【ボードゲーム】ゲームブック「火吹き山の魔法使い」のボードゲームが有るなんて知ってた!?

 
※以下、ゲームブック「火吹き山の魔法使い」のネタバレが有ります。

The Warlock of Firetop Mountain
 
 

懐かしのゲームブック

火吹山の魔法使い ファイティング・ファンタジー (現代教養文庫)
 
 1984年から87年まで、約三年間という短い期間でしたが、日本に大ブームを巻き起こしたゲームブック。そのブームのきっかけとなったのが社会思想社の「火吹山の魔法使い」(ひふきさん・ひふきやま、の二つの読み方あり)であることは、万人が認めるところです。

 当時まだまだRPGという概念が浸透していなかった日本で、「ドラゴンクエスト1」より前に、日本人にRPG的な物を教えてくれた記念碑的作品であり、単純ながら面白い展開と適度な難易度の組み合わせで、21世紀にプレイしても面白いという奇跡の名作です。


ボードゲーム版も有った!

 そんな大ヒット作品だけに、関連商品が作られるのも必然で、原作発売(1982年)の四年後の1986年にはゲームブックの著者のスティーブ・ジャクソン自らがデザインしたボードゲーム版も発売されています。

 このゲームの存在自体は、ブームの最中に安田均先生か誰かが紹介していたので知ってはいたのですが、つい先日このゲームに関する記事を見つけてしまって、ちょっと嬉しくなりました。まあ記事自体は2005年の物なんですけどね。


allabout.co.jp

更新日:2005年07月20日
今日ばかりは一ファンとして語ります 火吹山の魔法使いボードゲーム (全文) [カードゲーム・ボードゲーム] All About
執筆者:双六屋 カゲゾウ
https://allabout.co.jp/gm/gc/215746/all/

ゲームは双六です。プレイヤーは冒険者となって、サイコロを振り、地下迷宮を進んで行きます。プレイヤーの目的は火吹山の最深部に鎮座する、魔法使いの打倒です。


つまり、プレイヤー達は互いに競ってゴールを目指すも、対魔法使い戦に備え、敢えて回り道し、しっかりとアイテムを収集する必要があります。急ぎたいが、急げない、このジリジリ感が堪らない!


もちろんブック版と異なる点もあります。仮にプレイヤー同士が同じマスに入ったときは、プレイヤー同士で対戦することが出来るのです!


ラストボスは火吹山の魔法使いです。しかし魔法使いを倒したとしても、ゲームは終わりません。
なぜなら、魔法使いは宝箱を所有しており、その宝を最初に得たプレイヤーがこのゲームの真の勝者となります。しかし魔法使いの宝箱にはしっかりと鍵がかかっており、正しい3本の鍵を差し込まないと開錠することは不可能なのです!

 ホント、ほぼゲームブックと同じ展開です。ただし対人戦があって交渉したりアイテムを奪い合ったりできるとかいうのはマルチゲームらしいですね。

 ちなみにこのゲーム、隠しモードと言うかでソロプレイ出来る、と書かれていますが……、いや別に一人でプレイすれば良いだけなんじゃね?


プレイされている方の記録

化夢宇留仁のボードゲームプレイ記録
2003年5月31日 火吹山の魔法使い
http://kekeke.o.oo7.jp/html2/b_games/kiroku030531.htm

 化夢宇留仁さんのプレイ記録です。2017年時点で、このゲームのプレイの様子が解る唯一のサイトだと思います。凄く貴重です。


ファイティング・ファンタジー「火吹山の魔法使い」 (〈ファイティング・ファンタジー〉シリーズ)

【ボードゲーム】「神々の戦い」と言えばこれだろ!「神々の戦い Armagedoon」(エポック)

 
世界の神々 伝説の戦い
 
 

神と神の大決戦

 ここ数日、世界の神々がぶつかり合うという格闘ゲーム「神々の戦い」がちょいと話題ですが……

pc.watch.impress.co.jp

【やじうまPC Watch仏陀やキリストがしばき合う“神”格ゲー「Fight of Gods」 ~さわりだけ仏陀を攻略してみた - PC Watch
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/yajiuma/1080033.html

それが「Fight of Gods」だ。

このゲームは、「神々の戦い」という名のとおり、世界各地の宗教や神話の神同士が戦う格闘ゲームだ。神聖な神を格闘ゲームのキャラクターにするとは、まさに神をも恐れぬといったところ。具体的な登場キャラクターは、キリスト、ゼウス、仏陀オーディン関羽、アテナ、シヴ、モーゼ、アヌビス、天照大神の10キャラ。言わずと知れた神々が集結しているが、選考基準に一定の配慮が働いていることは感じ取れる。


 世界の神々をぶつけ合わせて優劣を決めるとかいうあたりが、ちょっと宗教的に危なそう、みたいな感じで語られていますが、そんなこたぁ、既に日本人が1989年にやっていた!


