■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン9 http://dlife.disney.co.jp/program/drama/xfile_s9.html
放送 Dlife。全20話。
【※以下ネタバレ】
※シーズン9の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン9」あらすじ・感想まとめ
第11話 オードリー AUDREY PAULEY
あらすじ
お題は「臨死体験」。
レイエスが自動車を運転中、飲酒運転の車に激突され、病院に搬送される。ドゲットとスカリーが駆け付けた時には、既にレイエスは脳死状態となっていた。医者はレイエスが臓器提供のドナーの意思表示をしていたので、早く摘出したいとせかす。
一方、レイエスは自分が人気の無い病院内に立っていることに気が付く。しかもその病院は、建物の外には何もない虚空をただ浮遊していた。やがてレイエスは二人の男性患者と出会うが、二人ともここは死後の世界か、またはそこに行く途中のどこかだと考えていた。やがてレイエスは四人目の女性を見つけるが、彼女はすぐに消えてしまう。
ドゲットは、病室に花を届ける仕事をしているオードリーという女性と出会い、レイエスはまだ生きていると励まされる。オードリーこそ、先にレイエスが出会った女性だった。ドゲットはオードリーがレイエスからの伝言を伝えてきたことから、オードリーが気休めを言っているのではなく、本当にレイエスと話をしていることを確信する。
オードリーは病院内に住んでおり、部屋に病院そっくりの模型を作っていた。オードリーの言葉によれば、その模型に心を凝らすと、その中でレイエスたちに出会えるのだという。ドゲットはレイエスと一緒にいるという二人の男性がやはり脳死状態の患者であること、さらにレイエスも含めた三人とも担当は同じプライアーズ医師であることに気が付き、プライアーズが担当患者に何かをして故意に脳死にしていると確信する。そして、オードリーにはレイエスに対し、何か生きているという合図を出してほしい、と伝言するように頼む。しかしそれを見ていたプライアーズはオードリーを毒殺してしまう。
レイエスは病院内でまたオードリーと出会い、生きていることを示すため、虚空に飛び降りろと促される。そして意を決して飛び出すと、現実に目が醒める。ドゲットはプライアーズを取り押さえるが、オードリーが殺されていることを知り絶句する。
3日後、レイエスは回復し自宅に戻るのだった。
監督 キム・マナーズ
脚本 スティーヴン・マエダ
感想
評価は○。
事故に遭ったレイエスが臨死体験するエピソードで、レイエスのたどり着いた病院が虚空をふわふわ漂っている光景は、もはやX-ファイルというより「トワイライト・ゾーン」めいていたが、それでも話はまあそこそこには面白かった。
今回のシナリオを書いたのは、第4話「 4-D」を書いたスティーブン・マエダで、「4-D」同様「病院が主な舞台となる」「事件を捜査するのではなく事件に巻き込まれる」「レギュラーの一人が入院状態」「レイエスがやたらとドゲットに好意を表明する」など、方向性が非常に似ていた。
とは言え、死と生の境にいるレイエスが必死で現世への帰還を試み、一方でドゲットがレイエスの脳死を受け入れず必死で対策を考える、というドラマ展開は、いつものX-ファイルの風味とはやや異なったものの、これはこれで悪くは無かった。
それにしても、ドゲットが必死にレイエスの臓器摘出を阻止しようとするのと比べ、スカリーは「脳死だから手の打ちようがない」と最初から最後まで冷淡極まりなかったのがなんとも言えなかった。これが、脳死状態なのがモルダーなら、もう半狂乱で食い下がっただろうなと予想してしまい、付き合いの短い相手には心底友人というより医者モードでしか接してないな、と感じてしまった。子供の出産とかで助けてもらった恩人のレイエスにこの姿勢はどうなのか、とちょっとひっかかってしまった。
今回のエピソードは、冒頭からレイエスがドゲット大好きというオーラを発しまくっていて、どうにも恋愛要素が強かった(ドゲットの方は終始あくまでレイエスは仕事のパートナーとして接しているようにしか見えなかったが……)。モルダー&スカリーの時代や、ドゲット&スカリーの頃には、男女コンビでもこんな空気が醸し出されたことは無かっただけに、X-ファイルはシーズン9に入って随分変質したな、という違和感が強かった。
今回は申し訳程度の犯人役として、入院患者を脳死に追い込み殺害する「死の医師」が登場した。しかしこういった患者を害する医療関係者というのは、架空の存在では無く、現実にも存在するらしい。人を殺すのが目的という場合もあれば、「助からない患者を必死で助けようとする自分が好き」なために、患者をわざと瀕死の状態に追い込むという犯罪者もいたという。今回登場したプライアーズは、看護師やオードリーを何の躊躇もなく注射で毒殺していたところを見ると、殺人愛好者の類だったのだろうか。
一言メモ
サブタイトルの「AUDREY PAULEY」とは、オードリーのフルネーム。