【ゲームブック】感想:「ALL ABOUT GAMEBOOK VOL.4 近代映画社編」(2013年6月)

騎士と魔法使い 君はどちらを選ぶか?―アドベンチャー・ゲームブック シリーズ (1) (アドベンチャー・ゲームブック・シリーズ 1)

 今回ご紹介するのは、ゲームブックのカタログ「オールアバウトゲームブック」の第四弾「近代映画社編」です。近代映画社がゲームブック事業に参入していたなんて、ほんの数年前まで知りませんでした……
 

ALL ABOUT GAMEBOOK VOL.4 近代映画社編 オールアバウトゲームブック4 - ゲームブックのオンラインショップ トレーダーズ・ギルド
http://tradersguild.cart.fc2.com/ca45/983/p-r45-s/


■ 概要
近代映画社のゲームブック全15作品+αを収録したデータベース書籍。
A5判 レーザープリンター出力本 カラー印刷 全53ページ。


■ 内容
85年と言う早い段階でゲームブック市場に参入し、王道ファンタジー物の「騎士と魔法使い」や、インディ・ジョーンズ、007 ジェームズ・ボンドといった映画版権物作品の海外翻訳物ゲームブックを出版するも、余り世に知られることが無く、86年のなかばには既に市場から消え去っていたという、まるで一陣の風のようだった近代映画社のマイナー作品全てを完全網羅。
おまけとして、和訳されずに終わった騎士と魔法使いシリーズ、インディ・ジョーンズシリーズの英語版原著のリストとちょっとしたあらすじなども掲載しています。
データベース、コレクションのチェック用、当時を懐かしむ読み物、今後購入するゲームブックの前知識、一種のカタログとして……など、用途は様々。

 
●オールアバウトゲームブックとは?

 「ALL ABOUT GAMEBOOK」(オールアバウトゲームブック)シリーズは、中古のゲーム書籍やTRPGを扱うオンラインショップ「トレーダーズ・ギルド」のオリジナル商品で、1980年代に数年だけ大ブームとなったゲームブックのカタログ本です。

 出版社毎に、その会社が発売したありとあらゆるゲームブックを網羅し紹介するという、ゲームブック好きなら泣いて喜ぶような企画の産物です。

 内容は、まずその出版社が当時どういう会社だったか、という概要から入り、その会社のゲームブックの傾向を分析し、さらに個々の作品毎に、内容紹介・評価・備考などを記載しているという、至り尽くせりの内容となっております。

 これだけの内容で1000円台とは破格の安値と言っても過言ではないでしょう。ゲームブック好きなら必携!と太鼓判を押す内容です。



●「近代映画社」編の内容

 第四弾は(旧)「近代映画社」のゲームブック群の紹介です(※近代映画社は2015年に倒産。別会社が名前と事業を引き継いだ)。

 私はゲームブック全盛期(1985~87年)の時期には、この会社がゲームブックを出していたことを知らず、数年前に何かの拍子で知った程度なのですが……、この冊子を読んでみると知らなくても当然、といった感じの参入ぶりだったようです。


・近代映画社ゲームブックの特徴

 近代映画社は1985年8月に海外作品の翻訳で参入。しかし本がペーパーバック(ハーレクインみたいな表紙カバーの無い薄い本)の上、内容が子供向けのパラグラフ数100程度のモノだったため、「本の作りは安っぽく、作品の中身は薄く、それでいて価格は妙に高い」という物だったとのこと。そのため市場から評価を受けず、1986年8月には撤退したとのことです。

 ……、そら気が付かないわなぁ。


・個々の作品について

 結局以下の15作品を発売したにとどまったとのこと。

・「騎士と魔法使い」シリーズ8冊
・「007 ジェームズ・ボンド」シリーズ4冊
・「インディ・ジョーンズ」シリーズ3冊



●「騎士と魔法使い」シリーズ
騎士と魔法使い 君はどちらを選ぶか?―アドベンチャー・ゲームブック シリーズ (1) (アドベンチャー・ゲームブック・シリーズ 1)