「神々の戦い Armagedoon」(エポック)

 それが、これ、エポック社のマルチゲーム「神々の戦い Armagedoon」です。

神々の戦い Armagedoon | 新品 | シミュレーションゲーム | 通販ショップの駿河
http://www.suruga-ya.jp/product/detail/607028080000
シミュレーションゲーム
神々の戦い Armagedoon
メーカー エポック


はるかな昔、至高界の神々は人間を信奉させる事にやっきになっていました。
その過程では他の神々と正面から激突する事も多く、民はそれを「ハルマゲドン、神々の戦い」と呼んだのです。
あなたはある1人の神となり、自分の宗教を広めて豪華な神殿を建築し、配下につく神を集め、他の宗教を否定して世界一の宗教を作り上げる事がこのゲームの目的です。


プレイ人数:3~6人
初心者~中級者向け
デザイナー:鈴木銀一郎

 1980年代に一時的にブームとなったボードシミュレーションゲームの中の、ブーム末期の作品。デザインはゲーム界の有名人鈴木銀一郎氏。

 内容は簡単に言うと、プレイヤーはゼウスとかそういう神々を担当して信者獲得に励んだ後、ゲームの最後に最終決戦「ハルマゲドン」が発生し、ここで勝ち残ったプレイヤーが勝者・唯一神となる、という殺伐かつ、ある意味とんでもないもの。これ、企画も発売も日本でしか不可能ですわ……

 ちなみにこのゲーム、テーマ的にあれだからか、質に問題が有ったのか、特に話題になることも無く歴史の彼方に消えていきました……、でも、発売当時の衝撃がすごすぎて未だに忘れられない……
 
 

 
 

感想:アニメ「キャプテンフューチャー」第51話「死都の対決」

コロムビア・サウンド・アーカイブス キャプテンフューチャー オリジナル・サウント・トラック-完全盤-

東映チャンネル | キャプテンフューチャー http://www.toeich.jp/program/1T0000010881/201705
放送 CS放送東映チャンネル。全52話。1978年~1979年作品。

【※以下ネタバレ】
 

第51話 死都の対決 (「人工進化の秘密」より)

 

あらすじ

 15作目「人工進化の秘密!」編・第3回(全4回)

 キャプテンフューチャーは鷲人間の助けを借り、サイモン教授と共に「酋長の塔」と呼ばれるビルに潜入した。そしてジョーンとケンを発見し、ケンを逃がすことに成功するものの、自身とジョーンはノートン一味に捕まってしまった。

 ノートンジョーンに人工進化の秘密を喋らせようと拷問にかけるが、そこにやってきたウインタースはノートンに銃を向けた。ウインタースはアアルにやってきて半獣人たちを見たことで、人工進化を乱用する危険性にようやく気が付いたのだった。しかしノートンはウインタースを冷酷にも射殺してしまう。

 やがて、フューチャーメンと半獣人たちがフューチャーたちを救出するため、ラプーンの都に突入してきた。その混乱に乗じてフューチャーはジョーンを救出し、半獣人たちは「人間もどき」を蹴散らして勝利した。しかしノートン一味は再度コメットに乗りこみ逃走してしまう。

 実はジョーンはフューチャーを殺すと脅されて、人工進化の秘密がある場所をノートンたちに教えてしまっていた。しかし本来の碑文「北黒洋の彼方、結晶山のプリズムピークの下に、生命の洞窟あり」ではなく、「結晶山のどこか」としか教えていなかったため、フューチャーはまだ勝機があると考える。フューチャーたちは黒い海「北黒洋」の海岸へとたどり着いた。続く。


脚本:安藤豊弘


感想

 原作がいまいち面白くないので、アニメの方も盛り上がりに欠けたエピソードでした。次回が最終回なのですが……

 今回、虎人間シィを演じた廣瀬正志氏とは、あのランバラル他の広瀬正志の事なのでしょうか。
 
 

