読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン6」第2話「迷走」


X-ファイル シーズン6 (SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン6 http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s6/
放送 Dlife。全22話。

【※以下ネタバレ】


※シーズン6の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン6」あらすじ・感想まとめ

第2話 迷走 DRIVE

あらすじ

http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s6/
EP2 迷走
モルダーとスカリーはXファイルから外され、国内テロ対策として肥料を購入した農家の聞き込み捜査をしていた。そんな折、ネバダ州である男が、警察とカーチェイスを展開。

 お題は「未知の奇病、軍の機密実験」。


 冒頭。ネバダ州の道路で警察が暴走車両を停止させ運転手を逮捕したところ、人質と思われた女性がいきなり苦しみだした末、頭が破裂して死亡する。しかも調べてみると、死亡したのは運転していた男クランプの妻だった。クランプ夫人の死の理由は不明だった。

 同じ頃、モルダーとスカリーは、カーシュ副長官の命令で、国内テロ対策の地味な仕事を黙々とこなしていた。2人はアイダホ州に来ていたが、モルダーはテレビニュースで隣のネバダ州で奇妙な事件が発生したことを知り、スカリーを説き伏せてネバダに向かった。

 モルダーたちが警察に到着すると、収監されていたクランプが突然苦しみだしたため、慌てて救急車に乗せる。その途端クランプは元気になり、警官の銃を奪うと、同行していたモルダーの車をジャックして西へと向かわせる。実はクランプは動かない状態では猛烈な頭痛に襲われ、西に向けて移動していれば回復する、という奇妙な病に襲われていた。彼女の妻も朝から同様の症状だったため、必死で車を走らせていたという。クランプはモルダーに、自分たちは政府の陰謀で病気にされたと訴える。

 一方スカリーは、クランプの妻を検死し、耳が内部から破裂したものとしか考えられないことを知る。さらに同様の死に方をした2人目の犠牲者が出るに至り、スカリーはこれは未知の伝染病によるものと考え、医療チームと共にクランプの自宅の調査を行なう。すると犬・鳥なども変死していたこと、耳の悪い隣人は何も問題が無かった事、が判明した。スカリーはこの病気は伝染病では無く、何かの音が原因で生物の内耳が破壊されたのではないかと推測し、さらにクランプの家の近くで政府の機密施設を見つける。スカリーは海軍に問い合わせ、その日の早朝に施設で電圧異常の障害が起きていたことを知る。軍の研究している極低周波無線の実験機器が電圧異常のせいで生物の内耳に異常を起こさせ、死に至らしめた可能性が強かった。スカリーはクランプの耳から圧力を抜いて助けようと考えるが、モルダーの車が到着したときには、クランプも頭が破裂して死んでいた。

 事件後、カーシュ副長官は2人に与えた仕事以外に手を出した事を叱責した上で、どうあがいてもX-ファイルの仕事には戻さないので、文句があるならFBIを辞めろと宣告する。


監督 ロブ・ボウマン
脚本 ヴィンス・ギリガン


感想

 評価は○。


 いつものX-ファイルの展開とは異なり、モルダーが人質にされて、ひたすら車を走らせ続ける羽目になり、その間にスカリーが事件の背景を調べていく、というサスペンス色の強いエピソード。異色の展開だったが、にもかかわらずストーリー運びが巧みで、楽しめる好エピソードとなった。


 今回のテーマは未知の病気。謎の原因で発生した頭痛で、他人に伝染したり見た目が変貌するとかいうわけでも無いのでいささか地味だが、症状が進むと最後には耳(というより頭)が破裂して死ぬ、というところが凶悪である。さらに自動車などで西に向けて時速100キロ以上で進むときだけ症状が緩和される、という設定があり、これが実に上手い。これによりただの病気でないことが暗示され、また常に移動し続けていないといけないため、病院に入院させて時間をかけて検査・治療させるという事が出来ない、という緊迫した状況を生み出している。この「常に移動していないと死ぬ(しかも西方向限定)」という設定は、こういう状況を生み出すために作ったのは見え見えだが、視聴者に「途中で西に進めなくなったら……、たとえ途中で止まらなくても、西海岸についてしまったらそこからどうする?」という緊張感を与えていて、上手いアイデアだった。

 スカリーたちが病気の原因を突き止めるため、クランプの自宅周辺を調査していると、犬が猛烈に暴れまわった挙句頭が爆発して死んだり、周囲の地面にカラスの死体がゴロゴロ転がっていたり、という雰囲気の盛り上げ方も絶妙だった。


 事件の原因は、海軍が研究していた「極(ごく−)低周波無線」の実験「シーフェアラー計画」の施設がクランプの家の近くにあったため、とスカリーは推測したが、海軍が極低周波の実験云々というのは、全くの架空の作り話という訳でもない。水中にいる潜水艦には普通の電波は届かないが、極低周波(=極超長波)なら到達するから通信用として使われているという。もっともモルダーの言葉の様に「極低周波を使った、神経ガスに代わるような兵器」を作っているかどうかは定かではない。あと何故海から遥かに遠いネバダ州に海軍の秘密実験設備があるのかは謎だが、人里はなれた場所を選んだという事なのだろう。


 事件は、結局モルダーがクランプを助けられなかった上、意地悪上司のカーシュからは「勝手に余計な仕事をしたので、かかった費用はキッチリ自腹で払ってもらう。あとX-ファイルの仕事には絶対戻さない。それが嫌ならさっさとFBIを辞めろ」とパワハラを受けるなど、精神的にも金銭的にも厳しい結末となった。スカリーが「ほんとに最低だわ」と吐き捨てたくなるのもよく解るという物である。