感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン5」第20話(最終回)「ジ・エンド」

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 ドラマ「X-ファイル シーズン5」(全20話)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン5
http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s5/

 BSデジタル放送「Dlife」での視聴です。

第20話(最終回) ジ・エンド THE END

■あらすじ

 お題は「超能力、政府の陰謀」。

 カナダでチェスの公開対局中、ロシア人プレイヤーが射殺された。犯人は国家安全保障局の元職員だったが、動機については完全黙秘を続ける。事件の解明のためFBIの捜査チームが組織され、外部の大物の影響でジェフリー・スペンダーが指揮をとることになった。モルダーを嫌うスペンダーはモルダーをチームから除外するが、モルダーは強引に捜査に参加する。

 モルダーはすぐに、狙われたのは死んだロシア人では無く、対局相手で神童と呼ばれるフィリピン人少年ギブソンだと気が付く。ギブソンは読心能力があり、相手の心を読んでチェスに勝っていた。スカリーは、モルダーがチームの一員ダイアナ・ファウリーと妙に親密な事を気にしていたが、ローンガンメンからダイアナが一時期モルダーと付き合っており、初期のX-ファイル事件を一緒に調査していた仲だと聞き出す。

 一方、カナダの雪山に隠れていたスモーキング・マンをクライチェックがアメリカに連れ戻し、秘密組織の幹部たちはギブソンに関する仕事を行なうように要請する。モルダーはスモーキング・マンがスペンダーの前に顔を出したところを目撃し、スペンダーに不信感を抱くようになる。

 スカリーはギブソンの脳を検査し、ギブソンは、普通の人間が全く使わない側頭葉の「神のモジュール」と呼ばれる部分を使用していることを知る。モルダーは、ギブソンが狙われたのはこの能力のせいであり、ギブソンの秘密を解明することがX-ファイルに関する様々な謎を解く鍵だと確信する。しかし、ギブソンを護衛していたダイアナは撃たれて意識不明となり、ギブソンは秘密組織に拉致され、さらにロシア人殺しの犯人も監房で射殺されていた。

 モルダーは、スペンダーがスモーキング・マンに協力したと信じ込み食ってかかるが、逆にスペンダーの圧力によってX-ファイル課が閉鎖されそうになる。スモーキング・マンは無人X-ファイル課の部屋にやってきて、サマンサのファイルを抜き取ると、残りの資料を総て焼き捨てる。またスペンダーには自分が父親だと告げる。最後、モルダーとスカリーが焼け落ちたX-ファイル課の部屋を見て呆然としているシーンで〆。


監督 : R.W.グッドウィン
脚本 : クリス・カーター


■感想

 評価は◎。

 過去4シリーズは、最終話は宇宙人絡みのエピソードと決まっていたが、今回初めてそのパターンを破って超能力テーマの話となった。そのため、展開はいささか地味だったが、それを補うように、モルダーの元恋人の出現+スカリーの動揺、スモーキング・マンの復活とスペンダーへの親子の名乗り、(資料の)X-ファイルの焼失、など、今後につながる伏線的イベントがてんこ盛りで、全体としては質の高い話となっていた。

 モルダーの宿敵(?)アレックス・クライチェックが、またまた登場するが、しれっと元の秘密組織の一員に戻っているのが笑える。どうやら前回登場した第14話「赤と黒」で、ウェル・マニキュアード・マンの部下というポジションに返り咲いた模様である。ところでクライチェックは、シーズン4・第9話「ツングースカ Part2」で左手を失ったはずだが、番組終盤の車の運転シーンは普通の手であることが確認できる。義手設定はクリス・カーターが忘れたのか、はたまた無かった事にしたのか、いささか気になるところではある。

 今回は、スカリーが恋敵(?)ダイアナ・ファウリーの登場で動揺するのがなんとなく楽しい。いつもはモルダーとビジネスライクに付き合っているのに、女性の影が見えるといきなり気にして、さりげなくローン・ガンメンにダイアナの情報の収集に出向くなど、けっこう可愛いところがある。

 ラストシーンは、シーズン1・第24話「三角フラスコ<終章>」と同様のX-ファイル課消滅を示唆しておしまいとなった。しかもおなじみの「To be continued」表記が出ないまま幕切れとなる。めちゃくちゃ気を持たせる結末である。