感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第121話(シーズン5 第17話)「地雷原突破!」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン5(105~127話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン5」あらすじ・感想まとめ

 

第121話 地雷原突破! The Field (シーズン5 第17話)

 

あらすじ

核弾頭を搭載した人工衛星が打ち上げられた!この衛星を破壊するには、地雷原に守られたコントロール基地にバーニー(グレッグ・モリス)が行かなくてはならない。地雷原解除のためこれを設計したエンジニアに扮しパリス(レナード・ニモイ)が基地に潜入するが、本物のエンジニアが直前に殺人を犯していたため、パリスの身に危機が迫る…。

【今回の指令】
 今朝、某敵性国家が打ち上げた人工衛星は、大都市を壊滅させる威力を持つ核爆弾を数個搭載している。そしてこの衛星は、アドリア海の孤島にある基地からコントロールされている。基地の周囲は地雷原で守られており、それを設計したのはアメリカから亡命したエンジニアのアーサー・ノリス(Arthur Norris)である。IMFはこの衛星を破壊しなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、ダナ、バーニー、ダグ
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 アドリア海沿岸の某国


【作戦】
 アーサー・ノリスは、恋人のキャサリンを訪ねていたが、ノリスはキャサリンが自分をスパイしていたことに気が付き、激高して射殺すると、部屋から死体を運び出す。その後、ノリスが自室に帰宅したところに、フェルプスたちが待ち伏せしており、ノリスは眠らされ、パリスがノリスにすり替わる。

 同じころバーニーは基地のある島に単身上陸し、地雷原に爆弾を打ち込んで誘爆させていた。司令官は地雷原の異常に慌て、設計者のノリス(パリス)を呼び寄せる。やってきたパリスは、調査のためだと言って地雷原のスイッチを切り、バーニーは地雷原をすり抜けて基地に忍び込み、人工衛星をコントロールするコンピューターに細工する。

 ところが、キャサリンの死体が路上で発見され、キャサリンは秘密警察がノリスを調べるために送り込んだスパイだったため、秘密警察は容疑者としてノリスを疑い、ノリス(パリス)を基地から連れてこさせる。そして基地の司令官は地雷原のスイッチを入れたので、バーニーは逃げられなくなって立ち往生してしまう。

 フェルプスたちは秘密警察がノリスの部屋を調べに来たので、状況に気が付き、慌てて対応を余儀なくされる。フェルプスはノリスを目覚めさせ、警察のふりをしてキャサリン殺しの詳細を自白させる。

 その後ダナが秘密警察に行き、パリスの前で「ノリス(パリス)がキャサリンの死体を運び出すところを見た」と証言し、秘密警察はパリスの有罪を確信する。ところがパリスは上手く話を合わせ、ダナこそ先日はキャサリンに嫉妬していて殺すと言っていた、と問い詰め返す。そこをつかれて、ダナは泣き崩れ、キャサリン殺しを白状する。秘密警察は慌ててパリスを釈放し、ダナは警官(実はダグ)に連れていかれる。

 パリスは基地の司令官に電話し、すぐ戻るので地雷原のスイッチを切るようにと指示してから、仲間と共に車で立ち去る。バーニーは地雷原がオフになったことに気が付き、基地から逃げ出す。そしてバーニーが空を見上げると、軌道をずれた人工衛星が大気圏に突入し燃え上がっているところが見えて〆。


監督: レザ・S・バディイ
脚本: ウェスリー・ロウ(原案: ジュディ・バーンズ&ウェスリー・ロウ)


感想

 評価は(ぎりぎりで)○。

 今回も冒頭からテープの指令シーンだったので、王道のIMFが粛々とミッションを遂行していく話だと思ったら、途中から変な方向に話がずれていってしまい、顔をしかめてしまった。しかしまあ、最後は落ち着くところに落ち着いたので、なんとか○を付けられる内容ではあった。

 さて、今回の舞台の孤島のある「アドリア海」はどこなのかと調べてみたら、イタリアの東側にある、長靴に沿った細長い海の事だった。放送時期の1971年には対岸にユーゴスラビアが有ったので、おそらく「某敵性国家」というのはユーゴスラビアのつもりだったと思われる。もっともユーゴが核爆弾搭載衛星を打ち上げて世界の脅威になる、というシチュエーションがいまいちしっくりこないが……

 今回もまた、第5シーズンで定番となった「IMFがミッション遂行中に重大なアクシデントが発生して予定が狂ってしまい、メンバーが必死でリカバリする」という系列の話だった。ただし、そのアクシデントの内容がちょっとひねっており、メンバーが敵に撃たれて怪我をするとか、へまをして捕まってしまうとかではなく、ターゲットがIMFの知らないうちにやらかしていた殺人のせいで計画に支障をきたす、というのはちょっと面白くはあった。

 まあ、このアクシデントが無いと、計画はパリスとバーニーの二人で完遂できてしまうようなスケールの小さなものだったので、事件は他のメンバーの出番をひねり出すために強引に作った感が見え見えではあるが、この緊急事態の切り抜け方がそこそこは面白かったので、それなりに満足感が有った。フェルプスがノリスに心臓発作風の症状を起こす薬を盛ってから目覚めさせ、警察のふりをして尋問して殺人を白状させる、というのは定番だったが、その後のダナの役目が中々凝っていた。

 ダナがノリス(パリス)の殺人の目撃者として秘密警察を訪問し、わざわざパリスを危機に陥れるような証言をするのだが、パリスがそこからダナの真意をくみ取り、逆にダナに殺人を白状させ、自分の無実を証明する、という展開は、何か法廷物みたいなノリであった。メモによる連絡も秘密のアイコンタクトも無しに、こんなに都合よく話が合わせられるのか、という点はいささか疑問だが、アイデアとしては結構秀逸だった。

 もちろんこのままでは逆にダナが殺人犯として刑務所送りになっていまうが、そこにダナを連行に来たのがダグの変装した警官で、結局皆で無事に脱出してしまう、というオチになっており、この展開にはちょっと笑ってしまった。

 結局、色々ごたごたは有ったものの、「IMFが芝居で敵を騙して任務を遂行する」という展開は守られていたので、最低限の期待するラインは死守されており、まあなんとか評価できるエピソードではあった。

 しかし、IMFがノリスの部屋を訪れるた際ノリスが不在だと知り、パリスが「どこに行ったのか見当がつかない」とか言っていたのは、どうかと思わずにはいられなかった。IMFならそれくらい下調べしていてほしかったし、第一このままノリスが一晩戻ってこなかったらどうするつもりだったのだろうか。IMFが無能に見えるような展開はファンとしてはいただけない。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが画廊に入り、カーテンの奥の部屋に潜り込んで、鍵のかかったキャビネを開け、大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出す。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。
(※第101話(シーズン4の第23話)「クレーン車は見ていた」のシーンの使いまわし)


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。この人工衛星は、今朝ある敵性国家から打ち上げられたものであるが、中に首都クラスの大都市を壊滅に帰するだけの核爆弾を何個か搭載している。そして、この世界各国にとって不気味な脅威となった人工衛星をコントロールする基地は、アドリア海の一孤島にある。基地は高性能地雷原によって堅く防備されており、その鉄壁を誇る地雷原を設計したのは、わが国から亡命したエンジニア、アーサー・ノリスである。

 そこで君の使命だが、この人工衛星を破壊することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 

シーズン5(105~127話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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