【科学】感想:NHK番組「贋作の誘惑 ニセモノ VS. テクノロジー」(2022年10月29日(土)放送)

偽りの来歴 ─ 20世紀最大の絵画詐欺事件

贋作(がんさく)の誘惑 NHK https://www.nhk.jp/p/ts/6QJPZ5QL6M/
放送 NHK BSプレミアム

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 
 

内容

贋作(がんさく)の誘惑 ニセモノVS.テクノロジー
[BSプレミアム] 2022年10月29日 午後10:30 ~ 午前0:00 (90分)


高価な美術品が飛び交う華やかなアートシーンの裏であふれる贋作。贋作を暴こうとする最新の鑑定テクノロジーと、さまざまなテクニックを駆使して鑑定を欺こうとする贋作者たちの終わりなき戦い。その最前線をヨーロッパに追う。世界を揺るがす巨大贋作事件の当事者や、伝説の贋作師にも独占取材を敢行!


美術鑑定と贋作の果てなき戦いの最前線をヨーロッパに追う。世界中の美術館を巻き込んだ巨大贋作事件の当事者は何を語る?伝説の贋作師ベルトラッキにも独占取材!


華やかなアートシーンの裏であふれる贋作。ニセモノを暴こうと飛躍的な進化を遂げる鑑定テクノロジーと、さまざまなテクニックを駆使して鑑定を欺こうとする贋作者たちの熱き戦いを追う。史上トップクラスの贋作師が。驚きのテクニックと哲学を披露。世界の美術館、コレクターを惑わす「贋作の誘惑」が突きつけるのは根源的な問いだ…。ホンモノとは?ニセモノとは?そして、「アートとはなにか?」


【語り】小山茉美

 
・フランスには美術品関連犯罪専門の組織「OCBC」がある。かつては盗難が捜査の中心だったが、約10年前から贋作事件が増え始め、今では七割を占める。


・6年前に「ルフィニ贋作事件」という大事件が発生した。自称アートコレクターのジュリアーノ・ルフィニとい人物が扱った名画が、実は贋作ではないか、という疑惑が持ち上がり、ヨーロッパ美術界が震撼。未だに捜査が続いている。


・伝説的贋作師ウォルフガング・ベルトラッキを取材。一度逮捕されて服役し、今はまともな絵描きとして活動中。ベルトラッキは、ゴッホとかの有名画家の作品ではなく「一般人は知らないが専門家には知られているレベルの画家」を選び、レゾネ(カタログ)を調べて「その画家が描いたが今まで見つかっていなかった」と信じさせるような題材を選択し、当時のカンバスと絵の具を使って見事に贋作を作り上げていた。


・今では贋作を見破るために「放射性炭素14年代測定」という、古生物学で使われていた手法も活用されている。生物は呼吸や食物連鎖で大気と同じ濃度の放射性炭素14を体内に取り込んでいる。しかし死ぬと体内に取り込めなくなり減る一方なので、それを測定すると死んでからの時間が解る。1950年代に各国が核実験を行ったため、大気中の放射性炭素14濃度が激増した。そして絵画に使われた素材のサンプルの放射性炭素14を測定すると、数百年前のものなのか、数年前に作られた物なのか、が判断できる。


・またAIによる絵画鑑定も行われるようになった、例えばAIにゴッホの絵のタッチを学習させることで、ある絵がゴッホ作品か違うかをパーセンテージではじき出す。そしてあるゴッホの自画像が半世紀の間、贋作ではないかと疑われていたが、AIは90パーセント以上の確率でゴッホの真作だと鑑定した。


・しかし、そもそも現在、作品が本物か偽物か、はあまり意味が無くなってきている。金持ちが単なる投資先としてアート業界を選び、買った作品を倉庫に保管したまま転売している。もう作品が単なる投資対象でしかなくなっている。


感想

 90分番組でしたが、いささか長すぎて散漫という感じで、満足度はもう一つ。まあ最新の贋作判定の話を見れたのはちょっと良かったかな。

 AIの発展でイラストレーターの仕事がなくなりそうですが、その次に来るのは美術鑑定業界の大失業かもしれませんな、こりゃ。
 
 
偽物・贋作の 作り方、見分け方: 素人のための 古美術品・書画 鑑定法