【数学】感想:NHK番組「レギュラー番組への道」『笑わない数学 フェルマーの最終定理』(2022年6月11日(土)放送)

図解雑学 フェルマーの最終定理 (図解雑学-絵と文章でわかりやすい!-)

レギュラー番組への道 NHK https://www.nhk.jp/p/ts/RJ5G2XZ4N3/
放送 NHK総合。2022年6月11日(土)

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

レギュラー番組への道
全国のテレビ番組制作者たちが「レギュラー番組化」を目指して腕を競う、チョットとんがった開発番組枠!

 

内容

レギュラー番組への道「笑わない数学」
[総合] 2022年06月11日 午後11:30 ~ 午前0:00 (30分)


パンサー尾形貴弘が数学の難問を大真面目に解説する「笑わない数学」。数学史上最大のミステリーと呼ばれた「フェルマーの最終定理」。超難問はどのように解けたのか!?


17世紀、フランスの天才数学者フェルマーは、あるメモを書き残した。「“xのn乗+yのn乗=zのn乗”を満たす自然数x、y、zは存在しない(nは3以上)」。ところが、これが正しいことを示す証明が「紙の余白がない」という理由で残されていなかったのだ。果たして、フェルマーの言葉は正しいのか?中学生でも理解できるこの問題に、多くの数学者たちが挑戦し、敗れ去った。証明に至るまで350年、苦闘のドラマを描く。


【司会】尾形貴弘

 
 番組名「笑わない数学」。テーマは「フェルマーの最終定理」。350年間解けなかった数学史上最大の難問。


●どんな難問だったのか?

 「Xの2乗 + Yの2乗 = Zの2乗」を満たす「X、Y、Z」は存在するか? この問いの答えは、簡単に「X=3、Y=4、Z=5」が見つかる。(9+16=25)

 その他にも「X=5、Y=12、Z=13」 「X=8、Y=15、Z=17」 「X=7、Y=24、Z=25」 「X=20、Y=21、Z=29」 等、答えは無数にある。


 では「Xの3乗 + Yの3乗 = Zの3乗」を満たす「X、Y、Z」は存在するか? 適当に計算してみても答えは見つからない。そしてフェルマーはこういったのである。

 ↓
『nが3以上の場合、「Xのn乗 + Yのn乗 = Zのn乗」を満たす「X、Y、Z」は存在しない』



フェルマーが残した難問

 ピエール・ド・フェルマー(1607年~1665年)はフランスの数学者で、同時代の科学者は、ケプラーガリレオニュートンなど。確率論や幾何学を研究し、当時の数学界をリードする存在だった。

 フェルマーが30歳の頃、数学の本の余白に『nが3以上の場合、「Xのn乗 + Yのn乗 = Zのn乗」を満たす「X、Y、Z」は存在しない』、さらに『私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる』という言葉を書きしるし、問題の証明をしないまま世を去ってしまった。(※n=4の場合だけ証明している)



●ソフィ・ジェルマンの方法

 その後、大数学者レオンハルト・オイラー(1707年~1783年)が「n=3」の場合を証明した。しかし、nの数は無限に有るので、一つ一つ証明していってはキリがない。


 やがてソフィ・ジェルマン(1776年~1831年)という数学者が、複数のnをまとめて証明する方法を見つけ出した。

 ソフィ・ジェルマンの時代、女性が数学を学ぶことは一般的では無かった。ソフィ・ジェルマンは親の反対を押し切って独学で数学を学び、男性のふりをして大学で学んだ。ソフィ・ジェルマンは「数学の王」と呼ばれた大数学者ガウスと男性のふりをして文通していた。

 1804年、ソフィ・ジェルマンはフェルマーの最終定理を証明したとしてガウスに手紙を送った。ソフィ・ジェルマンは「素数のうち、二倍して1を足すとそれも素数になる数」、つまり5や11などがnの場合は、条件付きでフェルマーの最終定理が成り立つことを証明した。

