感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン4」第5話「追憶」

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 ドラマ「X-ファイル シーズン4」(全24話)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン4
http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s4/

 BSデジタル放送「Dlife」での視聴です。

第5話 追憶 THE FIELD WHERE I DIED

■あらすじ

EP5 追憶
シドニーと名乗る男から、カルト教団での違法行為の密告電話が入った。ところが告発電話をしたのは教団員メラニーの別人格だった。彼女は前世でモルダーと関係があった。

 お題は「前世の記憶」。


 カルト教団の信者のシドニーという男から当局に、教祖が武器を備蓄し、また信者の子供を虐待しているという密告があったため、FBIが踏み込んで信者たちを拘束した。しかし肝心の武器が発見できず、このままではすぐに教祖たちを解放せざるを得ない。


 モルダーは、密告したシドニーとは、信者の一人メリッサの別人格だと知るが、それは多重人格というよりトルーマン大統領時代を生きたメリッサの前世の人格らしい。しかもメリッサには、さらに南北戦争時代の看護婦の人格が現われ、モルダーとは前世で恋人だったと言い出す。


 武器は南北戦争時代の古い壕に隠してあるらしいため、思い余ったモルダーは自分に催眠術をかけてもらい、自分の前世を調べさせると、モルダーは南北戦争時代や第二次世界大戦で、スカリー、サマンサ、スモーキング・マンたちと知り合いだったと口走る。しかし結局壕の手がかりは得られず、釈放された教祖は信者たちを道連れにして毒薬で集団自決してしまった。



監督 : ロブ・ボウマン
脚本 : グレン・モーガン&ジェームズ・ウォン


■感想

 前世・生まれ変わりという、既に一度シーズン1・22話「輪廻」で使った題材を再度扱ったエピソード。しかし、今回は転生自体は事件には直接関係はなく、モルダーが前世の恋人と再会し、悲劇的な別れを体験するまでを描く、という、X-ファイルとしては異色の叙情系ストーリーとなっている。


 催眠術で前世の記憶を思い出す、というのはありがちな筋立てだが、その対象がモルダー自身というのは面白い。モルダーの記憶によれば、現在の相棒スカリーは、前世の1930〜40年代頃にはモルダーの父親、その前の南北戦争時代には同じ部隊の兵士、だったとのことで、何度生まれ変わっても側にいる、切っても切れない関係に見えるが、どの人生でも「恋人」ではない、というのが興味深いところ。


 モルダーの記憶によれば、

前世
モルダー:ユダヤ人女性ポーラ
メリッサ:ポーラの夫
サマンサ:ポーラの息子
スカリー:ポーラの父(死亡)
スモーキング・マン:ゲシュタポ


その前
モルダー:南軍兵士サリバン・ビドル
メリッサ:看護婦サラ・キャバナー
スカリー:モルダーの部隊の軍曹(戦死)


 とのこと。


 南北戦争時代の知り合いが今回一堂に集まるのはともかく、ドイツのユダヤ人狩りの時代にもスカリー・サマンサ・スモーキング・マン・メリッサと因縁があった、という設定はいささか盛り込みすぎであろう。


 メリッサ役の吹き替えは高島雅羅(たかしま・がら)氏。多重人格(メリッサやシドニー)を好演している。


■一言メモ

 FBIと協力して施設に踏み込んだ「ATF」とは「アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局」のこと。1996年当時は財務省に所属する組織でした(2001年以降は、国土安全保障省の組織)。