【ゲームブック】感想:ゲームブック「ゲームブック 狂気山脈のささやき」(杉本=ヨハネ/2022年)【クリア】

ラヴクラフト全集 4

注意!! 本ゲームブックの表紙ではありません。アマゾンに書影が無いため別の本で代用しています

https://ftbooks.booth.pm/items/4219162
狂気山脈のささやき・ダンウィッチの怪(クトゥルフ・オリジン2)
著者は杉本=ヨハネ、イラストは中山将平。

★★【以下ネタバレ】★★
 

ラヴクラフトクトゥルフ小説がベース!
(「狂気の山脈にて」と「ダンウィッチの怪」)
クトゥルフ・オリジン シリーズ第2弾!!

 
 

概要

 ホラー物。クトゥルフ神話テーマの中編ゲームブック2作入り。それぞれラヴクラフトの小説「狂気の山脈にて」「ダンウィッチの怪」をベースにゲームブック化したもの。


ゲームシステムなど

 どちらの作品もサイコロ振りは無し。ただし主人公の簡単なステータス・持ち物・フラグの管理等の要素がありメモは必要。


収録作品

1 狂気山脈のささやき パラグラフ数157

 1930年。ミスカトニック大学・地質学教授のウィリアム・ダイアーは、南極探検隊隊長として20名の隊員を率いて南極へと向かっていた。しかし南極に到着したダイアーたちは氷の中から恐るべきものを掘り出してしまい……


2 ダンウィッチの怪 パラグラフ数161

 1913年。マサチューセッツ州の小村ダンウィッチでウィルバー・ウェイトリーという男児が誕生した。そしてこの日からダンウィッチは数々の怪奇現象に襲われることに……


各作品の感想

1 狂気山脈のささやき パラグラフ数157

 評価は○(なかなか)

 超有名タイトル「狂気山脈にて」をベースにした作品。評価はなかなか。

 序盤は「南極探検隊が氷の下から見つけてはいけなかった恐ろしいものを掘り当ててしまう」というお馴染みの展開ですが、中盤以降は主人公たちが地球の知られざる驚異の歴史を知ることになる圧巻のストーリーで、(原作が有るとは言え)読みごたえ十分でした。

 また選択次第では原作小説にはない全くオリジナルの展開へと突入し、予想もしなかったあっと驚く結末に到達することもあり、原作の内容を知っていても楽しめる一作でした。



2 ダンウィッチの怪 パラグラフ数161

 評価は○(なかなか)

 1913年。小村ダンウィッチに父親が誰かも解らない男児ウィルバーが誕生した。ウィルバーは異様な速さで成長するが、それと共に村には数々の怪奇現象が発生し……

 閉鎖的な村ダンウィッチを舞台にしたホラーストーリー。原作通りに進んでも面白いのですが、天邪鬼にあえて危険を避けるような行動をとると、全然別のストーリーに分岐していき、突然ハーバート・ウェストと出会ったり、インスマスの町と関りができたり、と、幅広い展開が待ち受けていて物凄く楽しめました。

 またウィルバーたちとの最終決戦でも、王道の魔力的な物を使うルートも有れば、魔力抜きで力押しでなんとかするというルートもあり、結構バリエーション豊かでビックリでしたね。

 まあこれはこれで楽しい一作でした。

全体の感想

 評価は○(まずまず面白い)

 両作品とも、原作の雰囲気や展開をきちんと押さえつつも、さらにそこにオリジナル要素をふんだんに盛り込んで話を膨らませており、原作既読であってもきっちり楽しめました。

 どちらの作品も、原作を離れたオリジナルのルートに入ると仰天するような驚きの展開が待っていましたが、これはこれで面白かったので評価は上々でした。クトゥルフ神話好き&ゲームブック好きなら押さえて損のない一冊でしょう。
 
 
 

参考

狂気山脈のささやき(ゲームブック) | FT書房公式HP
https://ftbooks.xyz/shinkanjyoho/kyoukisanmyakunosasayaki

ftbooks.xyz

(狂気山脈のささやき)
舞台は1930年~1931年の南極。君はアメリカからの探検隊を率いてこの地を訪れる。次第に見つかる、超古代に栄えた「高度な進化を遂げた生物」の痕跡。
そして、目の前にそびえる「信じられないほど巨大な山脈」。
目にした事件と地球の知られざる歴史の真実を求め、恐るべき山脈を越えて彼方を旅する勇気があるか!?
そこに待つものが、まさに狂気と呼ぶにふさわしいものだとしても……。


(ダンウィッチの怪)
良からぬ迷信が信じられる辺境の村、ダンウィッチ。
そこに住む魔術の噂がある一家に、父親が分からない子供が生まれる。
その子供は異常に成長が早く、次第に闇の儀式と結ぶついていく。
地の底から村中に響く、不気味な音。
そして近くの山に並ぶ古の環状列石が、村全体に暗い影を落とす。
君は邪悪な者の企てを暴き、再び村に平和をもたらすことが出来るだろうか……!?
2章構成。第1章では一人の村人として情報を集め、第2章では知識を引き継いだミスカトニック大学に勤める学者となって人類の敵と向き合うことになる。


イラストレーター中山将平の一言では終わらない解説】
狂気山脈のささやきは、クトゥルフ神話創始者であるHPラヴクラフトの小説をベースにしたゲームブックシリーズ「クトゥルフ・オリジン」の第2弾です。
(第1弾は「クトゥルフのいざない」)
表題作である「狂気山脈のささやき」(小説「狂気の山脈にて」をベースにした作品)と「ダンウィッチの怪」の2作品を収録しています。
冒険記録紙やサイコロを使わず、手軽に遊べるゲームブックです。作中いくつか覚えておくことが登場しますので、メモを取っていただいた方が遊びやすいかもしれません。(もちろん、必須ではありません)
原作小説の登場人物と同じ選択をすれば、小説の展開を追体験できますが、そこから逸れると「他のラヴクラフトクトゥルフ作品」と繋がるルートへ入っていきます。
僕の描いた内容紹介四コマもぜひご覧いただけましたら。↓

 
 

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