感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第70話(シーズン3 第17話)「審判の日」

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【※以下ネタバレ】
 
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海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン3」あらすじ・感想まとめ
 

第70話 審判の日 Doomsday (シーズン3 第17話)

 

あらすじ

ヨーロッパ工業界の大物が破産寸前となり、危機を切り抜けるためプルトニウムを盗ませ水爆を作らせた。本社に潜入し、プルトニウム奪還を目指すバーニー(グレッグ・モリス)のため、ローラン(マーティン・ランドー)とシナモン(バーバラ・ベイン)は、時間稼ぎで入札を引き延ばそうとするが…。


ヨーロッパ工業界の大物が破産寸前となり、危機を切り抜けるためプルトニウムを盗ませ水爆を作らせた。これを買った国が万が一にも使用し第三次世界大戦とならないよう、IMFは行動を開始する。本社に潜入しプルトニウム奪還を目指すバーニー(グレッグ・モリス)のため、ローラン(マーティン・ランドー)とシナモン(バーバラ・ベイン)は、時間稼ぎで入札を引き延ばそうとするが…。

※DVD版のタイトルは「プルトニウム240」。


【今回の指令】
 ヨーロッパ工業界の大物カール・バンダムは、現在事業を拡大しすぎて破産の危機に瀕している。そのためバンダムは、大金を得るため、プルトニウム240を盗ませて水素爆弾を製造させた。彼は水素爆弾を入札で売却するつもりであり、もし水素爆弾がどこかの小国に渡れば、第三次世界大戦が勃発しかねない。IMFプルトニウム240を奪回し、バンダムの目論見をたたきつぶさなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、ローラン、シナモン、バーニー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 ヨーロッパのどこか


【作戦】
 IMFは入札に参加予定の一人で石油産出国出身のクーラという男に接近し、クーラの予算300万ドルと自分たちの提供する300万ドルを合わせて共同で入札しようと持ち掛ける。フェルプスは、クーラの国に利権を持っているので有事の際には勝ってほしいからだと説明し、クーラも納得する。

 シナモンは物理学者としてクーラのアドバイザー役、またローランは某国の独裁者、という設定で、それぞれ入札に参加する。バンダムはまず参加者にプルトニウム240が存在していることをアピールしてから入札を開始する。

 入札が進んでいる間に、バーニーは単身バンダムの会社のビルに潜入し、爆弾からプルトニウムを抜き取って逃げ出す。しかし潜入に気が付かれてしまい、ビルが封鎖され、脱出は不可能になる。バンダムは肝心のプルトニウムが盗まれたことに気が付くものの、参加者には知らせずに入札を進行させ、ついにクーラが水素爆弾を600万ドルで競り落とす。

 フェルプスはクーラたちに300万ドルを手渡し、クーラは自分の資金と合わせて600万ドルをバンダムに渡し、バンダムはそれを金庫に入れる。しかしシナモンが秘密スイッチを入れると金庫の中の札は燃えてなくなってしまう。またシナモンはバンダムに、最後にもう一度プルトニウムを確認させてくれと頼み、バンダムはごまかそうとするものの、結局プルトニウムが無いことを白状する。

 怒ったクーラはバンダムに600万ドルを返せと詰め寄るが、バンダムが金庫を開くと金は燃えて無くなっていた。バンダムが理由が説明できないため、クーラはバンダムを射殺させる。その間に、IMFの一行はビルから逃げ出し、車で立ち去るシーンで〆。


監督: ジョン・モクセイ
脚本: ローレンス・ヒース



感想

 評価は○。

 終盤まで盛り上がらない展開が続き退屈させられたが、終盤10分に痛快シーンが凝縮されていて、結果的には結構楽しめた話だった。


 今回はIMFの緻密な計略という物はなく、バーニーがビルに忍び込んで水爆からプルトニウムを抜き取る間、ローランたちが入札で時間を稼ぐ、とそれだけである。そのため、バーニーがエレベーターシャフトから通気口に入り込み、さらに爆弾のある部屋に忍び込む、というシーンが延々描かれ、珍しくバーニー主役回と言える展開だが、あまり面白みはない。またその間、ローランとシナモンは入札の部屋で座っているだけ、フェルプスとウィリーは別の建物で待機しているだけ、と、全然仕事をしていない。ということで、各人がそれぞれ役割分担して緻密な作戦が展開される、という味わいは皆無である。


 しかし、終盤10分くらいになるといきなり爆笑シーンの連発になって実に楽しくなってしまった。

1)シナモンがスイッチを入れると金庫の中のお札が燃えてしまう
2)バンダムが金庫の中に金がないのを見て狼狽するものの、いきり立ったクーラ一味によって殺されてしまう
3)シナモンが1Fの警備員の前で「気分が悪い」と崩れ落ち、警備員が介抱している後ろから、バーニーがこっそり近づいて警備員を殴り倒してしまう
4)フェルプスとウィリーがビルの玄関前の植物に薬を撒く作業員のふりをして警備員に近づき、隙を見て警備員をKOする。
5)フェルプス、シナモン、バーニー、ウィリー、の四人がそろって車で逃げ出す


という話が流れるように展開される。お札が燃えてしまうシーンで「ああ、そう来たか」ともう笑いがこらえきれなくなったが、その後の展開もスパイ大作戦におけるお約束の連発で、シナモンが気分の悪いふりをして警備員を引き付けた瞬間バーニーが後ろから襲い掛かるとか、のんびり草木の手入れをしているふりのフェルプスとウィリーがいきなり警備員を殴り倒すとか、手早く逃走の準備を終えてしまい、「いつものやつが来た」と笑いが止まらなかった。そしてオチはもちろん、全員が車に乗り込んで立ち去るあのシーンである。この辺りは本当に面白くて面白くて仕方なかった。

 今回のエピソードは全体に起伏が無く、特に頭を使う展開でもなく、作戦自体は楽しめなかったが、最後の〆の部分の展開が本当に面白くて、結局印象は悪くなかった。もちろん緻密な作戦で満足させてくれるに越したことはないが、結局スパイ大作戦というものは、いつもの「敵を上手く処理してみんなで仲良く車で逃げ出す」というあの展開が守られていれば、それなりに満足できてしまう様である。


 ところでIMFが愛用する「スイッチを入れると燃えてしまうお札」は、どんな仕組みなのだろうか。どう考えても1960年代末のテクノロジーで実現できるようには思えないのだが……


 今回のサブタイトルの原題「Doomsday」とは「最後の審判の日」の意味。あまり内容を反映しているように思えないが、「水爆が使用されれば、世界に審判の日が訪れる」というカッコいい意味のサブタイトルなのかもしれない。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが公園の中にある火災報告用の電話ボックス(棒の上に赤い木箱が付いており、中に電話が入っている)の蓋を開けると、中には大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーが入っている。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なおこのテープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。(※第61話(シーズン3の第8話)「美しき外交官夫人」のシーンの使いまわし)


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。写真の人物はカール・バンダムといって、ヨーロッパ工業界における巨頭であるが、事業に手を伸ばしすぎて目下破産の危機に瀕している。財政建て直しの金を得るため、バンダムはさる方面からプルトニウム240を盗ませ、それで水素爆弾を製造、入札によってこれを売ろうとしており、もし血の気の多い小国が手に入れてこれを使おうものなら、第三次世界大戦にもなりかねない。

 そこで君の使命だが、プルトニウムを奪い返し、バンダムを叩き潰すことにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

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