感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第58話(シーズン3 第5話)「死刑執行1時間前」

スパイ大作戦 シーズン3<トク選BOX> [DVD]

スパイ大作戦BSジャパン http://www.bs-j.co.jp/missionimpossible/
スパイ大作戦 パラマウント http://paramount.nbcuni.co.jp/spy-daisakusen/
放送 BSジャパン

【※以下ネタバレ】
 
シーズン3(54~78話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ
海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン3」あらすじ・感想まとめ
 

第58話 死刑執行1時間前 The Execution (シーズン3 第5話)

 

あらすじ

食品流通界の大物パーマは、何でもありの悪党なのに自らは手を下さず、なかなかしっぽを出さない。その悪事を暴くため、IMFチームは犯行直後の手下の殺し屋を逮捕する。殺し屋が助かる唯一の方法は、黒幕の悪事を白状することだが…。


食品流通業界の大物パーマは、なんでもありの悪党なのだが、自らは手を下さず、なかなかしっぽを出さない。その悪事を暴くため、IMFチームはフェルプス(ピーター・グレイブス)がパーマを挑発、危険を覚悟で自らが殺害のターゲットとなる。そして犯行直後の手下の殺し屋を捕まえる。殺し屋に死刑になると思い込ませ、黒幕の悪事を白状するよう迫るのだが…。

※DVD版のタイトルは「処刑作戦」。


【今回の指令】
 ルイス・パーマは、全米の食料品卸業界のポスだが、その地位は殺人を始めとする様々な違法行為を駆使して築き上げたものである。しかも、パーマは最近、その食料品の価格への影響力を武器に政界の支配をも企て始めている。IMFはパーマの野望を粉砕しなくてはならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、ローラン、シナモン、バーニー、ウィリー
 ゲスト:ヘンリー・ルーミス医師


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 IMFはまずパーマにフェルプスの命を狙わせる事にして、フェルプスは青果店の主人として働き始める。すぐにパーマの部下が店を訪れ、フェルプスに「全米食品協同組合」への参加を持ちかけ、暗にみかじめ料を要求したあと、店の商品をめちゃめちゃにする。しかし、フェルプスはパーマの事務所に乗り込み、顔を張り倒してから、脅迫には屈しないとタンカを切る。激怒したパーマは、子分の殺し屋ビックにフェルプス殺害を指示する。

 ビックはフェルプスと妻(シナモン)が住むアパートに爆弾を放り込むが、あらかじめ用意していた二人は無事で、さらにローランたちが警官に変装してビックを捕まえ失神させる。

 その後、IMFは倉庫の中に作った刑務所のセットにビックを運び、目覚めたビックには、逮捕されてから既に二年以上過ぎていて、もう死刑執行の一時間前だと告げる。驚いたビックは(当然)裁判の事など覚えていないというが、看守(バーニー)は、もう記憶喪失のふりをしても無駄だと突き放す。さらにフェルプスは刑務所の所長役で現れ、ビックは殺した(と思っている)相手とそっくりの人間に出会って、精神的に動揺する。

 シナモンが演じる弁護士はビックに、もうビックはパーマに見捨てられたのでかばう必要はなく、パーマを有罪にできる証言をすれば死刑は免れる、とアドバイスするが、ビックはパーマを信じて口をつぐんだままだった。

 しかしビックはガス室に連れてこられ処刑(のふり)が始まると、ついに半狂乱となり、パーマに指示された殺人について証言を始める。その内容は録音されるとともに、倉庫の中に拡声器で流されていた。そこにIMFにおびき出されたパーマたちが現れ、慌ててビックの口を封じようとするが、ガス室のセットは完全防音・完全防弾のため全く手が出せない。さらにその場を離れようとするパーマたちに、ローランたちが銃を突きつけるシーンで〆。


監督: アレクサンダー・シンガー
脚本: ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルター


感想

 評価は○。

 番組のメインライターだった「ウッドフィールド&バルター」のコンビが手掛けた最後のエピソード。このコンビは大げさな仕掛けのミッションが大好きで、シーズン2では「大地震」だの「核戦争」だのというとんでもないシチュエーションで対象の人間を騙すエピソードを書いたが、今回も刑務所のセットを舞台にニセの死刑執行で対象を引っ掛けるという、いかにもの話を書いている。

 とは言え、番組の面白さとしてはもう一つという感じではあった。確かに死刑執行時刻が迫っているとだまして、ターゲットのビックに証言を迫るという設定は悪くないが、ビックを精神的に追い込むサスペンスとしてはともかく、ミッションとしてはあまり面白いとは言えなかった。刑務所セットの計略パートは、ちょっと長すぎて、だれた感じが否めなかった。

 バーニーは、ビックがフェルプス夫妻殺害のために「ショットガン、ショットガンの弾、45口径の弾薬、パイプ、ほうき」を買ったと聞き、「じゅうりゅうだん」を作るためだと見抜く。さてこの「じゅうりゅうだん」とは何ぞやと見ていると、なんとビックはショットガンの銃口に柄のついた爆弾を詰めて、アパートの窓に撃ち込むのである。つまり、軍隊用語でいうところのグレネード弾だったので驚いてしまった。

 銃で発射するタイプのグレネード弾は、日本語では「銃擲弾(=じゅうりゅうだん)」と呼ぶそうである。ネットで手軽に調べられる時代ならともかく、初放送時の50年前の日本の視聴者たちは「じゅうりゅうだん」が何やら解らず首をひねったのではなかろうか。それにしても、殺し屋がターゲットを殺すために、グレネード弾をコツコツ手作りしてぶっぱなす、とか、さすがアメリカの殺し屋はやることが違うと感心してしまった。


 冒頭にフェルプスがオーディオ専門店で、店員に合言葉として「30アールピーエムのテープレコーダー」を求める場面がある。アールピーエムとは何の事なのかさっぱり解らなかったが、調べてみると「revolutions per minute(回転毎分)」の事らしい。テープレコーダーが回転数で種類があるとか全然知らなかった。


 最後、IMFは倉庫にパーマたちを呼びつけ、パーマたちは自分たちの悪事をビックがしゃべっているところを見て驚愕しいきり立つ。IMFの作戦上はそんな事をする必要は無く、ビックの証言を録音してとっとと逃げ出せば良いのだが、ドラマ的には悪党たちが狼狽した末に降参するシーンは痛快だったので良しとしたい。


 ちなみにサブタイトルの原題「The Execution」とは「死刑執行」の意味。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスがオーディオ専門店に入り、店員に「30アールピーエムのテープレコーダー」を求めると、店員が個室に案内する。部屋の中には封筒とオープンリール式テープレコーダーが用意されている。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なおこのテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。その男は名前をルイス・パーマといい、搾取・脅迫・誘拐・殺人など、あらゆる手段を弄して全米の食料品卸業界を牛耳るに至った、その方面のボスである。しかも最近のパーマは、食料品の値段を思いのままにできる力を利用して、政界にまでその魔手を伸ばそうとする気配を見せている。

 そこで君の使命だが、このルイス・パーマを再起不能に陥れることにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン3(54~78話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン3」あらすじ・感想まとめ