【数学】感想:NHK番組「笑わない数学」第11回「確率論」(2022年9月21日(水)放送)

ニュートン式 超図解 最強に面白い!! 確率

笑わない数学 NHK https://www.nhk.jp/p/ts/Y5R676NK92/
放送 NHK総合。全12回。

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

https://www.nhk.jp/p/ts/Y5R676NK92/
パンサー尾形貴弘が難解な数学の世界を大真面目に解説する異色の知的エンターテインメント番組! 「リーマン予想」「フェルマーの最終定理」「連続体仮説」「四色問題」「ガロア理論」「abc予想」「確率論」「P対NP問題」「カオス理論」「ポアンカレ予想」「暗号理論」「虚数」・・・。天才数学者をも苦しめてきた数々の難問、そして美しくも不思議な知の世界を、1回30分ワンテーマ、ギャグ封印で、トコトン分かりやすく掘り下げる!


MC 尾形貴弘 (パンサー)

 

第11回「確率論」(2022年9月21日(水)放送)

 

内容

笑わない数学「確率論」
[総合] 2022年09月21日 午後11:00 ~ 午後11:30 (30分)


パンサー尾形貴弘が数学の難問を大真面目に解説する「笑わない数学」。今回は「確率論」。「ギャンブルに勝ちたい」という欲望から生まれた学問は人類に何をもたらすのか?


まだ見ぬ未来に何が起こり得るかを予測し、今どうすればよいかを探る「確率論」。始まりは17世紀、2人の天才数学者フェルマーパスカルが「ギャンブルで損をしない方法」を議論したことがきっかけだった。その後、純粋数学の中で発展し「現代確率論」へと進化を遂げると、ふたたび確率論は“ひともうけするための道具”として利用されていく。人間のあくなき欲望と純粋数学。世界の行方をも左右しかねない確率論の威力に迫る。


【司会】パンサー尾形

 
●確率論はギャンブルから始まった

 確率論は17世紀にフランスの数学者ブレーズ・パスカルとピエール・ド・フェルマーの文通の中で始まった。パスカルフェルマーに以下のような問題について質問した。

「二人が同じ掛け金を出し合い、先に3勝した方が全額貰える賭けをした。しかし2勝1敗の時点で勝負を中断した。掛け金はどう分配すればよいか」


 二人は以下のような結論に達した。

 仮にこの賭けはコインの裏表で決めるものとして、「表が出ればAの勝ち、裏が出ればBの勝ち」というルールで、「Aが2勝、Bが1勝」という状態とする。そしてこのまま勝負を続けたと仮定して、

第4戦→第五戦
表(1/2)…Aの勝ち(Aは3勝したので第五戦はする必要なし)

裏(1/2)
 →表(1/2)=1/4…Aの勝ち
 →裏(1/2)=1/4…Bの勝ち

 Aは第4戦に1/2の確率で勝ち、負けても、さらに第五戦で1/2×1/2=1/4の確率で勝つ。つまり1/2+1/4=3/4で勝利する。逆にBは1/4の確率で勝つ。掛け金はAが3/4、Bが1/4、で分配すればよい。



●マリリン・ヴォス・サヴァントの問題

 アメリカのタレントでIQ228の天才マリリン・ヴォス・サヴァントはコラムの読者からこんな質問を受けた。

 「A・B・Cの箱があり、一つにだけ高額商品が入っていて当てるともらえる。もしAを選んだ後、「Cはハズレ」と教えてもらい、「Bに選び直しても良い」と言われたとする。このままAを選び続けるか、Bに選び直すか、どちらが有利か?」

 マリリンは「選び直した方が二倍当たる確率が高い」と回答したが、全米の読者(数学者もいた)から猛烈な批判を浴びた。批判の内容は「結局AとBどちらかに入っているかを当てる問題になるから、確率1/2ずつで同じ確率だ」というものだった。


 しかしこれを実際に実験してみると、「選び直す 70/100で当り」「そのまま 33/100で当り」と、本当にマリリンの言う通り選び直した方が二倍当たっていた。


 考え方は以下の通り

1.最初Aを選ぶ場合
 Aが当りなら→そのままで当たる
 Bが当りなら→選び直すと当たる
 Cが当りなら→選び直すと当たる


2.最初Bを選ぶ場合
 Aが当りなら→選び直すと当たる
 Bが当りなら→そのままで当たる
 Cが当りなら→選び直すと当たる


3.最初Cを選ぶ場合
 Aが当りなら→選び直すと当たる
 Bが当りなら→選び直すと当たる
 Cが当りなら→そのままで当たる

 つまりマリリンの言ったとおり、選び直した方が二倍当たりやすいのである。



●20世紀の確率論

 ギャンブルから始まった確率論も、時代と共に変化していき、20世紀には現代確率論へと進化した。あのアインシュタインは分子の動き「ブラウン運動」を確率の形であらわす方程式を生み出し、それは多くの数学者によって発展していった。しかしせっかく式を作っても、分子の不規則な動きを表す部分は、微分積分などの方程式を解く手段が使えなかった。日本の数学者・伊藤清は「確率積分」「確率解析」といった方法で、この方程式を解けるようにした。


 1970年代、アメリカの数学者フィッシャー・ブラックとマイロン・ショールズは、このブラウン運動の確率を示す式を、株価の不規則な動きを確率で予想する式に作り替え、それは「ブラック-ショールズ理論」と呼ばれた。この理論は、数学的な仮定に基づいていたので、現実の世界では利用できないという指摘があったが、しかし理論は金融の世界で大いに利用されデリバディブという商品で使われるようになり、理論の適用の限界は忘れ去られてしまった。しかし、2008年のリーマンショックで、そのしっぺ返しを食らうことになった。


感想

 今回は確率のお話。確率論はギャンブルから始まった、というお馴染みのところからスタートし、有名な「モンティ・ホール問題」もサクッと簡単明瞭に説明し、最後はブラック・ショールズの話まで持って行く、と30分枠でみっちり詰まった内容にしていて、今回もイイ感じでした。
 
 
確率論
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笑わない数学(NHKオンデマンド)
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