感想:アニメ「ふらいんぐうぃっち」第12話(最終回)「魔女のローブと日々は十人十色」


アニメ「ふらいんぐうぃっち」 エンディング・テーマ 日常の魔法

TVアニメ「ふらいんぐうぃっち」公式サイト http://www.flyingwitch.jp/
放送 BS日テレ

【※以下ネタバレ】

第12話(最終回) 魔女のローブと日々は十人十色

あらすじ

 真琴は魔女の正装のローブが古びて痛んでいる事に気がつき、新しく作ろうと布屋に出かける。そして当初予算よりはるかに安く作れることが解り、余分の布を買って帰ると、千夏用に赤い布でローブを作ってあげる。そして最後は青森ねぷた祭りをみんなで見ているシーンで〆。


感想

 最終回も特別な事件は無く、いつもの様に「何も起りませんでした」で〆。しかしそこがこのアニメらしかったですね。

 真琴「『鶴の恩返し』みたいに、良いというまで開けないでださいね」→千夏(次の瞬間ふすまを開けて)「おじいさんは結局開けていたし」とかいうシーンはちょっと笑った。


総括

 評価は◎。

 SF(すこし不思議)系日常生活アニメ。原作漫画も一応読んでいて、あんまり評価はしていなかったのですが、アニメ化されたところ、見違えるように面白くなってしまいもうビックリ。


 青森。4月。倉本家に遠縁の木幡真琴が居候する事になった。実は真琴は「魔法使い」で、魔法使いは15歳になれば一人前扱いで独立するのだが、親からさすがに高校くらいは出ておくようにと言われ、親戚の家に住む事になったのだった……


 という感じでストーリーが始まるのですが、このアニメの凄いところは「毎回何も起きない」ところ。普通、魔法使いが主人公だといえば、魔法で困った人を助ける回とか、魔法が暴走して大変な回、とかありそうなのですが、そういうのは一切無し。毎回「山菜を摘みにいて、それを料理して食べました。おしまい」とか「喫茶店にでかけてお茶しました。おしまい」とか、そういうたわいも無い日常系の話ばかり。魔法使い要素は、真琴が時々思い出したようにほうきで空を飛ぶシーンくらいで、それも自転車を使っているのと大して変わらない感覚で、魔法が物語のキーとなる様なエピソードは皆無でした。


 ならば内容は平板で退屈かというと、不思議なもので、この何も起きない日常ドラマがとんでもなく面白かった。面白いというより、ふわーっとしたのんびりした世界観が見ていてたまらなく気持ち良かった、という方が正確ですね。主人公真琴以下ののんびりした喋りとかを聞いていると、ついすうっと眠りに落ちそうな感じで、ヒーリング音楽を聞いているような快適さでした。毎回、話が事実上何も無いのに、全く退屈せずに、「快」という印象だけを残してくれる、って奇跡的作品ですよ。演出の妙というかそういう奥深い何かがあったのでしょうか。

 原作つきアニメを見ていると、時々「原作より遥かに面白い」というアニメに出くわしますが、この作品がまさにそれでした。原作は素材程度で、それがスタッフと声優によってとんでもなく楽しい作品に仕上げられていて、もう文句の付け所の無い作品として完成していました。いやー、ホント良かった、大満足です。


 ところで、このアニメ、キャストには《かやのん》茅野愛衣と《あやねる》佐倉綾音小澤亜李という、売れっ子声優三人が起用されているのですが、全員「使い魔」役のため、誰一人として最後まで人間の言葉を喋りませんでした。1クール全て、茅野愛衣に猫の鳴きまねをさせているだけ、って凄い贅沢なアニメだったなぁ(笑)

スタッフ情報
【原作】石塚千尋ふらいんぐうぃっち」(「別冊少年マガジン講談社刊)
【監督】桜美かつし
【シリーズ構成】赤尾でこ
【キャラクターデザイン】安野将人
美術監督】奥村泰浩(ムーンフラワー)
色彩設計】安藤智美
【撮影監督】大河内喜夫
【音響監督】岩浪美和
【音響効果】小山恭正
【録音調整】星野賢爾
【音楽】出羽良彰
【アニメーション制作】J.C.STAFF


音楽
【OP】miwa「シャンランラン feat.96猫」
【ED】木幡真琴(CV:篠田みなみ)、倉本千夏(CV:鈴木絵理)「日常の魔法」



キャスト
木幡真琴:篠田みなみ
倉本千夏:鈴木絵理
倉本圭:菅原慎介
木幡茜:葵井歌菜
石渡なお:三上枝織
犬養:日野まり
椎名杏子:井口裕香
チト:茅野愛衣
ケニー:佐倉綾音
アル:小澤亜李

ふらいんぐうぃっち(1) (週刊少年マガジンコミックス)
アニメ「ふらいんぐうぃっち」オリジナル・サウンドトラック