キャプテンフューチャー」の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下からどうぞ

アニメ「キャプテンフューチャー」あらすじ・感想まとめ

 
人工進化の秘密!
人工進化の秘密!/魔法の月の血闘<キャプテン・フューチャー全集8> (創元SF文庫)
 

感想:科学番組「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿」第15回『強制終了 人工知能を予言した男』


チューリング

フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿 http://www4.nhk.or.jp/P3442/
放送 NHK BSプレミアム(毎月最終木曜日 22:00~23:00 放送)。

【※以下ネタバレ】
 
※他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿」内容・感想まとめ

 

第15回 『Case15 強制終了 人工知能を予言した男』 (2017年7月27日(木)放送)

 

内容

7月27日木曜
フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿 強制終了 人工知能を予言した男


科学史に埋もれた闇の事件簿。今回取り上げるのは、70年も前に「人工知能(AI)」を予言したイギリスの天才数学者アラン・チューリング。第2次世界大戦中、解読不可能と言われたナチス・ドイツの暗号エニグマを破り連合国を勝利に導いた。しかしその業績は軍事機密ゆえに戦後も長く封印され、その後チューリングが同性愛者として逮捕されたことも相まって評価されることはなかった。情報時代の夜明け、その闇に迫る…。

人工知能を予言した男

 2017年。人工知能が将棋で名人に勝利した。今では当たり前の概念「人工知能 AI」を70年前に予言した男がいた。イギリス人数学者アラン・チューリング(1912~1954)。

 チューリングは、学生時代は科学の話しかしない変わり者と見なされ、いじめを受けたりした。やがてチューリングケンブリッジ大学に進学する。

 当時計算機といえば機械式の物であり、「四則演算専用」「微分計算用」などそれぞれ計算ごとに専用の機械が必要だった。チューリングは、全ての計算を数字に置き換えて処理すれば、どんな計算でも一つの機械で行えるようになる、という発想を得る。これは今のソフトウェアの概念に他ならない。さらにチューリングは人間のあらゆる行動も数字に置き換えることで、人間と同じことが出来る機械を構想した。この「万能チューリング・マシン」こそ、現代のコンピューターそのものだった。

 1936年、チューリングはこのアイデアを論文として発表し、一部の数学者たちに注目される。


エニグマ暗号の解読

 第二次世界大戦が始まると、チューリングは暗号解読のための組織にスカウトされた。当時ナチスドイツが使用していた暗号作成機「エニグマ」は、配線と歯車によってある文字を全く別の文字に変換する装置で、エニグマで作られた暗号は10年以上解読されていなかった。

 やがてイギリスはエニグマ作成機械を手に入れたが、機械の現物が有っても、「この暗号はどの配線と歯車の組み合わせを使って暗合化されたのか」という事を突き止めるのには一週間かかり、解読できた時には既にドイツの作戦は終わっていて役に立たなかった。

 チューリングは暗号解読のために「ボンブ」という機械を開発し、人間が一週間かかっていた解読作業を一時間で行えるようにした。これによりイギリスはエニグマ暗号を自在に解読できるようになり、戦争の勝利に貢献した。

 しかし戦争が終わってもチューリングの功績は一切公表されることは無かった。イギリスはドイツから入手したエニグマ暗号機を、当時の植民地に「絶対解読不可能」という触れ込みで送り付け、植民地が使用する暗号を解読していたのである。そのため、エニグマ暗号が解読できることは絶対の秘密だった。

 チューリングたちは、戦争終結に貢献した英雄どころか、「戦場に行かなかった卑怯者」扱いされることになった。


●エースの開発、そして挫折

 チューリングはやがてコンピューター「エース」の開発に取り組むチャンスを得た。エースはハードは出来るだけシンプルにし、機能はソフトウェアで実現する、という仕様になっていた。しかし夢の機械エースの開発はなかなか進まなかった。技術者たちは戦後の復興に最優先に回され、「夢の機械」を作っている余裕がなかった。またチューリングはチームプレイヤーではなかったので、同僚たちが「まず手堅いレベルでの試作機を作るのはどうか」と提案しても、全く耳を貸さなかった。


