感想:ウォーゲーム雑誌「Game Journal(ゲームジャーナル) No.58」『曹操最大の危機〜官渡の戦いから赤壁まで』(2016年3月1日発売)

ゲームジャーナル58号 曹操最大の危機

ゲームジャーナル公式サイト http://www.gamejournal.net/
発売日:2016年3月1日(3,6,9,12月の1日発売)

【※以下ネタバレ】


付録ゲーム

曹操最大の危機〜官渡の戦いから赤壁まで(ゲームデザイン:ふ〜ら〜中村)

http://www.gamejournal.net/item_list/gj_058/index.html
待望久しい幻の名作がついに登場!
「信長最大の危機」システムで三国志演義の世界を再現。曹操献帝を許都に迎え入れた官渡の戦いの前夜から、赤壁の戦いまでをヒシュト〜リカルにシミュレート。あなたは、中原を制覇できるか?

 「信長最大の危機」「フリードリヒ最大の危機(50号)」と同一のシステムを三国志の世界に適用し、曹操曹操の敵、という視点でゲーム化。「最大の危機」システムは「少数精鋭内線側」対「数は多いが連携の取れない包囲する側」というシチュエーションのシステムだと思っているので、なんとなく違和感が無きにしも非ず。

 それと、リプレイ漫画を見る限り、ルールが結構ファンタジーっぽい……、例えば「七星壇を築く」カードは、敵からの攻撃をそのまま敵に反射し自分は無傷のまま、という効果が有るとのこと。おいおい。懐かしのアバロンヒルのマルチゲーム「エルリック」には、敵の戦力に関わらず全滅させる事の出来る魔法とか魔物とかのルールがありましたが、それと同じレベルですよ。まあ日本の三国志ゲームは、歴史シミュレーションでは無く、「三国志演義」という小説世界のシミュレーション、とよく言われますから、こういう魔法的ルールも気にせず受け入れるべきなのですかな?


特集「曹操最大の危機〜官渡の戦いから赤壁まで」

 ヒストリカルノート、松田大秀氏のリプレイ漫画、デザイナーズノート、プレイの指針、など。

 プレイヤーズノートのタイトルが「曹操はそうそう負けない」だという(笑) GJのこういうセンスは大好きです。


その他

◆ウォーゲームデザイン討論『電脳ウォーゲームとボードウォーゲーム、この先生きのこるのは』


 ボードウォーゲームと電脳ウォーゲームの比較論。内容は、

・電脳ゲームは「大量のデータをきめ細かく管理するデータ管理系」「キャラクター系」「箱庭系」「リアルタイム系」に大別できる。

・その昔は、電脳ウォーゲームはボードウォーゲームより遥かに大量のデータが管理できることが強みと考えられていた。ところがデータ管理系の代表「パラドックスインタラクティブ社」(筆者注:ハーツ・オブ・アイアンなどを開発している会社)のゲームは、データがあまりに多すぎてもう人間に管理できないレベルまで到達しており、プレイヤーの手に負えない。この手のデータ管理系ゲームはいまや死に体である。

・その他の「キャラクター系」「箱庭系」「リアルタイム系」は、ボードでは太刀打ちできない。

・戦術級で、戦車一両とか飛行機一機レベルの戦いを描くのはやはり電脳系の方が強い。しかし複数を扱う指揮官的な立場のゲームならばボードに軍配が上がるのでは。電脳系でリアルタイムで複数は操りきれない。

・開発コストの安さ、そこから来るバリエーションの多さではボードが上。

・水上砲撃戦ゲームで、ジェネラルサポートのソロモン戦のゲームは良く出来ていた。

云々。

 討論ゆえに、理路整然という感じでもなく、電脳対ボードというテーマであっちこっちに話が飛びまくっている感じですが、GJ関係者が電脳系をどういう風に見ているか、という事は良くわかりました。どうせなら、ウォーゲーマーもはまっているらしい「艦これ」についても踏み込んで話して欲しかったですよねぇ。



◆特報 幸村外伝 別冊にてこの夏緊急出版(か?)

大河ドラマ真田丸」大ヒットに早速便乗し、次号にて「講談級大坂の陣」の緊急出版が決定されたが、かつてツクダホビーより出版され好評を博した「幸村外伝」の別冊出版も現在企画中。ドラマの大詰め、真田丸の攻防に間に合うか!? 急げ幸村! このムーブメントに乗り遅れるな!

 ホントGJのこういうノリは大好きです(笑)


次号予告

 No.59(2016年6月1日発売予定)の特集/付録ゲームは「講談級大坂の陣」。大坂夏の陣/冬の陣の2 in 1。こういう大河ドラマに乗っかった企画は、シミュレイター誌の「太平記」とか「明治維新」とか以来でしたっけ?