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感想:オカルト系番組「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」『File-14 水中の巨大生物&ポルターガイスト』


(※以下、ネタバレです)

NHK幻解! 超常ファイル―ダークサイド・ミステリー (教養・文化シリーズ)

NHK幻解! 超常ファイル―ダークサイド・ミステリー (教養・文化シリーズ)

 NHK BSプレミアムでの視聴です(放送日:2015年10月24日(土) 22:00〜23:00)。



『File-14 水中の巨大生物&ポルターガイスト

番組内容

http://www4.nhk.or.jp/darkside/x/2015-10-24/10/21492/2357043/
人類未知の領域から…最新映像!水面をうごめく謎の巨大生物◆日本人が捕らえた!ニューネッシー事件の真相◆心霊現象ポルターガイストを実験で検証!あなたの家も○○が?


未解決ミステリー・超常現象を栗山千明が徹底解明!◆水中から現れる黒い影…政府がホンモノと認めた?巨大生物の最新映像・これが伝説の“ワーム”だ!/大海ヘビ・シーサーペント、衝撃写真の正体は?/日本人が捕らえた!ニューネッシー事件の真相。秘蔵・怪物の体の一部を大公開!◆誰もいない部屋で音が鳴り、物が飛ぶ!?心霊現象ポルターガイストをガチンコ検証!日本での恐怖の事例に実験で迫る。あなたの家にも○○が?

1. 水中の巨大生物

(1)アイスランドの怪物「ラーガルフリョート・オルムリン」

 2012年。アイスランド国営放送のサイトで「怪物」の映像が公開され、世界的な大反響を呼ぶこととなった。その映像はアイスランド東部の町「エイイルスタージル」にある湖「ラーガルフリョート湖」で、2012年2月2日に撮影されたもので、湖面を蛇のようにくねりながら進む黒い何かが映し出されていた。


 地元ではラーガルフリョート湖には『ラーガルフリョート・オルムリン』と呼ばれる、巨大な蛇の様な怪物が住んでいるという伝説が有り、過去に何件も怪物を見たという目撃証言があった。そのため、今回の映像は怪物存在の決定的証拠と考えられたのである。


 しかし、その後の解析で「怪物」と岸辺の地形の位置関係を比較してみると、怪物は全く前に進んでいないことが解った。撮影された場所は川の水の影響で流れが発生しており、それで生まれた波の為に物体が前に進んでいると錯覚してしまったのである。当時の結論としては、これは布か網が引っかかって水の流れで動いているだけ、ということになった。NHK取材班も撮影場所で網を杭に打ち付けて流してみて、まさしく「怪物」の様な状態になることを確認した。


 また他の目撃事例も、「水中から湧き出たメタンガスの泡を怪物の背と見間違えた」「岩や土を怪物と誤解した」「竜巻の起こす波を怪物の起こしたものと考えた」など、思い違い見間違えとして十分に説明が付く。


 ところが2014年になって、現地の調査委員会が「2012年の映像に映っていた怪物は本物」とお墨付きをつけたため、「アイスランド政府が怪物を公認した」とまた大騒ぎになった。もっとも、これは大げさな話で、地元ではオルムリンの証拠写真には懸賞金を払う、と決めていたので、地元の人たちが撮影者にお金を払うかどうか討論し、最終的に支払いを決めた、というだけだった。別に政府が怪物を認めたわけでは無く、怪物を街のシンボルとして使い、存在をごく自然に信じる人たちが、町のイベントの一環としてこれはオルムリンという事にしましょう、と決めた程度の話だった、というオチだった。



(2)オーストラリアのシーサーペント

 1964年に、オーストラリアの海辺で水中でくねるような黒い影が撮影され、これは世界で一番有名なシーサーペント写真だと思われる。水中で布を広げたところを撮影したのでは? といった意見もあるが、未だに真偽はハッキリしていない。


 ところがNHKは「ワイルドライフ」の取材のためオーストラリアで撮影した際に、そっくりの物体の撮影に成功した。その正体は何かと言えば「小魚の群れ」だった。物凄い数の小魚が一かたまりで動くさまが、まるで巨大な蛇のように見えるのである。「シーサーペント」の正体もこれではないのか。



(3)ニューネッシー

 1977年7月21日。日本の新聞は、ニュージーランド沖で操業していた漁船が4月に「未知の生物」を発見したと報じた。漁の最中に網にかかったため引き上げたものの、腐敗しておりすさまじい腐臭を発していたため、すぐに海中に水中に投棄したという。残ったものは、四枚の写真と、船員の手によるスケッチ、ひれの先から引き抜いた繊維、だけだった。しかし、写真の姿は古代の「首長竜」を思わせたため、マスコミはこの死体を「ニューネッシー」と名付け、それ以降日本中が大騒ぎとなった。


 ニューネッシーの正体は何か? 当初はその姿から、太古に絶滅したと考えられていた首長竜がシーラカンスのようにひっそりと生き残っていたのでは、という説が唱えられた。しかし、死体の写真を見ると指の骨が見当たらないことから、首長竜やクジラ説は否定され、サメ説が浮上した。サメに詳しい業者は「ウバザメ」のアゴの部分が取れた死体だと断言し、実際にウバザメを解体して例の死体に似ているかどうかを試す試みも行なわれた。


 あくまで首長竜説を唱える人々は、スケッチに「後ろヒレ」があることから、サメではないと主張したが、後にこのスケッチは乗員の想像も含めたかなり不正確なものであることが明らかになってしまい、意見をひっこめざるを得なかった。さらにひれからとった繊維のアミノ酸を分析したところ、サメのものに近い、という結果が出たため、ニューネッシー=ウバザメ、ということで落ち着いた。


