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ドルアーガの塔〈3〉魔界の滅亡 (創元推理文庫) 文庫 1986/12/1
鈴木 直人 (著)
出版社:東京創元社 (1986/12/1)
発売日:1986/12/1
文庫:521ページ
★★【以下ネタバレ】★★
せっかく知り合った友人たちとも別れ、ふたたび孤独な旅をつづけるギルガメス。41階から上では、今までの冒険など子供のお遊びに思えるほどの難行苦行が待ちかまえている。しかし、そんなことにびくついていては、とても真の勇者を名乗ることなどできない。さあ行け、ギル!愛するカイを救うため、頂上をめざせ!アドベンチャーゲーム〈ザ・タワー・オブ・ドルアーガ〉感動の完結編。
前巻までの内容
【ゲームブック】感想:ゲームブック「悪魔に魅せられし者(ザ・タワー・オブ・ドルアーガ第1巻)」(鈴木直人/1986年)【クリア】
https://perry-r.hatenablog.com/entry/2023/01/06/231745
【ゲームブック】感想:ゲームブック「魔宮の勇者たち(ザ・タワー・オブ・ドルアーガ第2巻)」(鈴木直人/1986年)【クリア】
https://perry-r.hatenablog.com/entry/2023/01/23/185203
あらすじ
あなたこと騎士ギルガメスは、ついにドルアーガの塔の41階にたどり着いた。せっかく知り合ったタウルスやメスロンと離れ離れになったものの、ギルは単身様々な試練を乗り越えながら、ひたすら上階を目指す。ギルは悪魔ドルアーガを倒し、秘宝ブルークリスタルロッドと愛するカイを取り戻す事が出来るか!?
ゲームシステムなど
パラグラフ数は741。主人公のパラメーター(戦力・防御力・体力)有り、サイコロ振り有り、持ち物管理あり、のオーソドックスなシステム。
本作は三部作の第三巻のため、塔の41~60階が攻略対象。
感想
評価は○(まあまあ)。
1984年にゲームセンターに登場し、1985年にファミコンに移植され大ヒットした有名ビデオゲームのゲームブックの三冊目。
最終巻という事で、一・二巻がパラグラフ数500だったのに対し、こちらは合計741とほぼ1.5倍になっており、ボリューム満点でしたが、満足度は二巻と比較するともう一つでした。
本巻の特徴は何といっても迷路が立体構成になっていることで、具体的には、41階以降は塔の外側にも階段がついていて、一つ上の階以外にも移動できる(逆に一つ上の階に直接登れないことがある)という作りになっているため、今までの様に下から上に向かって順番に攻略するのではなく、かなり複雑なルートを辿って進まなくてはなりません。
例えば、(仮にですが)41階から外階段を使って45階に登り、そこから内階段で44階に降りた後、外階段で53階に行き……、というように、階が複雑なつながり方をしており、従来よりさらにマッピングが難しくなっています。
また、各階には重要な武器、あるいはドアを開けるための鍵、が隠されていて、簡単に入手できないように、とにかく入り組んだ複雑な迷路になっているため、これまたマッピングに手間がかかるようになりました。
一巻「悪魔に魅せられし者」は複雑な迷路ばかりで攻略が退屈だったのに対し、二巻「魔宮の勇者たち」は迷路を少なくする代わりにイベントを増やす方向に方針が変わっていて面白みが増したと思ったのですが、本巻はまたイベントを減らし複雑な迷路を増やしてプレイヤーを困らせる方向に回帰しており、二巻と比較して明らかにプレイする楽しさが減ってしまいました。この辺りは、正直失望しましたね。
また、二巻でせっかく仲間となったタウルスとメスロンは、本巻では離れ離れとなったまま結局最後の最後になるまで合流せず、彼らとのパーティー再結成を楽しみにしていた身としては拍子抜けかつガッカリでした。せっかく仲間になったのに、それは無いだろうという感じでしたね。
まあ、途中で、作者「鈴木直人」氏とイラストレイター「虎井安夫」氏の分身的な「パオト」「アンフ」が出てきて力を貸してくれたり、その他の関係者「バルキリー・ナヲミ(モデルは古川尚美氏)」が登場したりして、遊び心にあふれていたのはちょっと面白かったです。でも「タルカ・トウミ」って誰?
本作は、最後まで飽きることなくプレイできたので、ゲームブックとしてはまずまずの質だったとは思いますが、ひたすらマッピングばかりで思ったほどイベントが無かったこと、アイテムがやたら多く管理が大変過ぎたこと、ラストに向けての盛り上げ方がもう一つだったこと、等から、大傑作と認定するまでは至りませんでした。でも、やりごたえのあるなかなかのゲームブックだった事は間違いありません。
ラストシーンを読んで思ったのは「ギルたち三人組の新しい冒険のゲームブックが有ればよかったのになぁ」という事ですね。狂おしいほどに、この続きが有ればと思いましたよ。とまあ、なんだかんだと書きつつも、結構気に入った作品でした。
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