【歴史】感想:歴史番組「ダークサイドミステリーE+」2022年版「ナチスをだました男 20世紀最大の贋(がん)作事件」(2022年5月10日(火)放送)

フェルメールになれなかった男: 20世紀最大の贋作事件 (ちくま文庫)

ダークサイドミステリーE+ NHK https://www.nhk.jp/p/ts/ZG5NQK3K3P/
放送 NHK Eテレ。毎週火曜夜10時45分~11時15分放送。

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

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驚きと感動の「闇」が、地上波に登場!


BSプレミアムでシーズン4が4月14日(木)スタートする話題の番組「ダークサイドミステリー」。その名作の数々が、コンパクト30分版に見やすくなってEテレに登場!


背筋がゾワゾワ、心がドキドキ、怖いからこそ見たくなる。世界はそんなミステリーに満ちている。世間を揺るがした未解決の事件、常識を越えた自然の脅威、いにしえの不思議な伝説、怪しい歴史の記録、作家の驚異の創造力…。こうした事件・出来事を徹底再検証!


ナビゲーター・栗山千明、語り・中田譲治、テーマ音楽・志方あきこのダークなトライアングルで迫ります。

 

ナチスをだました男 20世紀最大の贋(がん)作事件 (2022年5月10日(火)放送)

 

内容

ダークサイドミステリーE+▽ナチスをだました男 20世紀最大の贋(がん)作事件
[Eテレ] 2022年05月10日 午後10:45 ~ 午後11:15 (30分)


ナチス高官にニセ名画・幻のフェルメールを15億円でだまし売り、世界に衝撃を与えた天才贋(がん)作師メーヘレン。なぜサギ師が英雄になり破滅?世にも数奇な人生とは?


ヒトラー率いるナチスドイツの最高幹部が15億円の名画サギに!?世紀のだましを実行したのは、闇の天才贋作(がんさく)師メーヘレン。大人気画家フェルメール幻の作品への金持ちや権力者の欲望を狙いニセ名画を量産した末に、驚くべき数奇な運命で人生を翻弄された伝説の画家だ。タダ同然の絵を数百万倍の名画に仕立てただましテクニックとは?高名な美術研究者までだまされた、意外な落とし穴とは?芸術と金と欲望の闇に迫る!


【出演】栗山千明,【語り】中田譲治

 今回は「2020年4月2日放送回」のダイジェスト版。
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【ミステリー】感想:歴史ミステリー番組「ダークサイドミステリー」(2020年版)『ナチスをだました男 20世紀最大の贋作(がんさく)事件』(2020年4月2日(木)放送)
https://perry-r.hatenablog.com/entry/2020/04/10/001302

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 今回のテーマは「天才贋作師ハン・ファン・メーヘレン」。



ハン・ファン・メーヘレンとは

 ハン・ファン・メーヘレン(1889年~1947年)はオランダの画家。有名画家フェルメールの贋作を描き、生涯で64億円を得た。



●メーヘレン、美術界に復讐を誓う

 メーヘレンは24歳の時、絵画で賞を取りプロの道に進んだ。ところが彼がデビューした1910年頃から、絵画の世界の流行は、写実的な物から抽象的な作風に変化しつつあった。メーヘレンの絵は技術はあるが時代遅れでオリジナリティが無いと見なされ、メーヘレンは売れない画家に転落してしまう。仕方なくメーヘレンは画家を辞め絵の修復を行う「修復師」の仕事をして食べていくしかなくなった。

 1923年。メーヘレンが33歳の時、知人がオランダの大物画家で「笑いの画家」と呼ばれるフランス・ハルスの作品と思しき絵を持ち込み修復を依頼してきた。メーヘレンは要望に応えて、その作品をハルス風に修復したところ、その絵「笑う士官」は、専門家が「これは未発見のハルス作品」と太鼓判を押し、オークション会社が4500万円で購入したのである。

 ところが、その後。オランダ美術界の最高権威である美術史家のアブラハム・ブレディウスは再鑑定を要求した。絵の具は絵に塗られてから約50年経つと油が蒸発して岩のように固くなるが、蒸発前の新しい絵なら、アルコールを含んだ綿で絵の表面をぬぐうとアルコールに絵の具が溶けて最近の作品だと解ってしまう。

 ブレディウスは「笑う士官」にアルコールテストを行い、つい最近描かれた絵と発見して偽物扱いしたのである。この一件でメーヘレンは贋作者のように報道され、その恨みから、メーヘレンはオランダ美術界に復讐を誓うことになった。



