感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン9」第13話「数秘術」

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■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン9 http://dlife.disney.co.jp/program/drama/xfile_s9.html
放送 Dlife。全20話。

【※以下ネタバレ】
 
※シーズン9の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン9」あらすじ・感想まとめ
 

第13話 数秘術 IMPROBABLE

 

あらすじ

 お題は「数秘術」。

 ウェインという陰気な男の前に、陽気な男(バート)が何度も現れ声をかけてウェインをいらつかせる。

 ある日、レイエスはスカリーに、女性が被害者となった過去四件の殺人事件について、これは同一犯の犯行だという考えを述べる。ところが、その根拠は被害者たちが「数秘術」的に共通点があることだと聞き、スカリーは呆れかえる。しかし、スカリーは殴り殺された被害者たちには、いずれも丸い三つの痕が残っていることに気が付き、本当に同じ人間による連続殺人らしいと解る。

 レイエスは数秘術師の女性を訪ね、被害者たちの共通点を探すように頼むが、その間にさらに二件の殺人が発生し、どちらの犠牲者の女性にも例の丸い痕が残っていた。さらにレイエスが訪ねた数秘術師の女性も、やはり同じ手口で殺されてしまう。

 ドゲットは、レイエスとは違い正攻法で捜査に臨むが、犯行場所を結んだ数字が「6」の形に見えることから、何か数字に意味があるのかもと考える。一方、スカリーは、被害者たちの顔の傷は「666」という数字を彫ってある指輪の痕だと直感していた。

 スカリーはレイエスと二人で捜査中に、偶然にもその指輪をはめている男(ウェイン)を見つけ、駐車場に逃げこんだウェインを追跡するが、深夜の駐車場内に閉じ込められてしまう。そこにはバートがおり、レイエスはバートと話し込むうち、犯人は何かの意味があって殺人をしているのではなく数字に動かされていること、犯人は犠牲者を3人一組で殺していること、七人が殺された後の次の犠牲者二人は自分とスカリーであること、などを思いつく。

 最後、レイエスたちはウェインとの格闘になるが、最終的に駆けつけたドゲットがウェインを射殺した。ドゲットは地図で見えた数字は「6」ではなく「9」だと思いついてやってきたのだという。レイエスはウェインに犯行の動機を聞くが、何も聞けないままウェインは死んでしまう。謎の男バートはいつの間にかどこかに消え失せていた。

 最後、街の光景をずっと上空から眺めると、バートの顔になっている、というシーンで〆。


監督 クリス・カーター
脚本 クリス・カーター


感想

 評価は△。

 制作総指揮のクリス・カーターが久しぶりに脚本と監督を担当したエピソード。過去にクリス・カーターが監督・脚本の二役を兼任した回は、X-ファイルの枠を外れた変化球エピソードが多く、シーズン5・第5話「プロメテウス」、シーズン6・第3話「トライアングル」、シーズン6・第6話「クリスマス・イブの過ごし方」、など、ヘンテコというかお遊びというか、正直ふざけているとしか思えない回がやたら目につくが、今回もまたそのパターンで、見ていてあまりの展開に呆れ果ててしまった。


 今回のお題となっている「数秘術」とは、このエピソードを見るまでは詳細は知らなかったのだが、占星術などと同様の占いの一種とのことである。レイエスの親切な説明などによれば、名前と誕生日を組み合わせて数字に置き換えていろいろ処理すると、最終的に本人を現す「運命数」という数にたどり着き(1~9、11、22、33のいずれか)、その数字がいくつかという事によって、その人がどんな人間であるかわかるという。なお、各キャラの運命数は、ドゲット(1960年4月4日生まれ)は「6」で、スカリーは「9」である。


 今回はスペシャル回というか番外編というかの扱いらしく、レイエスが最初から数秘術(=占い)で事件を解決しようとする変なキャラクターということになっており、レイエスが上司や同僚たちに向かっても数秘術で事件が云々と言い出すあたりは、痛々しくてとても見ていられたものでなかった。変人モルダーなら何を批判されても平気の平左だろうが、普段は真面目なレイエスがこういうキャラになってしまうと、ちょっと辛いものがあった。

 このエピソードはクリス・カーターが好き勝手やって作ったらしく、劇中にX-ファイルとは思えないような場違いな陽気な音楽がやたらと流されて、耳障りで仕方なかった。また、劇中で犯人ウェインにやたらと絡む謎の男バートが現れ、スカリーやレイエスともコントのような会話を演じたが、この男を演じたのは俳優のバート・レイノルズである。レイノルズはX-ファイルに出演したいと希望していたらしく、それを聞いてクリス・カーターがレイノルズのためにこの話を書いた、といういきさつがあったらしい。どうりで、バートのキャラクターは目立ったものの、話は支離滅裂気味だったわけである。

 事件が解決した後、スカリーとレイエスは、レイノルズが演じた謎の男バートについて「あれはいったい誰だったのか?」とそろって首をひねるが、カーターによれば、その正体は「神」のつもりらしい。占いで事件を解決しようとするFBI捜査官の前に神が現れる、というストーリーだと最初から知っていれば、真面目に見る気は毛頭出なかったと思う。ラストで、町の光景を上から眺めると、バートの顔になっている、というオチも意味不明過ぎて、もう何とも言えない気持ちになってしまった。

 視聴前は、占いで事件を解決しようとするコミカル系のエピソードかと思って期待していたのだが、終わってみるとガッカリしかない失望だけの話だった。


一言メモ

 サブタイトルの原題「IMPROBABLE」とは「起こりそうもない」の意味。

もう一言

 番組のオープニングで、いつもは「THE TRUTH IS OUT THERE」(真実はそこにある)と表示されるところが、今回はイタリア語の「DIO TO AMA」(神は汝を愛す)という文章に置き換えられている。

シーズン9の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら

「X-ファイル シーズン9」あらすじ・感想まとめ