ね、ヒロタこそが裏切り者のスパイだと指摘するが、謎の音の攻撃で意識を失ってしまう。ヒロタはソガを車に乗せて、宇宙から飛来した円盤に乗り込む。円盤の乗員はアルファケンタウリ第13番惑星から来たペガ星人で、地球侵略の障害となる人工太陽計画の阻止を目論んでいた。しかしベガ星人は地球の大気圧に耐えられないため、特殊催眠で地球人を操り、計画の関係者を殺害させていたのだった。ソガもベガ星人の催眠で操り人形にされてしまう。

 翌日。ベガ星人の操り人形となったヒロタはリヒター博士を拉致して逃走し、ダンたちは追跡しようとするがソガが邪魔しようとしたため、当て身で眠らせる。そのあとヒロタの攻撃でダンたちは失神するが、代わりに目覚めたソガは催眠が解け、ヒロタを追い詰める。ヒロタはソガに銃の勝負を挑むが、ソガは一瞬早くヒロタを撃ち倒す。

 そこにベガ星人の円盤が出現しソガとリヒター博士を襲うが、目を覚ましたダンがセブンに変身し、ベガ星人を倒した。

脚本:山浦弘靖
監督:野長瀬三摩地
特殊技術:高野宏一


感想

 評価は○(まあまあ)

 ソガ隊員に焦点を当てた珍しいエピソード。ソガの射撃の名手という(忘れられがちな)設定を生かしていたり、宇宙人の描写よりソガとヒロタの関係に焦点を当てていたり、と、それなりに見ごたえのあるエピソードでした。

 今回のキーパーソンはソガの同期ヒロタ隊員。射撃の名手であるばかりか、参謀本部所属ということで、ウルトラ警備隊所属のソガよりまだエリート。射撃大会の優勝トロフィーを抱えてウルトラ警備隊の隊員たちの前に来るなり嫌味っぽい事を言うなど、最初からキャラ立てはばっちりでした。

 しかし、その実態はプライドのために正体も解らない怪しげな声と取引するような人間。ということで「個人の欲のため宇宙人と取引した卑劣キャラ」という設定で最後まで押し通せばよかったのですが、途中で「実はベガ星人の催眠術に操られていた」という事が明らかになり、ちょっとキャラ的に弱くなってしまいました。どうせなら、催眠術設定はソガだけに限定して、他のキャラは、催眠で強制されたのではなく、欲につられてベガ星人のために働いていた人類の裏切り者、という事の方が良かったのでは。


 今回の侵略者はアルファケンタウリ第13番惑星から来たペガ星人。地球の気圧に耐えられず自分では地球で自由に活動できないため、現地の地球人を催眠術で操っていた、という、狡猾さより「身体の虚弱さ」の方が印象に残ってしまう宇宙人です。しかし、まあ、過去にもクール星人やチブル星人など肉弾戦は専門外で、基本的に表に出ずに地球侵略に臨んだ宇宙人たちもおりましたので、その仲間と考えてあげればいいのかもしれません。

 しかし人工太陽計画を阻止する理由が「地球に来る際に宇宙船のコースをふさぐから」というのはなんだかなぁ感強し。遠くアルファケンタウリから飛んでこられるなら、人工太陽をよけて着陸するくらい簡単じゃないのか?


 いつもは侵略宇宙人には相応の態度で挑むウルトラセブンですが、今回は何故かベガ星人に対して妙に優しく、ベガ星人の円盤に乗り込むと「お前の星へ帰れ」と退去勧告だけで済まそうとしています。

 ベガ星人は、人工太陽計画の関係者殺害事件の首謀者であるうえに、直前まで円盤からセブンに猛烈な攻撃を仕掛けていたのですから、それらの所業を考えると無罪放免するという選択肢は無いと思うのですが、今回のセブンはどういう心境だったのか。まあ、ベガ星人が無謀にも抵抗してくれたおかげで、セブンの方も心置きなく戦うことができ、身の程知らずのベガ星人はエメリウム光線で瞬殺されてしまいました。


 今回は第30話「栄光は誰のために」と同様、地球防衛軍内部の人間関係をテーマにしており、ちょっと大人テイストで、まずまずの佳作だったといえましょう。


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