●メーヘレン、フェルメールを偽造する

 メーヘレンはブレディウスに復讐するため、あえてブレディウスの専門分野であるオランダの有名画家フェルメールの作品の贋作に挑むことにした。

 メーヘレンは「アルコールテスト」を突破するため、液体プラスチックを混ぜた絵の具で絵を描き、それをオーブンで乾かしてカチカチに固くして古い絵画のように見せる、という手法を開発した。またキャンバスは17世紀に描かれた絵画の物を利用した。絵を上から描くとX線検査でバレてしまうので、丁寧に絵の具を削り落としてから絵を描いた。さらには、古い絵画ぽく見せるため、絵を曲げて細かいひび割れを作り、そこに黒いインクを塗り込んで古く見せるということまでやった。


 5年後の1937年、メーヘレン47歳の時、キリストをモチーフにした贋作「エマオの食事」が完成した。早速ブレディウスはアルコールテストを行うが、当然絵の具は溶けなかった。するとブレディウスは、これ以上の科学鑑定を行わず、この絵を本物のフェルメールだと認めたのである。

 その理由は、ブレディウスの仮説に有った。フェルメールは最初は宗教画を描いていたが、やがて庶民の生活を描く風俗画に移行した。ブレディウスは、この二つの間をつなぐ未発見の作品が有ってもおかしくないと考えていた。そして「エマオの食事」は、まさに宗教画と風俗画の二つの要素を併せ持つ、ブレディウスが有ってほしいと考えてほしい絵そのものだった。この絵は5憶円で売れ、メーヘレンは大金持ちとなった。



●メーヘレンの絵、ナチスドイツに買い取られる

 その後もメーヘレンはフェルメール作品の偽造を繰り返し大金を稼ぐが、財産が増えるのと並行して生活は荒れ、酒とモルヒネに溺れるようになっていった。

 1942年、メーヘレンが51歳の時、メーヘレンは「キリストと姦婦」という宗教画を描き上げるが、荒れた生活のせいか完成度は低かった。ところが画商に持ち込まれたこの絵に、ナチスドイツのナンバー2だった国家元帥ヘルマン・ゲーリングが目を付けた。

 美術通だったゲーリングは、ナチスがヨーロッパ中から略奪で手に入れた膨大な名画を自宅に飾っていたが、フェルメール作品が無いため、未発見のフェルメールを求めていた。そこに丁度メーヘレンの作品を見つけたという知らせが入り、飛びついたという訳だった。メーヘレンは贋作を掴ませたことがバレたら殺されると怯えるが、ゲーリングはこの贋作に15億円を支払い、その支払いの一部はオランダから略奪した絵画二百点が含まれていた。



●メーヘレン、贋作を告白する

 第二次大戦が終わった三週間後、メーヘレンは国家反逆罪で逮捕された。罪状は、オランダの至宝フェルメールの絵画をナチスに売り渡したというものだった。戦争が終わり、ナチスが略奪した美術品が回収されていったが、ゲーリングが所有していたフェルメールの入手経を調べるとメーヘレンの名前が浮上したのである。メーヘレンは国の宝を売った売国奴扱いされた。
 
 メーヘレンは最初は黙秘していたが、ついにナチスに売った絵は自分が描いた贋作だと告白した。最初はその話を誰も信じなかったものの、メーヘレンは監察官に監視されている状況で「フェルメールの新作」を描いてみせ、それを見た人々はメーヘレンの言葉が真実だと知った。

 1947年、メーヘレン58歳の時に裁判が行われ、美術鑑定士たちはメーヘレンの高い技術を認めた。そしてメーヘレンは売国奴から一転、ナチスに贋作を掴ませてオランダの絵画を取り戻した国民的英雄という扱いに変わったのである。

 しかしメーヘレンは、判決からわずか六週間後、1947年12月30日に心臓発作で亡くなった。享年58歳。酒とモルヒネで体がむしばまれていたためと言われる。


 メーヘレンの「キリストと姦婦」は、地方にあるフンダーチー美術館で、「メーヘレンの作品」として、今でも見ることができる。


感想

 名前だけならメチャクチャ有名な贋作者メーヘレンのお話。なかなかに面白かったですね。
 
 

光と闇のナビゲーター 栗山千明
語り 中田譲治
テーマ音楽 志方あきこ

 
 

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