人工知能の概念

 チューリングは、1947年の講演で「経験を積んで学習していく機械」という物について語った。翌1948年にはこれを「知能機械」という概念として論文で発表している。しかし彼のアイデアは、あまりに進み過ぎて全く評価されなかった。またエニグマ解読に関する彼の功績は秘密だったので、チューリングは「単なる一数学者」としか見なされていなかった。


チューリング・テスト

 1948年、マンチェスター大学で世界初のコンピューター「ベビー」が開発されたため、チューリングマンチェスター大学に移籍した。彼はこの頃、人工の知性というものを判定するためのテスト「チューリング・テスト」を考案した。それは人間が相手が人間か機械か解らない状態で質問を行い、質問者は機械を「相手は人間だ」と思ったなら、その機械には知性がある、と見なすという物である。

 「知性とは何か」という定義に正解と言えるものはない。チューリングは「人間と変わらないようにふるまえるならそれは知性があるとみなしてよい」という定義をしたのだった。


●謎の死

 1952年チューリングは同性愛の罪で逮捕された(当時のイギリスで同性愛は犯罪だった)。チューリングは有罪となり強制的に女性ホルモンを投与された。1954年、チューリングは毒を塗ったかじりかけのリンゴの側で死んでいた。享年41歳。警察は自殺と判断した。


●再び脚光を浴びる

 1974年、イギリス情報部の元大佐が政府の許可を得て「ウルトラシークレット」という題名の本を出し、その中でチューリングたちのエニグマ暗号解読の功績を明かした。これをきっかけにして情報公開が進み、今ではチューリングはコンピューター科学の始祖として認められるようになった。



●経験から学習する機械

 かつてチューリングが構想した「経験から学習する機械」は現在では実現している。もはやAIは学習するために人間の力を借りる必要はない。AIが急速に発展し、2045年には「シンギュラリティ」という、人工知能が人間を追い越すという時代が来るとも言われている。

 日本の学会は、研究者たちにAI開発のために倫理を守るように求める一方、「AI自身」にも同様に倫理を守るように求めている。


感想

 コンピューター業界の黎明期の偉人チューリングのお話。ここに語られることは特に「初耳だ!」という話はありませんでしたが、ひとまとめにして一時間でわかりやすく語ってくれたのは高評価です。

 しかし、「AI自身に倫理を守るように求める」って、多分学会の方は大真面目なんでしょうけど、素人にはギャグとしか思えないわぁ……
 
 

※他の回の内容・感想は、以下のリンクからどうぞ

「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿」内容・感想まとめ

 
チューリングの計算理論入門 (ブルーバックス)
 
 

感想:アニメ「戦姫絶唱シンフォギアAXZ」第10話「アン・ティキ・ティラ」


戦姫絶唱シンフォギアAXZ キャラクターソング1

TVアニメ「戦姫絶唱シンフォギアAXZ」公式サイト http://www.symphogear-axz.com/
放送 BS11。全13話。

【※以下ネタバレ】
 

第10話 『EPISODE 10 アン・ティキ・ティラ』 (2017年9月9日(土)深夜放送)

 

あらすじ

 ついにサンジェルマンによって、調神社を中心とする地上のオリオン座を利用し神の力を得ようとする計画がスタートした。ただちに響と切歌は神社に向かい、サンジェルマンと交戦する。響はサンジェルマンに、話し合いの余地はないのかと再度問いかけるが、サンジェルマンは今まで犠牲になった人間の多さゆえにもう考えを変えることはできないと言うだけだった。

 S.O.N.G.は「要石」を使う事で神社へのレイラインを切断し、サンジェルマンの目論見を打ち砕いたかに見えた。ところが本物のオリオン座の方から力がやってきて、それをアダム局長が手に入れてしまう。サンジェルマンはアダムに神の力で結社の目的に使うのかと詰問するが、アダムはそんな気は毛頭ないと言う。かくして、響たちはサンジェルマンと共闘することになった。

感想

 何が起こったのかイマイチよく解らないし(まあそれは説明の足りないシンフォギアじゃいつもの事なんですが……)、局長がラスボスになるというのももう序盤から明示されていたので、この展開も全く驚きも何も無いし、四期は新鮮味がまるで無いですなぁ。
 
 
戦姫絶唱シンフォギアAXZ キャラクターソング2
戦姫絶唱シンフォギアAXZ キャラクターソング3
戦姫絶唱シンフォギアAXZ キャラクターソング4
戦姫絶唱シンフォギアAXZ キャラクターソング5
戦姫絶唱シンフォギアAXZ キャラクターソング6
Futurism(期間生産限定アニメ盤)
シンフォギア ライブ2016 [Blu-ray]
 
