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決戦! 宇宙要塞三二〇一 (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-673) 文庫 2022/9/14
マリアンネ・シドウ (著), クルト・マール (著), 工藤 稜 (イラスト), 星谷 馨 (翻訳)
出版社:早川書房 (2022/9/14)
発売日:2022/9/14
文庫:272ページ
【※以下ネタバレ】
ラオ=シンに迫る危機を救うため、ダオ・リンはフリッケル、アルカウンとともに、死の迷宮の〝悟りの霊廟″で眠る者に会いに行く
巨大宇宙船“ナルガ・サント”のコンピュータ複合体は、数百万光年はなれたラオ=シンで、恐るべきカタストロフィが起ころうとしていると全知者たちに知らせる。そして、この危機を救えるのは、“悟りの霊廟”に眠る睡眠者だけであると。ダオ・リンはニッキ・フリッケルとポエル・アルカウンとともに、霊廟へと向かうことを決意する。三人はさまざまな罠が待ちうける、恐るべき死の迷宮と化した霊廟に入っていくが…!?
あらすじ
◇1345話 悟りの霊廟(マリアンネ・シドウ)(訳者:星谷 馨)
M-33(三角座銀河)。巨船《ナルガ・サント》のカルタン人全知者たちは、力の集合体エスタルトゥの植民地「タルカニウム」がプシオン性粒子の攻撃を受けつつあることを察知した。ダオ・リン=ヘイはタルカニウムを救うため、禁断区域「悟りの霊廟」に眠る伝説のカルタン人「オーグ・アト・タルカン」の力を借りようと、ニッキ・フリッケルたちと共に霊廟に向かった。ダオ・リンたちはオーグ・アト・タルカンを覚醒させることに成功し、オーグ・アト・タルカンは自分の弟子たちにメッセージを伝えるという。(時期:不明:NGZ446年11月頃)
※初出キーワード=悟りの霊廟
◇1346話 決戦! 宇宙要塞三二〇一(クルト・マール)(訳者:星谷 馨)
銀河系では、各所に設置されたオーグ・アト・タルカン像が突如言葉を発し、恒久的葛藤や戦争崇拝は自分の本来の教えをプテルスが捻じ曲げた邪教だと糾弾した。これにより恒久的葛藤の信者たちは次々と脱落し、スティギアンの勢力は弱体化してしまった。宇宙要塞三二〇一に潜伏していたスティギアンの側近ウィンダジ・クティシャは、抗法典分子血清により戦士法典から解放されてしまい、ショックで自決した。追い詰められたスティギアンは、ギャラクティカーに対し、銀河系中央ブラックホールを暴走させ物質の窪地に変えると宣言した。(時期:NGZ446年12月1日~12月21日)
※初出キーワード=惑星シアマン。相殺機(ハルト人の武器)。
あとがきにかえて
・異常気象ネタ&田舎暮らしで動物と良く遭遇するという話
感想
・前半エピソード 原タイトル:GRUFT DER ERLEUCHTUNG(意訳:悟りの霊廟)
ニッキ・フリッケルたちが巨大宇宙船《ナルガ・サント》で、五万年間眠っていたオーグ・アト・タルカンを覚醒させる話。こういう「遥かな過去から眠っていた人物との対面」というシチュエーションは、いつでもどこでもワクワクしますよね。
・後半エピソード 原タイトル:ENTSCHEIDUNG IM RAUMFORT 3201(意訳:宇宙要塞三二〇一での決断)
オーグ・アト・タルカンの一声で「恒久的葛藤」「戦争崇拝」信仰が大崩壊してしまう話。「五万年前からスピーカー付きのオーグ・アト・タルカン像を作って配っていたのか」と思っていたら、実は種も仕掛けも無いただのポリマーメタル製の彫像だった、という……、そんなものに喋らせることができるなんて、オーグ・アト・タルカンは魔法使いかよ!(笑) あと声にヒュプノ的な要素が含まれていて、法典分子ガスの洗脳を吹き飛ばしてしまいました、とか都合よすぎ! なんというか強引に無理やりに幕を下ろそうとしている、という感じしかしない……
話としてはそれなりに面白いんですけど、もうちょっと細部を納得できるものにしてほしい……