笑わない数学 NHK https://www.nhk.jp/p/ts/Y5R676NK92/
放送 NHK総合。
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【※以下ネタバレ】
パンサー尾形が難解な知の世界を大真面目に解説?!
「笑わない数学 スペシャル ホッジ予想」(2025年3月26日(水)深夜放送)
内容
笑わない数学 スペシャル ホッジ予想
[BS] 2025年03月27日 午前1:35 ~ 午前2:20 (45分)
パンサー尾形貴弘が数学の難問を大真面目に解説する「笑わない数学」。テーマは懸賞金100万ドルの未解決問題「ホッジ予想」。超難問を攻略できれば数学の本質に迫れる!
「ホッジ予想」は数学者もひるむほど、そもそも説明自体が途方もなく難しい。「非特異な射影的代数多様体のタイプ(p,p)のコホモロジーに対し、それをクラスとする代数的サイクルが存在するはずだ」って言われても何の見当もつかないですよね。でも尾形さんが今回も頑張ります。なぜこの超超ムズい問題が現代数学の大きな目標になっているのか。番組史上、最高難度!見終わったときには数学のイメージが変わっているはず。
【司会】パンサー尾形,【語り】合原明子
●ホッジ予想
今回のテーマ「ホッジ予想」は「コホモロジー」についての予想。しかしあまりに難しすぎるので、図形の話を切り口に近づいていくことにする。
●オイラー数
ある三角形を単純に移動させても、辺の長さも角の角度も変わらない。このように変わらないものを「不変量」と呼ぶ。次に、同じ三角形を拡大すると、元の三角形と比較して辺の長さは変わってしまうが、角の角度は変わらない。
では、ある立体、例えば立方体を粘土をこねくり回すように全然別の形にしても変わらない「不変量」はあるのか。大数学者レオンハルト・オイラーは、どんな立体でも「頂点の数 - 辺の数 + 面の数」は同じだと発見した。その数は「2」。この考えで求められる数を「オイラー数」という。
たとえボールの様な立体であっても表面に細かい三角形を敷き詰め、頂点・辺・面を数えればオイラー数は「2」となる。
ちなみに「2」は穴が開いていない立体の場合。ドーナツの様に穴が一個開いている立体ならオイラー数は「0」。穴が二個なら「-2」となる。つまりオイラー数は穴の数がg個の場合「2 - 2g」個になる。オイラー数が同じ図形は仲間ということで図形の分類に使える。
●数式で図形を表す
ルネ・デカルトは数式で図形が書けることを発見した。例えばx^2 + y^2 + z^2 = 1」という式で球が書ける。これを逆に考えれば、どんな複雑な式でも必ず図形が書けることになる。文字が四種類ある式なら4次元の図形を、十種類なら十次元の図形、を書くことができる。
数学者たちはこういう複雑な図形の性質を調べたいと考えたが、オイラー数はこのような複雑の図形の分類には役に立たなかった。
アンリ・ポアンカレはオイラー数に代わる新しい分類方法として「ベッチ数」という考え方を発見した。ベッチ数を足したり引いたり計算するとオイラー数になる、つまりオイラー数をより詳しくしたものがベッチ数というわけ。ところがこのベッチ数も、明らかに異なる図形なのに同じベッチ数になるなど、図形の分類には不十分だと判明した。
●コホモロジーとモチーフ
エミー・ネーターは、1925年にベッチ数の中に「群」という概念が隠されていたことを発見した。複雑な図形を分類するための本質的な部分「コホモロジー」の発見である。
ところがそれ以降、数学者たちは次々と異なるコホモロジーを発見し始めた。1960年代以降になると図形以外の分野にもコホモロジーが存在すると解った。しかもそのコホモロジーを使えば様々な未解決問題が解決できそうだと解ってきた。
1968年。アレクサンダー・グロタンディークはある仮説を立てる。それは数学には「真髄」とでもいうべきものがあり、異なるコホモロジーは同じ「真髄」の別々の側面に過ぎないという説で、その真髄を「モチーフ」と名付けた。さらに各コホモロジーには神髄となるモチーフの性質を受け継ぐ「重要部分」(※代数的サイクル、という)があるに違いないと考えた。すべてのコホモロジーの重要部分を見つけられれば、それを手掛かりにモチーフの存在が確かめられるはず、と主張したのである。
しかし、コホモロジーの重要部分をどうやって見つければいいのか? それ以前にコホモロジーの重要部分は存在するのか?
それに関しての重要な予想が「ホッジ予想」で、ホッジ予想が正しいと証明できれば、一部のコホモロジーの重要部分の存在が確定し、モチーフ探しへの大きな足掛かりになるはずである。
感想
今回は説明上手なNHKという感じで良かった。簡単なところからスタートして割と納得できるところに着地しました。いつもこれくらい上手に説明してくれると嬉しい。
この番組について
パンサー尾形貴弘が難解な数学の世界を大真面目に解説する異色の知的エンターテインメント番組! 「リーマン予想」「フェルマーの最終定理」「連続体仮説」「四色問題」「ガロア理論」「abc予想」「確率論」「P対NP問題」「カオス理論」「ポアンカレ予想」「暗号理論」「虚数」・・・。天才数学者をも苦しめてきた数々の難問、そして美しくも不思議な知の世界を、1回30分ワンテーマ、ギャグ封印で、トコトン分かりやすく掘り下げる!
MC 尾形貴弘 (パンサー)
語り 合原明子 (アナウンサー)
数学21世紀の7大難問―数学の未来をのぞいてみよう (ブルーバックス)