 

感想:科学番組「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿」第14回『ビタミン×戦争×森鴎外』

脚気の歴史―ビタミンの発見

フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿 http://www4.nhk.or.jp/P3442/
放送 NHK BSプレミアム(毎月最終木曜日 22:00~23:00 放送)。

【※以下ネタバレ】
 
※他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿」内容・感想まとめ

perry-r.hatenablog.com

 

第14回 『Case14 ビタミン×戦争×森鴎外』 (2017年6月29日(木)放送)

 

内容

フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿「ビタミン×戦争×森鴎外


科学史に埋もれた闇の事件簿。今回取り上げるのは、ビタミン発見にいたる知られざる物語。生命を維持するために不可欠な栄養素「ビタミン」。20世紀初頭まで未知の存在だったビタミンに、日本の科学者たちが世界に先駆けて肉薄していた! きっかけは、当時、結核と並んで恐れられていた原因不明の国民病「かっけ」。中でも苦しめられていたのが軍隊だ。ところが陸軍軍医だった森林太郎森鴎外)ら科学界のエリートたちが…。

●恐怖の国民病「脚気

 明治日本では「脚気」が結核と並ぶ国民病で、年間三万人が死亡していた。特に軍隊では脚気の被害が深刻で、兵士の半分が脚気にかかっていた。脚気の原因はビタミンB1の不足だが、当時ビタミンという概念は知られておらず、原因不明の謎の病気だった。

 当時の東大医学部では、ドイツ人ベルツの唱えた「脚気は細菌が原因」という説が信じられていた。もっともベルツは根拠もなく、適当に思い付きで主張していただけだった。1880年代頃は細菌学が急発展している時期で、今まで発生原因が不明だったコレラ他の病気の原因が細菌であることが次々と明らかになっていた。つまり未知の病気の原因は全て細菌、というノリである。


●海軍の対策

 海軍の医学者・高木兼寛(たかぎ・かねひろ)は、「疫学」の方面から脚気について研究した。疫学とは、病気の発生分布などを調べて対策を考える学問である。高木は、最終的に脚気の原因は栄養の偏りにあると考え、ある船の航海中の食事を西洋風のパンと肉だけにした。すると脚気は全く発生しなかった。高木は食事を兵士たちが食べやすい麦飯に変えたが、以後海軍では脚気にかかる兵士はほぼいなくなった。


●超エリート森林太郎

 文豪「森鴎外」として知られる森林太郎は、幼いころから神童で、そのまま成長して超エリートとして陸軍に入った。そしてドイツに医学留学して最先端の学問を身につけて帰国した。彼は海軍の「脚気は栄養の偏り」という説を否定するため、比較試験をして白米でも十分栄養が取れるとした。そして高木兼寛を徹底攻撃した。

森は白米を食べていれば副食などは不要と主張した。日清戦争(1894~1895)では、陸軍は戦死450人に対し、脚気で死亡したのは4000人だった。

 このため、海軍と陸軍の間で脚気について論争がおこり、海軍は「陸軍も麦飯にすれば脚気が無くなる」と主張したが、陸軍は「原理も解らないのに麦飯にするとかありえない」と反論した。

 陸軍兵士からも麦飯を求める声が上がったが、軍の大物だった森はそれを黙殺。日露戦争(1904~1905)では25万人が脚気にかかり、27,000人が死亡した。あまりの惨状に国民から非難の声が上がり、陸軍の軍医のトップは辞職したが、その後継者となったのは森だった。


●米ぬかの中の未知の栄養

 1908年、コッホが来日し、森に東南アジア・オランダ領ジャカルタ脚気によく似た病気「ベリベリ」が流行っていることを教えた。森たちは調査に人を送るが、既にオランダ人医師が病気を鎮圧していた。医師たちは高木兼寛の研究を発展させ、患者に玄米を食べさせて回復させていた。そして白米になく玄米にある米ぬかに未知の栄養があると考えた。しかし、この結果は「脚気=細菌原因説」を取る東大の医学者たちに無視された。