 しかしソフィ・ジェルマンは女性ゆえに、この内容を論文として発表することは出来なかった。ソフィ・ジェルマンはガウスに自分が女性であることを明かし、ガウスゲッチンゲン大学名誉学位を与えるように動いたが、ソフィ・ジェルマンはその前に亡くなってしまった。



●難航、そして証明へ……

 ソフィ・ジェルマン以降もフェルマーの最終定理を証明しようとする試みは行われたが、誰も成功しなかった。数学者たちの間では、この問題は証明できないのではとあきらめムードになっていた。

 一方、日本の数学者・志村五郎(1930年~2019年)と谷山豊(たにやま・とよ)(1927年~1958年)は、ある方程式と、エッシャーの絵のような図形が実は繋がっている、という予想を立てた。それを簡単に言うと「すべての楕円曲線はモジュラーである」と表現でき、これを「志村-谷山予想」という。しかしこの予想も証明されないままだった。


 1986年、ケン・リベット博士とゲルハルト・フライ博士は、驚くべき発見をする。それは『「志村-谷山予想」が正しいなら、「フェルマーの最終定理」は正しい』という事だった。

 そして1995年にアンドリュー・ワイルズ博士が「志村-谷山予想」の一部を証明することで、フェルマーの最終定理の証明に成功した。


感想

 レギュラー放送化を目指す番組を取り上げる「レギュラー番組への道」。今回は「笑わない数学」という番組で、この番組は過去に地上波やBSプレミアムでちょこちょこと放送されていたそうです……、全然知らなかった……(T△T)

 そして記念すべき回のお題は「フェルマーの最終定理」。数学は大嫌いですが、これについては過去にちょっと興味を持ってネットで調べ回った時期が有ったので、そこそこ知識があり、どう紹介するのか興味津々でしたが……


 まあ問題そのものの説明は良かったのですが、解決のキーとなる「志村-谷山予想」の紹介が正直何が何だか分からん! ナレーションで「我慢してついてきてください」と言われましたが、ついて行っても結局何が何だかでした。ここは軽く流して「すべての楕円曲線はモジュラーである」だけ言えばよかったのでは?


 しかも、ここまでで説明に時間をくい過ぎて、その後が駆け足になり過ぎ! もちっと詳しい説明をしてほしかった。


1)ゲルハルト・フライ博士が『「フェルマーの最終定理」が間違っていると仮定するとどうなるか?」という方向で研究すると「モジュラーでない楕円曲線」が存在することになった。→ つまり「「フェルマーの最終定理」が間違っているなら、志村-谷山予想」は間違っている』という事になる

2)これの「対偶」をとる、つまりひっくり返すと、『「志村-谷山予想」が正しいなら、「フェルマーの最終定理」は正しい』という事になる。

3)フェルマーの最終予想を証明するには、直接証明しようとするのではなく、「志村-谷山予想」が証明できれば良い

4)ワイルズは「志村-谷山予想」を証明した

という流れです。



ちなみに

笑わない数学 ~フェルマーの最終定理日本電波ニュース社
https://ndn-news.co.jp/tv/2543/

ndn-news.co.jp

 
を読むと

6/11(土)NHK総合「レギュラー番組への道」23:30?にて放送
7~8月にNHK総合でシリーズ放送予定。この回のみ先行放送。
ディレクター 福田玲音
プロデューサー 江南亮


芸人のパンサー尾形貴弘がナビゲーターとして、「無限」「素数」「四色問題」など、謎に満ちた数学の魅力を“笑わせず”に大真面目に解説する。各テーマに沿って、基本的な概念、鍵となる人物の魅力的なヒストリーも取り上げる数学エンターテイメントのシリーズ番組。


今日のテーマは“数学史上最大のミステリー”とも呼ばれたフェルマーの最終定理だ。フェルマーが最終定理を残してこの世を去ってから、完全に証明されるまで、およそ350年もかかった。数多くの著名な数学者たちは、どのようにその証明に挑んできたのだろうか…。

 
と書かれており、今年夏にシリーズ放送されるような雰囲気です。ちょっと期待かな。
 
 
 
フェルマーの最終定理 (新潮文庫)
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数論とフェルマーの最終定理 (図解雑学)
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