笑わない数学 NHK https://www.nhk.jp/p/ts/Y5R676NK92/
放送 NHK総合。
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【※以下ネタバレ】
パンサー尾形が難解な知の世界を大真面目に解説?!
内容
笑わない数学 第2シリーズ 非ユークリッド幾何学
[総合] 2023年10月04日 午後11:00 ~ 午後11:30 (30分)
パンサー尾形貴弘が数学の難問を大真面目に解説する「笑わない数学」。テーマは「非ユークリッド幾何学」。図形の分野で数学者が始めた奇妙な空想が数学に大革命を起こす!
古代ギリシャ時代、あのユークリッド幾何学が誕生した。どんな図形の性質も、たった5つの当たり前の事実、すなわち「公理」から導かれるという偉大な学問だ。その後2千年間、幾何学は完全無欠の絶対真理と信じられてきた。しかし19世紀、その地位は突然揺らぎだす。2千年の常識を疑う天才数学者たちの奇妙な空想と、それがもたらした知の世界の大変革。学校では教わらない「非ユークリッド幾何学」のドラマに迫る。
【司会】尾形貴弘
ユークリッド幾何学とは、要するに中学校でも習うような図形に関する学問。この学問は誰が見ても疑いようのない当たり前のこと=「公理」からスタートしている。
●五つの公理
公理は5つある。
1 2つの点を通る直線は一本しか引けない
2 直線はいくらでも延ばすことが出来る
3 点を中心にして任意の半径の円を描くことができる
4 直角は全て等しい.
5 直線と点があるとき、点を通って直線に平行な直線は1本しか引けない
この公理を元に例えば「三角形の内角の和は180度」という事が証明でき、それを元にもっと複雑な別のことが証明でき、それを元に……、という具合に、幾何学は簡単なところからスタートして高度な事を次々と証明している。そしてユークリッド幾何学は誰が見ても疑えない公理からスタートしているので、間違いの無い絶対真理と考えられていた。
●五番目の公理
しかし公理1~4はシンプルでわかりやすいのに対し、公理5だけは長くてまどろっこしい。そのため数学者たちは公理5はなくせるのでは? とか考え色々研究していた。
19世紀の数学者ボヤイ・ヤノーシュ(1802年~1860年)は第五公理の研究で「直線は1本しか引けない」の部分を「直線は2本以上ひける」としてみたらどうなるか調べると、これはこれで矛盾の無い幾何学が作れてしまう事を突き止めた。こちらの幾何学では「三角形の内角の和は180度未満」となる。ヤノーシュはそれまで唯一無二・絶対に正しいと信じられていたユークリッド幾何学とは別の「非ユークリッド幾何学」を見つけてしまったのである。
またベルンハルト・リーマン(1826年~1866年)は、第五公理の「直線は1本しか引けない」のところを「直線は1本も引けない」としてみても、やはり成立することを発見し別の「非ユークリッド幾何学」を作ってしまった。こちらでは「三角形の内角の和は180度以上」となる。
当初はこの「非ユークリッド幾何学」はいずれ矛盾が見つかると考えられていたが、やがて「ユークリッド幾何学に矛盾がないなら非ユークリッド幾何学にも矛盾はない」という事が証明された。
ヤノーシュが見つけた方 … 双曲幾何学
リーマンが見つけた方 … 楕円幾何学
●アインシュタインの予言
「非ユークリッド幾何学」は現実世界には存在しない物とみなされていた。しかしアインシュタインは「一般相対性理論」の中で「時空が質量の影響で非ユークリッド幾何学的に歪曲する」ことを予言した。
やがて観測の結果、太陽の近くを通る光は重力で曲がっている事が確認され、つまり太陽など重力の強い星の近くで三角形を描くと三角形の内角の和は180度にならない、という事が解った。つまりこの世界は「非ユークリッド幾何学」で出来ていたのである。
感想
2022年7月~9月に放送された数学テーマの教養番組「笑わない数学」のシーズン2が10月からスタート!! シーズン1はメチャクチャ面白かったので期待していたのでシーズン2スタートは本当にうれしい。
初回から面白い出来栄えで、今期も期待が持てますね。
この番組について
パンサー尾形貴弘が難解な数学の世界を大真面目に解説する異色の知的エンターテインメント番組! 「リーマン予想」「フェルマーの最終定理」「連続体仮説」「四色問題」「ガロア理論」「abc予想」「確率論」「P対NP問題」「カオス理論」「ポアンカレ予想」「暗号理論」「虚数」・・・。天才数学者をも苦しめてきた数々の難問、そして美しくも不思議な知の世界を、1回30分ワンテーマ、ギャグ封印で、トコトン分かりやすく掘り下げる!
MC 尾形貴弘 (パンサー)
語り 合原明子 (アナウンサー)
非ユークリッド幾何の世界