オリザニンの発見、しかし……

 農学者・鈴木梅太郎は、米ぬかの中から未知の栄養素を取り出すことに成功し、「オリザニン」と名付けた。オリザとはラテン語で米のこと。しかし、東大の医学者たちは畑違いの鈴木の研究を嘲笑しただけだった。鈴木は1912年に自分の研究を論文にして発表するが、既に1911年にフンクが脚気の原因は米ぬかの中の未知物質の不足だと発表しており、フンクはそれを「生命」を意味するラテン語・バイタルから「ビタミン」と命名していた。


●森、死す

 森は1922年に60歳で死亡したが、最後まで脚気の原因は細菌だと考えていた。1924年、日本医学界は脚気がビタミンの不足による病気だと発表した。


感想

 はい、来ました、「歴史上の有名人が裏ではロクでもないことをしていた」話。こういう黒い歴史を引っ張り出してくるのはこの番組の得意技ですが、今回は森鴎外こと森林太郎の罪状を徹底攻撃しておりました。いや文豪も本職では色々やらかしてくれていたんですなぁ。
 

※他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿」内容・感想まとめ

perry-r.hatenablog.com
 
 
ビタミンってなに? (科学発見シリーズ 6)
 
 
 

【映画】感想:映画「バトルシップ」(2012年:アメリカ)

バトルシップ [Blu-ray]

金曜ロードシネマクラブ|日本テレビ http://www.ntv.co.jp/kinro/index.html
放送 日本テレビ 2017年9月8日(金)

【※以下ネタバレ】
 

アメリカで生まれ日本でも愛されているボードゲームバトルシップ」を元にした、超ド級のスペクタクルアクションが登場!! 宇宙から飛来した謎の巨大物体に立ち向かうことになったアメリカ海軍のはみ出し者・アレックスと、日本の海上自衛隊のエース・ナガタ。2人が時にぶつかり合いながら、敵に挑む中で友情を築き成長していく姿をアツく描き出していく。ナガタを演じた浅野忠信の渾身の演技や、グラミー賞の常連シンガー・リアーナのアクションは必見だ。また、アメリカ海軍の全面協力によって伝説の巨大戦艦・ミズーリの艦上などで撮影されたバトルシーンも大注目! 観ているだけで友情と激しいバトルにドキドキ&見終わった後は大満足間違いなしの娯楽作だ!!

 

あらすじ

 NASAは太陽系外に地球型惑星があることを発見し、ハワイのアンテナからその惑星に信号を送り始めた。


 数年後の2012年。ハワイではアメリカを始めとする国々の海軍による合同演習「リムパック」が開始されようとしていた。ところがその時、地球外から五個の物体が飛来し、一個は大気圏突入時に破壊され陸地に墜落するものの、他の四個は海に落下した。ちょうど演習中だったアメリカ海軍は調査に向かうが、海に現れた謎の物体によりバリアが展開され、ハワイを含む海域は外部との連絡が遮断される。

 飛来したのはエイリアンの兵器だった。海軍大尉アレックスは海上自衛隊のナガタと協力し、エイリアンとの闘いを開始した。

 一方、オアフ島ではエイリアンが通信用アンテナの確保に動いていた。墜落したエイリアン宇宙船は調査の結果、通信用の船だったことが判明した。おそらくエイリアンは、NASAの送った信号を元に地球に飛来し、先遣部隊は地球に通信用の拠点を確保するつもりだったが、船が壊れてしまったため、代わりにオアフ島のアンテナを利用するつもりに違いなかった。

 アレックスたちはエイリアン兵器三機を破壊するものの乗艦を失ってしまう。しかし退役してハワイにつながれていた戦艦ミズーリを動かすことに決め、さらにかつてミズーリに乗っていた退役軍人たちがアレックスたちに協力を申し出る。

 アレックスたちはミズーリの主砲でエイリアンの最後の兵器を吹き飛ばし、ついでにオアフ島のアンテナを破壊してエイリアンたちを壊滅させた。おしまい。

感想

 評価は○。

 数年前に地上波初放送された際は、映画の前に用意されていた「バトルシップ、放送はもうすぐ!」みたいなミニ番組を間違えて録画してしまい、映画そのものは録画しそこなったので、今回ようやくあの時の悔しさが晴らせました。

 さて、この「バトルシップ」、ネットでやたらネタにされているため、てっきり「一から十までつじつまの合わない、どうしようもないバカ映画」だと思っていたのですが……、おろろ、結構面白いじゃん?

