【アナログゲーム本】感想:ゲーム関連本「山本弘 ウォーロック大全」(山本弘/2024年)【ゲームブック含む】

山本弘 ウォーロック大全 (コミックウォーロック)

http://www.amazon.co.jp/dp/4775321889
山本弘 ウォーロック大全 (コミックウォーロック) 単行本 2024/10/21
山本弘 (著)
出版社:グループSNE (2024/10/21)
発売日:2024/10/21
単行本:380ページ

★★【以下ネタバレ】★★
 

 2024年3月に逝去した、グループSNE創設メンバーの一人でもある作家・山本弘氏の追悼と、ゲーム分野における氏の功績を讃え、氏のゲーム分野のキャリア出発点となったアナログゲーム専門誌『ウォーロック』掲載の単行本未収録作品を書籍化いたします。


ファイティング・ファンタジー〉のタイタン三大陸にそれぞれ封じられた強大な魔物の復活を阻止するため、師から秘術を受け継いだ主人公の大冒険を描く「暗黒の三つの顔」。全600パラグラフの長編であり、はてしない旅路の中で出会う仲間との協力や動物を操る秘術を駆使して、極めて困難な使命に挑みます。


 この他、山本弘直筆の連載コミック、ロールプレイングゲームのシナリオの創り方コラムなど同誌に掲載された人気記事も収録。


 山本弘氏への想いをこめ、後世に届けるべき作品の数々をお届けします。

 

内容

 今年(2024年)3月に亡くなった山本弘氏の追悼本。1986年~1992年に社会思想社から発行されていたゲーム雑誌「ウォーロック」で山本氏が書いたゲームブック・コラム・漫画のうち、今まで本として収録されていなかったものをまとめた一冊。


●追悼

 安田均氏をはじめとするグループSNE関係者、近藤功司、菊池たけしこいでたく等の方々による追悼文。



ゲームブック「暗黒の三つの顔」(18~20号(1988年5月号~7月号)/全3回)

 本書のメインコンテンツ。ウォーロック誌1988年5月号~7月号に掲載された三回連続形式のゲームブック。パラグラフ数各回200の合計600。ファイティング・ファンタジー・シリーズのシステムと世界観を使用しており、主人公がFF世界の三つの大陸をまたにかける大冒険を行う、という内容。



●コラム「シナリオを書こう RPGシナリオ創作講座」(20~26号(1988年7月号~12月号)/全6回)

 TRPGゲームマスターのために、シナリオの作り方をレクチャーする企画。まず物語のパターンは「退治型」「捜索型」「救出型」など大まかに七つあると説き、またアイデアは既存の小説・映画・ドラマなどの内容をアレンジして作っていけば良いとして、単なるパクリにならないように、どうアレンジして独自性を出すか、といったやり方をレクチャーしている。

 また各回の内容の後ろに、友野詳氏による「シナリオの作り方アップデート」という2ページコラムが追加されていて、雑誌掲載当時(1988年)の読者なら解るが今の読者には理解しずらい内容などについて注釈的な物を入れている。



●コミック

 山本氏が描いた「漫画」。雑誌掲載時が「左閉じ右開き」だったため、本の後ろ側から読むようになっている。

・「私はこうしてバルサスした」(2号(1987年1月号)/全10ページ)
 ゲームブックバルサスの要塞」のリプレイ漫画。


・「放課後のサイコロキネシス」(5号(1987年5月号)/全4ページ)
 女子学生・郁美が友人に誘われて(架空の)TRPG「D & S(ドンチャン・アンド・サワギ)」をプレイするという漫画。


・「どこでもT&T」(7~12号(1987年7月号~12月号)/全6回)
 「放課後のサイコロキネシス」の続編。郁美が改めてT&Tをプレイするさまを面白おかしく描いたリプレイ漫画。



●アペンディクス

ウォーロック 記事ギャラリー
 山本氏のウォーロックでの仕事のうち、本書に収録されていない「モンスターの逆襲」「四人のキング」「ロストワールドからの脱出」等についての解説。


・ゲーム関連著作リスト
ウォーロック掲載記事リスト
・単行本未収録ゲーム関連記事リスト


感想

 今年(2024年)山本弘氏が亡くなったことで急遽企画された追悼本。休刊して30年以上経った雑誌「ウォーロック」から、今まで書籍化されていなかった山本氏関連の色々を掘り起こしてA5サイズで一冊にまとめたもの。内容としてはまずまずでした。


 山本氏のウォーロック掲載ゲーム(ブック)のうち、「モンスターの逆襲」は文庫本を所有、また「四人のキング」と「ロストワールドからの脱出」は掲載誌を所有、という状況で、ちょうど本書収録の「暗黒の三つの顔」のみ持っていなかったので、この本の企画はありがたかったのですか、本の発売のきっかけが山本氏が亡くなったこと、ということであまり素直に喜べないなと……


 それでもこの本の企画で一番嬉しかったのは、山本氏が描いていたコミックが一つにまとまったことです。当時(1987年)固い記事が多かったウォーロックでは良い息抜きという感じで好きでしたし、またこのマンガを読みつつ「この人はゲームの記事が書けて、ゲームブックも作れて、おまけに漫画まで書けて、どこまで多芸多才なのか」と感心していたりしました。

 しかし1992年にウォーロック誌が休刊してしまい、また山本氏がゲームの仕事で、さらに小説家として成功すると、この駆け出し時代の軽いお仕事はもう一部の人間の記憶に残るだけの忘れられたものになっていました。それが今回きちんと拾い上げてもらって本に収録されたのは、本当に良かったと思っています。


 本書は追悼&回顧企画本で、収録された内容は35年前の物なので、若い人にはもうまるっきり合わない気がしますが(古い特撮ネタとか結構あるし)、逆に青春時代にウォーロック誌を購入して穴が開くほど読んでいた世代にとっては、懐かしさと嬉しさ(と哀しさ)を感じられる一冊になると思います。35年前のウォーロック読者なら必携の一冊でしょう。
 
 

2024年の読書の感想の一覧は以下のページでどうぞ

perry-r.hatenablog.com