【数学】感想:NHK番組「笑わない数学」第7回「フェルマーの最終定理」(2022年8月24日(水)放送)

図解雑学 フェルマーの最終定理 (図解雑学-絵と文章でわかりやすい!-)

笑わない数学 NHK https://www.nhk.jp/p/ts/Y5R676NK92/
放送 NHK総合。全12回。

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

https://www.nhk.jp/p/ts/Y5R676NK92/
パンサー尾形貴弘が難解な数学の世界を大真面目に解説する異色の知的エンターテインメント番組! 「リーマン予想」「フェルマーの最終定理」「連続体仮説」「四色問題」「ガロア理論」「abc予想」「確率論」「P対NP問題」「カオス理論」「ポアンカレ予想」「暗号理論」「虚数」・・・。天才数学者をも苦しめてきた数々の難問、そして美しくも不思議な知の世界を、1回30分ワンテーマ、ギャグ封印で、トコトン分かりやすく掘り下げる!


MC 尾形貴弘 (パンサー)

 

第7回「フェルマーの最終定理」(2022年8月24日(水)放送)

 

内容

笑わない数学「フェルマーの最終定理
[総合] 2022年08月24日 午後11:00 ~ 午後11:30 (30分)


パンサー尾形貴弘が数学の難問を大真面目に解説する「笑わない数学」。数学史上最大のミステリーと呼ばれた「フェルマーの最終定理」。超難問はどのように解けたのか!?


17世紀、フランスの天才数学者フェルマーは、あるメモを書き残した。「“xのn乗+yのn乗=zのn乗”を満たす自然数x、y、zは存在しない(nは3以上)」。ところが、これが正しいことを示す証明が「紙の余白がない」という理由で残されていなかったのだ。果たして、フェルマーの言葉は正しいのか?中学生でも理解できるこの問題に、多くの数学者たちが挑戦し、敗れ去った。証明に至るまで350年、苦闘のドラマを描く。


【司会】パンサー尾形

 
フェルマーの最終定理とは

 まず「Xの2乗 + Yの2乗 = Zの2乗」を満たす「X、Y、Z」は存在するだろうか? これは有名なピタゴラスの定理なので、答えは簡単に「X=3、Y=4、Z=5」が見つかる。(9+16=25)

 その他にも「X=5、Y=12、Z=13」 「X=8、Y=15、Z=17」 「X=7、Y=24、Z=25」 「X=20、Y=21、Z=29」 等、答えは無数にある。


 では「Xの3乗 + Yの3乗 = Zの3乗」を満たす「X、Y、Z」は存在するか? 試しに適当に計算してみても答えは見つからない。

 そしてフェルマーはこういったのである。『nが3以上の場合、「Xのn乗 + Yのn乗 = Zのn乗」を満たす「X、Y、Z」は存在しない』。これが「フェルマーの最終定理」である。



フェルマーが残した難問

 ピエール・ド・フェルマー(1607年~1665年)はフランスの数学者で、同時代の科学者は、ケプラーガリレオニュートンなど。フェルマーは、確率論や幾何学を研究し、当時の数学界をリードする存在だった。

 フェルマーが30歳の頃、数学の本の余白に『nが3以上の場合、「Xのn乗 + Yのn乗 = Zのn乗」を満たす「X、Y、Z」は存在しない』、さらに『私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる』という言葉を書きしるし、問題の証明をしないまま世を去ってしまった。(※n=4の場合だけ証明している)



●ソフィ・ジェルマンの方法

 その後、大数学者レオンハルト・オイラー(1707年~1783年)が「n=3」の場合を証明した。しかし、nの数は無限に有るので、一つ一つ証明していってはキリがない。


 やがてソフィ・ジェルマン(1776年~1831年)という数学者が、複数のnをまとめて証明する方法を見つけ出した。

 ソフィ・ジェルマンの時代、女性が数学を学ぶことは一般的では無かった。ソフィ・ジェルマンは親の反対を押し切って独学で数学を学び、男性のふりをして大学で学んだ。ソフィ・ジェルマンは「数学の王」と呼ばれた大数学者ガウスと男性のふりをして文通していた。

 1804年、ソフィ・ジェルマンはフェルマーの最終定理を証明したとしてガウスに手紙を送った。ソフィ・ジェルマンは「素数のうち、二倍して1を足すとそれも素数になる数」、つまり5や11などがnの場合は、条件付き(※nがxyzの約数ではないという条件)で、フェルマーの最終定理が成り立つことを証明した。

 しかしソフィ・ジェルマンは女性ゆえに、この内容を論文として発表することは出来なかった。ソフィ・ジェルマンはガウスに自分が女性であることを明かし、ガウスゲッチンゲン大学名誉学位を与えるように動いたが、ソフィ・ジェルマンはその前に亡くなってしまった。



●難航、そして証明へ……

 ソフィ・ジェルマン以降もフェルマーの最終定理を証明しようとする試みは行われたが、誰も成功しなかった。数学者たちの間では、この問題は証明できないのではとあきらめムードになっていた。


 一方、日本の数学者・志村五郎(1930年~2019年)と谷山豊(たにやま・とよ)(1927年~1958年)は、ある方程式と、エッシャーの絵のような図形が実は繋がっている、という予想を立てた。それを簡単に言うと「すべての楕円曲線はモジュラーである」と表現でき、これを「志村-谷山予想」という。しかしこの予想も証明されないままだった。

 1986年、ケン・リベット博士とゲルハルト・フライ博士は、驚くべき発見をする。それは『「志村-谷山予想」が正しいなら、「フェルマーの最終定理」は正しい』という事実だった。

 そして1995年にアンドリュー・ワイルズ博士が「志村-谷山予想」の一部を証明することで、フェルマーの最終定理の証明に成功した。


感想

 以前に「レギュラー番組への道」で放送された回でしたが、改めて視聴しました。
 ↓

【数学】感想:NHK番組「レギュラー番組への道」『笑わない数学 フェルマーの最終定理』(2022年6月11日(土)放送)
https://perry-r.hatenablog.com/entry/2022/06/12/230442

perry-r.hatenablog.com
 
 
 概ねの流れは良いですけど「志村-谷山予想」のところは真面目に紹介し過ぎというかで、時計がどうとか言い出してもう話が全く理解できなくて寝落ちしそうになりました(笑) どうせ最後に軽く「すべての楕円曲線はモジュラーである」で〆るのだったら、あんなに詳しく説明する必要なかったのでは……


 あと、最後はちょっと駆け足だったので、ここの説明が参考になります。

【入試伝説・数学史】1998年 信州大学 フェルマーの最終定理~数学者達の350年間の戦い~ | 受験の月
https://examist.jp/legendexam/1998-shinsyu/

examist.jp

1984年、ゲルハルト・フライ(ドイツ)は、フェルマー予想がもし間違っていたら、つまりもし仮に解を持つとしたらどうなるのかと考え仮想的な解を代入していった。すると、モジュラーではない異常な楕円曲線が現れた。これは、すべての楕円曲線がモジュラーであるとする谷山=志村予想に反する。すなわち


フェルマー予想が偽ならば、谷山=志村予想も偽である」


とすると、これの対偶は・・・


「谷山=志村予想が真ならば、フェルマー予想も真である」


この瞬間、フェルマー予想の証明は谷山=志村予想の証明に移り代わった。

 
 という事だったのですね(納得)。
 
 
フェルマーの最終定理 (新潮文庫)
天才数学者たちが挑んだ最大の難問―フェルマーの最終定理が解けるまで
数論とフェルマーの最終定理 (図解雑学)
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笑わない数学(NHKオンデマンド)
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