 宇宙人が攻めてきたのでアメリカ海軍の力で追い返すぜ! という単純明快なアメリカンアクション映画で、恋人同士のじゃれ合いなんかにダラダラ時間を割いたりせず、テンポよく宇宙人との戦いを描いてて、単純にスカッとできる好作品でした。

 途中、原作(?)の「レーダー作戦ゲーム」を彷彿とさせる敵の位置の探り合いシーンが有ったりして、ちょっと苦笑しましたが、全体的に見れば面白映画でしたよ。戦艦の主砲の一斉射撃でラスボスをぶっ飛ばすあたりなんか燃えたし、退役軍人の爺様たちが見得を切りつつ登場して主人公たちを助けるとか胸熱だったし。

 なんでエイリアンは宇宙から飛んできたくせに、地球上では海の上を進むだけなのかとか、今後もエイリアンが次から次へと襲ってくるんじゃね?、とか些細な点は気になりましたが、娯楽作品でそんなところを突っ込むのは野暮ってもんですしね。
 
 

https://kinro.jointv.jp/lineup/20170908
2017.9.8 よる9時~10時54分放送
バトルシップ


日本とアメリカが謎の巨大物体に立ち向かう!!
ド級スペクタクルアクション、発射!!

日米のド根性!底力にドキドキ&大満足間違いなし!
浅野忠信の熱演も光る胸アツ娯楽作!


ストーリー
大海原で繰り広げられる日米VS地球外生命体
人類の未来は、彼らに託された!!

アレックス(テイラー・キッチュ)は、定職に就かず問題ばかり起こしているダメ男。海軍士官の兄・ストーン(アレクサンダー・スカルスガルド)が誕生日を祝ってくれた当日も、バーで出会ったサム(ブルックリン・デッカー)の気を惹こうとして警察沙汰を起こしてしまう。そんな弟に大激怒したストーンは、アレックスを海軍に入隊させることに。


5年後。海軍士官になったアレックスはハワイ・オアフ島で行われる太平洋海軍合同演習に参加することになるが、トラブルメーカーの性格は相変わらず。交際中のサムと結婚したいと考えていたが、サムの父で艦隊の総司令官を務めるシェーン(リーアム・ニーソン)にはなかなか話を切り出せず…。さらにその矢先、自衛隊護衛艦の指揮を執る自衛官ナガタ(浅野忠信)とケンカをして、演習後の解任を言い渡されてしまった。
そんな中で演習がスタート。アレックスとストーン、ナガタがそれぞれ駆逐艦に乗船し沖合へ向かうと、突如謎の物体が宇宙から“降って”きた!! 世界中に落下した物体のせいで各地が被害を受ける中、ハワイに落下した“それ”は強力なバリアを構築。アレックスたちはその内部に閉じ込められてしまい…!!



キャスト/スタッフ
出演
<アレックス・ホッパー> テイラー・キッチュ置鮎龍太郎

<ストーン・ホッパー> アレクサンダー・スカルスガルド平田広明

<レイクス> リアーナ(土屋アンナ

<サム> ブルックリン・デッカー本名陽子

<ナガタ> 浅野忠信浅野忠信

<キャル・ザパタ博士> ハーミッシュ・リンクレーター(落合弘治

<シェーン提督> リーアム・ニーソン石塚運昇

<合衆国国防長官> ピーター・マクニコル佐々木省三

<ビースト> ジョン・ツィ(遠藤純一)

<オーディ> ジェス・プレモンズ(佐藤せつじ

<ミック> グレゴリー・D・ガドソン(乃村健次)



スタッフ
<監督> ピーター・バーグ

<脚本> ジョン・ホーバー&エリック・ホーバー

<原案> ハスブロ社ゲーム「バトルシップ

<製作> ブライアン・ゴールドナー スコット・ステューバー ピーター・バーグ サラ・オーブリー ダンカン・ヘンダーソン ベネット・シュナイアー

<製作総指揮> ジョナサン・モーン ブレイデン・アフターグッド

<撮影監督> トビアス・シュリッスラー, A.S.C.

<プロダクション・デザイン> ニール・スピサック

<編集> コルビー・パーカー・Jr ビリー・リッチ ポール・ルベル, A.C.E.

