【ゲームブック】感想:ゲームブック「死の罠の地下迷宮」(イアン・リビングストン/2022年)【クリア】

Fighting Fantasy 06 Deathtrap Dungeon (Puffin Adventure Gamebooks)
Fighting Fantasy 06 Deathtrap Dungeon (Puffin Adventure Gamebooks)

http://www.amazon.co.jp/dp/4815613966
ファイティング・ファンタジー・コレクション~レジェンドの復活 単行本(ソフトカバー) 2022/7/16
安田均グループSNE (著)
出版社:SBクリエイティブ (2022/7/16)
発売日:2022/7/16
単行本(ソフトカバー):1280ページ

★★【以下ネタバレ】★★
 
 

死の罠の地下迷宮
いまだかつて誰も生還したことがない「死の罠の地下迷宮」――サカムビット公が統治する都市「ファング」を舞台に、未踏の迷宮へと挑む勇敢なる者たちの試練を描く。タイトルが示すように迷宮内は「死の罠」に満ちており、凶悪なトラップがいたるところに張り巡らされ、多くの難敵が待ち構えている。シリーズ序盤に発表された作品であり、きわめて高い知名度を誇る名作。

 
 今年(2022年)7月に発売されたゲームブック5冊詰め合わせセット「ファイティング・ファンタジー・コレクション~レジェンドの復活~」

ファイティング・ファンタジー・コレクション~レジェンドの復活~ | SBクリエイティブ
https://www.sbcr.jp/product/4815613969/

www.sbcr.jp
 
 の中の一冊「死の罠の地下迷宮」(本国イギリスでは1984年発売)をクリアしましたので、感想をば。


概要

 「ファイティング・ファンタジー(FF)・シリーズ」6作目。王道ファンタジー作品。


あらすじ

 ファングの町では、領主サカムビット公が建設した巨大地下迷宮に挑む「迷宮探検競技」が毎年開催されている。競技の勝者には莫大な報酬が約束されているが、生きて地下迷宮を脱出した者は未だ一人もいない。そして今年の競技に挑む六人の冒険者の内の一人が君だ。君は、この危険な迷宮を突破し、見事生還することが出来るか?!


ゲームシステムなど

 パラグラフ数は400。システムは、ファイティング・ファンタジー・シリーズ共通の「サイコロを振ってキャラクターの3つの能力(技術点・体力点・運点)を決定」、「必要に応じてサイコロで判定を行い、戦闘や運試しなどを行う」というもの。

 特別ルールは無し。


感想

 評価は○(バランスがちょっとキツイけどなかなか)。

 FFシリーズ6作目。タイトル通り罠だらけの迷宮に苦しめられる作品ですが、面白さはなかなかのものでした。


 本作は、一作目「火吹き山の魔法使い」以来の、最初から最後まで迷宮探索オンリーという内容ですが、「火吹山~」の二番煎じにならないように色々と工夫が凝らされています。


 まず第一が迷宮に挑む目的。「火吹山~」は、山の奥に隠された財宝を手に入れるためやむなく迷宮に挑むという形でしたが、本作では「腕に覚えのある主人公が、世間に自分の力を示すために、自ら望んで迷宮に挑戦する」という設定となっています。やむに已まれぬ事情ではなく、あくまで競技として迷宮に挑む、という設定は、なかなか気に入りました。


 第二が、迷宮内のイベントの豊富さ。「火吹山~」の迷宮もイベントが薄いとは思いませんでしたが、本作ではそれを上回る圧巻のボリュームで、一歩進むことに何らかのイベントが発生し、対処を迫られます。そしてイベントの数が多いだけではなく、内容も「よくもこれだけの種類を考えつけるものだ」と唸らされるほどに多種多彩で、それぞれにどう対処するかで楽しませてくれました。

 また、迷宮攻略は競争になっていて、手ごわいライバルが五人もいる、というシチュエーションも面白さを醸し出していました。迷宮を進んでいると、先行していたはずのライバルが死体となって転がっているのを発見した! とかのショッキングシーン(?)は、単に「誰かの死体があった」よりも危機感をひしひしと感じさせてくれて上手い展開だと思いましたね。

 そして、イベントの中で何より気に入ったのが、他のキャラクターと共闘するというシチュエーションでした。競技の参加者の一人である蛮人スロムと、一時的にですが、協力しながら迷宮を進んでいくという辺りは、本作でも一番好きな展開でした。FFシリーズは基本的に一人きりで冒険に挑んでいくので孤独この上ないのですが、それだけに「仲間」と一緒に力を軽口を叩いたり、力を合わせたり、という珍しい展開は実にワクワクさせられました。それだけに、スロムとの突然の別れは悲しすぎて……(涙)



 本作の迷路は、わりと分岐は少なめで、途中で二方向に行ける場合でも片方はすぐに行き止まりというパターンが多く、基本的にあまりマッピングは苦労しませんでした。その代わりですが、ゲームバランスはかなり厳しめという印象が……

 何か余計な事をするとすぐ死んでしまうし、中盤で競技監督と遭遇するあたりは切り抜けるには相当運が必要な気がしましたし、ダイヤモンドを手に入れるルートは困難だらけで運と体力とアイテムが必要だったし。極めつけが最後の「正しい宝石の組み合わせ」を探るところで、総当たりで調べるしかないというのに、間違えるたびにダメージを食らわされる、という酷さで、あまりにもあんまりという感じが…… それでいてパラグラフ400のラストシーンは、苦労したわりには淡白なオチでちょっと拍子抜けでしたしね……


 ということで、バランス的が厳し目なところはちょっと不満もありましたが、それを差し引いても、迷宮の中で遭遇する数々のイベントの面白さは文句なし。プレイに没頭できる秀作ゲームブックでした。
 
 
 

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