【数学】感想:NHK番組「笑わない数学 第2シリーズ」第6回「ケプラー予想」(2023年11月15日(水)放送)

笑わない数学(NHKオンデマンド)

笑わない数学 NHK https://www.nhk.jp/p/ts/Y5R676NK92/
放送 NHK総合

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

パンサー尾形が難解な知の世界を大真面目に解説?!

 

第6回「ケプラー予想」(2023年11月15日(水)放送)

 

内容

笑わない数学 第2シリーズ ケプラー予想
[総合] 2023年11月15日 午後11:00 ~ 午後11:30 (30分)


パンサー尾形貴弘が数学の難問を大真面目に解説する「笑わない数学」。今回は「ケプラー予想」。400年かけてようやく証明された超難問とは!?天才たちの苦闘のドラマ!


「無限に広がる空間に同じ大きさの球を詰め込むとき、どんな方法であれば最もすき間が小さく、最も密度が大きくなるか?」。一見、簡単そうに見えるこの問題。1層目のくぼみに2層目の球を入れていく方法しかないように思えるが、それを数学的に証明するためには400年もの歳月を必要とした。「フェルマーの最終定理」と並び、何世紀ものあいだ天才たちを悩ませた超難問は一体どんな問題なのか。証明に至るまでの苦闘のドラマ


【司会】尾形貴弘

 
ケプラー予想とは

 天文学者ヨハネス・ケプラー(ドイツ)はケプラーの法則(惑星の運動)に名前を残す有名な人物。ケプラー予想とは球の詰め込み方に関する予想。

 この問題の発端は17世紀にイギリスの軍人が「船にできるだけ多くの(丸い)砲弾を積み込みたいがどう積んだらいいか?」と数学者に相談したこと。

 まず一段目に球をみっちり詰め込み、二段目は一段目の球と球の間のくぼみに詰め込んで、できるだけ空きがなくなるように詰め込んでいけばいいように思える。つまり『空間に同じ大きさの球を詰め込むとき、この方法(稠密六方格子と面心立方格子の混合)が、密度が最も大きくなるはず』という予想。

 素人でもこれが正しいだろうとわかるが、数学的に証明されたのは25年前。つまり400年も未解決だった。



●平面充填

 三次元の問題の前に、まず二次元で考えてみる。

 無限に広がる平面に同じ図形をたくさん並べるとき、どんな図形なら隙間なくビッシリ覆いつくすことができるか? 図形は回転させても裏返してもよい。

 三角形は二個一組で平行四辺形が作れる。平行四辺形は無数にくっつけて横に伸ばすと帯のようになる。帯を縦に並べると、平面を隙間なく埋められる。こういう場合を「平面充填可能」という。

 四角形は二個一組で平行六辺形が作れる。平行六辺形も平面充填可能。

 六角形は、特殊な条件を満たす三パターンのみ平面充填可能。

 七角形以上は、どんな形状でも平面充填不可能と証明されている。

 さて残る五角形はたいていの物は平面充填不可能。2017年までに可能な15パターンが発見され、それ以上ない事が証明された。



●円を平面に敷き詰めるなら?

 平面に円を敷き詰めるとき、隙間がもっとも小さくなる方法は?(床に対する円の密度が最大になる方法は?)「円充填問題(2次元)」。一個の円の周りに六個をくっつけて並べるのがよさそうに見えるが、それが証明されたのは1940年代。

 規則正しく並べるよりランダムに並べるほうが密度が高いと見える場合もある。

 カール・フリードリヒ・ガウスは、規則正しい並べ方に限定して研究し、約90.69%が最大の密度であることを事実上証明した。ただしランダムな並べ方のほうが良いかどうかは研究せず。

 ラスロ・フェイエシュ=トート(ハンガリー)は充填問題の権威。ランダムに並べる場合も含めて解決。まずは有限の広さの領域に円を並べる問題を考える。円の周りの領域を多角形で区切り、多角形の面積を調べ、最終的にランダムな並べ方をしても約90.69%が最大の密度と証明した。



ケプラーの予想

 ケプラーは三次元の球が一番詰め込めるのは「稠密六方格子と面心立方格子の混合」つまりくぼみに球を置いていくやり方だと予想したが証明は残さず。球充填問題(3次元)

 ガウスは球充填問題も規則正しい並べ方に限定して研究し、約74.05%が最大の密度であることを事実上証明した。ただしランダムな並べ方のほうが良いかどうかは研究せず。

 ダーフィト・ヒルベルト(ドイツ)はケプラー予想を23の未解決問題の1つに挙げた。

 円充填問題を証明したラスロ・フェイエシュ=トートはケプラー予想(3次元)にも挑戦した。フェイエシュ=トートは球を多面体で区切って円の時と同じように証明しようとしたが、球を覆う正12面体は空間充填不可能で証明できず。

 トーマス・ヘールズ(アメリカ)はコンピューターでケプラー予想を解決。膨大な数の場合分けをしらみつぶしに調べ尽くし、ランダムな場合も含め最大密度は約74.05%と証明。



●3次元よりも大きな空間の場合は?

 数学者たちは三次元を超え、四次元以上の世界での空間充填を研究。

 マリナ・ヴィヤゾフスカ博士(ウクライナ)は8次元と24次元の世界で球充填問題を解決し、2022年にフィールズ賞を受賞。10次元では既知の規則的な並べ方よりも密度が大きい奇妙な並べ方(非格子充填)が存在することが分かっている。


感想

 今回のお題のケプラー予想、数学系のサイトはいろいろ読んできましたがどこにも扱っておらず、初めて聞くテーマでした。400年間解けなかったってフェルマーの最終予想/定理より難問じゃん、という気がしますが、最初から答えがほとんど見えているので、ネタ的に面白くないからみんな話題にしなかったんでしょうね。


おまけ

 ナレーターが難しい話の後「みなさーん、ついてきてますか~?」と言うのホント止めろや。聞くたびに胸の中に物凄い怒りの感情が沸き上がってきて画面に物をぶつけたくなる。\(*`∧´)/ ムッキー!!
 
 

この番組について


パンサー尾形貴弘が難解な数学の世界を大真面目に解説する異色の知的エンターテインメント番組! 「リーマン予想」「フェルマーの最終定理」「連続体仮説」「四色問題」「ガロア理論」「abc予想」「確率論」「P対NP問題」「カオス理論」「ポアンカレ予想」「暗号理論」「虚数」・・・。天才数学者をも苦しめてきた数々の難問、そして美しくも不思議な知の世界を、1回30分ワンテーマ、ギャグ封印で、トコトン分かりやすく掘り下げる!


MC 尾形貴弘 (パンサー)
語り 合原明子 (アナウンサー)

 

 

ケプラー予想: 四百年の難問が解けるまで
ケプラー予想: 四百年の難問が解けるまで (新潮文庫―Science&History Collection)