<音楽> スティーヴ・ジャブロンスキー

<音楽製作総指揮> リック・ルービン

<衣装デザイン> ルイーズ・ミンゲンバック キム・ティルマン

 
 

2017年視聴映画のあらすじ・感想の一覧は以下のページでどうぞ

perry-r.hatenablog.com
 
 
My Hobbies 家族で楽しめる 対戦 バトルシップ ゲーム Battle ship
My Hobbies 家族で楽しめる 対戦 バトルシップ ゲーム Battle ship ストラテジーゲーム 立体 テーブルゲーム 対面 戦略ゲーム 家族 で 楽しめる ボード ゲーム おもちゃ アナログ
 
 

【映画】感想:映画「アルゴ」(2012年:アメリカ)

アルゴ 〈エクステンデッド・バージョン〉(初回限定生産) [Blu-ray]

BSフジ http://www.bsfuji.tv/top/list/moviedrama.html
放送 BSフジ 2017年8月27日(日)

【※以下ネタバレ】
 

 1979年11月、全世界を震撼させた大事件が起きた。革命が続くイランで、過激派がアメリカ大使館を襲撃し、大使館員を人質にとった。彼らの要求は、悪政の限りを尽くしてアメリカに逃げた前国王の引き渡し。混乱のなか大使館から6人が脱出、カナダ大使の家に身を隠すが、見つかれば公開処刑は間違いない。絶望的な状況を打破するため、CIAの人質奪還のプロ、トニー・メンデスが呼ばれた。


 トニーの“名案”は、ウソの映画を企画し、6人をロケハンに来た撮影スタッフに仕立て上げ、出国させるという作戦。特殊メイクの第一人者で、『猿の惑星』でアカデミー賞に輝いたジョン・チェンバースが協力、瞬く間にプロデューサーと脚本が用意され、SFファンタジー「アルゴ」の盛大な記者発表が行われた。
(2012年アメリカ)

 

あらすじ

 1979年。革命の起きたイランでは、逃亡した国王をかくまうアメリカは憎悪の対象となっていた。そしてついにアメリカ大使館に暴徒が突入、大使館員の内六人は逃亡に成功するものの、残りは全員人質となってしまう。逃げた六人はカナダ大使の家に匿われ、二か月間経過するが、捕まれば処刑は間違いない状況だった。

 アメリカ側は六人を助け出す計画を練るが、どれも見当はずれで成功の見込みの乏しい物ばかりだった。CIA局員で救出作戦のスペシャリスト・トニー・メンデスは、六人を映画の撮影のためにイランに来た外国人と偽装し、イランから連れ出すという作戦を立案する。

 トニーは知人である映画人ジョン・チェンバースに協力を依頼し、「アルゴ」という架空のSF映画の制作をでっち上げ、大々的にニュースにさせる。その上でカナダ人としてイランに乗りこみ、六人に接触すると、各人に架空の映画スタッフとしてのプロフィールを記憶させる。

 そしてようやく六人を脱出させる日が来たが、決行直前、軍が救出のため特殊部隊を派遣するという計画が持ち上がり、トニーは上司から計画の中止を告げられる。しかしトニーはそれを無視して計画を進め、上司の必死のフォローもあり、無事六人の救出に成功するのだった。

感想

 評価は○。

 なんか思っていたよりこじんまりしていた映画でした。劇場公開当時の宣伝ぶりだと、CIAの仕立てた数十人規模のニセ撮影隊がイラクに乗りこんで、イラク大使館の人質人間全員を救い出すかのような勢いでしたけどね。

 しかしまあ、テンポが良くてそれなりには面白い映画でしたよ。

 ベン・アフレック演じるトニーはカッコいいのですが、それ以外のキャラ、人質も上司もみんな服装とか髪型が1970年代風にリアルにダサいのが、なんとも見事だなぁと思いました。

 トニーの吹き替えは、我らが森川智之氏。洋画のカッコいい系主人公の半分はこの人が吹き替えているような気がする……
 
 

<BSフジ日曜シアター>映画『アルゴ』
http://www.bsfuji.tv/argo/pub/index.html
吹替
2017年8月27日(日) 21:00~23:15


出演者・スタッフ
<出演者>
トニー・メンデス:ベン・アフレック
ジャック・オドネル:ブライアン・クランストン
レスター・シーゲル:アラン・アーキン
ジョン・チェンバースジョン・グッドマン
ほか <スタッフ>
監督:ベン・アフレック

 
 

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