 ところがその年の12月、学者たちがこの死体についての報告書を出し、「未知の生物」であると発表したため、また少し騒ぎになった。しかしこれにはカラクリが有った。一般人が「未知の生物」と聞けば、今までに発見されていない全く新種の生物、と考える。しかし学者が言うところの「未知の生物」とは、全くニュアンスが違い「結論を出すための証拠がありませんでした。断言できないので「未知」の生物という事にします」という程度の意味合いなのである。このニュアンスの差がちょっとした騒ぎを引き起こしたのだった。




2. ポルターガイスト

 触ってもいない物体が動いたりする現象を「騒霊」(ポルターガイスト)と呼ぶ。


 海外では多くの事例が報告されているが、日本でも2000年にあるマンションで怪奇現象が発生するとしてマスコミを騒がせた。住人の証言によれば、新築にもかかわらず部屋の中でパキッという奇怪な音が聞こえ、また食器棚が突然開いて中から皿が飛び出したという。マスコミは面白おかしくこの騒ぎを伝え、日本中から霊能者・祈祷師が押し寄せる騒ぎとなった。


 果たしてこのマンションでの出来事は本当にポルターガイストなのか? スタッフは騒音を研究する「日本騒音制御工学会」の「不思議音分科会」を取材した。この会は建築業界の音の専門家たちが、住宅で聞こえる不可思議な音を分析し、さまざまな情報からその発生源を探るという集まりである。専門家によれば、異音の85パーセントは「熱」で起きるという。例えばサッシは熱で暖められて膨張して音を出す。また配水管に温かい水が流れると、膨張して音を出し、それが鉄筋コンクリートを伝わって住民に聞こえる、という現象が起きる。鉄筋の建物だと音が全く聞こえないように思えるが、実は逆に鉄筋コンクリート作りは音を伝えやすい。


 また皿が飛び出したという件は、地元の役場の人間が一晩部屋に泊まりこみ、何もおきなかったことを確認している。


 しかしマスコミはそういう情報を掴んでいながら、全く伝えなかった。彼らは学術論文を書いているわけではないので、面白おかしく「幽霊騒ぎ」と書きたてた方がネタになって面白いからそうしたのだった。



 1998年には別の事件が起きている。何の揺れも感じないのに、仏壇の位牌などが動くという現象が発生し、「たたり」説もとびだしたほどだった。しかし原因は「低周波」と判明した。一秒間に数回振動するような低周波は、家具などを揺らすことが解っているが、人間は低周波に鈍感なため、それに気が付かないのである。調査の結果、近くの川の水が滝のように落下するときに低周波を発し、それが物を動かしていると解明された。


 何故「謎の音」「振動」が、理屈のつく原因では無く、奇怪な「心霊現象」「ポルターガイスト」として扱われてしまうのか? それは「人々の期待」にあると考えられる。人は「未知の現象」や「ポルターガイスト」を体験したい、と期待している。そのため何かが起きると「これは心霊現象だ!」とすぐに飛びついてしまうのだ。


 さて、2012年アメリカとイギリスでポルターガイスト現象の映像が撮影されている。しかしこの件は時間が無いので「次回」に扱うことにします。


感想

 水中の怪物とポルターガイストという、オカルトのメジャーテーマでの直球勝負は実に楽しかった。いつものように冷静な分析によって「おあいにくさま、実はそんなのは無いんだよーん」という結論でしたが、キチンと根拠を示した上での答えなので納得させてくれます。


 いやぁ、懐かしいよねニューネッシー。リアルタイムでオカルトネタが進行して行くのを見る、という貴重な体験をさせてもらいました。まあ1970年代はその他にも矢追純一御大によるUFO特番だのオリバー君だのユリ・ゲラーだの、オカルティックなネタには事欠かなかった時代でしたけどね。いやー、あの頃は良かった、今は夢が無いよ夢が。


 しかし、一つ許せないことが……、ポルターガイスト特集の冒頭に流れて「これマジかよ……」と唸ったアメリカ&イギリスのポルターガイストについて、「これについては次回を待て!」ってひどいだろ! 次回っていつなんだよ! ワナワナ(怒りの握りコブシ)


■幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー - NHK
http://www4.nhk.or.jp/darkside/

http://www4.nhk.or.jp/darkside/26/
UFO、ネッシー、雪男、予言&占い、心霊現象、超古代文明、妖怪、吸血鬼、魔女…。闇の魅力がもつ妖しげな幻に対して、「今、何がどこまでわかっているのか?」を徹底検証!そこから浮かぶのは、自然の神秘、私たちの脳や心の不思議なメカニズム、社会のからくり、昔の人の驚くべき技術と想像力…。ダークサイドの向こうの“本物の不思議”をワクワクしながら楽しんでいただく、NHKならではの超常現象ガチンコ検証番組!


出演者 栗山千明 (くりやまちあき)

テーマ曲: 志方あきこ
オープニング曲“Arcadiaアルカディア)”
エンディング曲“Leyre(レイレ)”
アルバム名/ “Turaida(トゥライダ)”

語り: 中田譲治(声優、俳優、ナレーター)
代表作 『巌窟王』(モンテ・クリスト伯爵)、『ケロロ軍曹』(ギロロ伍長)、『HELLSING』(アーカード)、『Fate/Zero』(言峰綺礼)、『劇場版 空の境界』(荒耶宗蓮)など