 ヒロイックファンタジー物。王に仕える騎士と魔法使いのコンビの冒険談。各作品の解説で、ゲームブックとしての出来への厳しい批判もさることながら、王がめちゃくちゃ酷い仕事を主人公たちに命令する展開などについての皮肉めいたつっこみが読んでいてとても楽しい。

 おまけとして、未訳に終わったシリーズ残り10冊についても簡単に解説しているのが嬉しいところ。



●「007 ジェームズ・ボンド」シリーズ
美しき獲物たち (デジタルリマスター・バージョン) [DVD]

 映画でもおなじみのあのボンドの活躍を描くゲームブック。時代が時代なので、表紙絵に描かれているのは三代目の故ロジャー・ムーアです。

 内容はおおむねこんな感じみたいです。
 ↓

君が体当りする007の冒険 ジェームズ・ボンド・シリーズ〈1〉穴馬に賭けろ (アドベンチャーゲームブック) 新書 1986/5

君は007ジェームズ・ボンド―世界一の秘密情報部員だ。君は器用で賢くてタフだ。君はQの世にも驚くべき発明のいくつかで武装している。ロシアの凍原を風のようにすべるジェット噴射スキーから、乗馬鞭に仕込まれた恐るべき爆弾まで。君の相手はマックス・ゾーリン、権勢欲に狂った実業家で、その三流の持ち馬が大レースにいつも優勝している。ゾーリンは馬を支配する謎の仕掛けを作っているのだ。これは誰にもわからない、誰もが欲しがるもの―とくにKGBが。さあ、君は知恵をとぎすまし、行動に移って、君の運命を見つけたまえ。

君が体当りする007の冒険 ジェームズ・ボンド・シリーズ〈2〉とどめはパンチでいけ (アドベンチャーゲームブック) 新書 1986/5

君は007ジェームズ・ボンド―いまパリに着いたところだ。フランスのある探偵が秘密情報を君に与えるため、エッフェル塔で君を待っている。マックス・ゾーリンという誇大妄想狂が、シリコン・バレーを征服して世界のコンピューターを支配しようと企てている、という情報なのだ。だが、KGBの恐るべき美人スパイだったポーラ・イワノヴァもゾーリンを追っている!高度技術のマイクロチップ工場からシスコの古屋敷、サン・アンドレアスの断層の下の鉱山、金門橋上に漂う飛行船へ…君は何百万という人間の生活を守るための天使になるのだ。ゾーリンの邪悪な計画を君はくじけるか?

秘密兵器を追え (君が体当りする007の冒険 ジェームズ・ボンド・シリーズ) 新書 1986/7

君は007―君は狂った天才と知恵くらべを強いられ世界を殺人潜水艦による破滅から守らねばならぬ。君は勝てるか?アドベンチャーゲームブック

敵のプログラムを破れ (君が体当りする007の冒険 ジェームズ・ボンド・シリーズ) 新書 1986/7/1

君は007―科学の革命、コイン大の超強力エネルギー源Zディスクが盗まれた。悪者の手に落ちる前に、取り戻すのだ!アドベンチャーゲームブック

 
 意外に評価は高く、割と面白いという扱いになっています。



●「インディ・ジョーンズ」シリーズ3冊
インディ・ジョーンズ コンプリート・アドベンチャーズ [Blu-ray]

 映画でお馴染み、例の鞭をふるう考古学者インディ・ジョーンズの冒険談。内容はインディ自身になるのではなく、毎回別の少年「君」がインディと共に冒険に出る、という物。

 内容はこんな感じだそうです。
 ↓

インディ・ジョーンズ 恐怖島の呪い (アドベンチャーゲームブックシリーズ) 新書 1986/8

夏休みが来て、友達はキャンプや家族旅行に出かけた。君はいとこの考古学者インディ・ジョーンズと一緒に、はるばる南海のさんご礁へと、胸はずむ冒険の旅へと出かけるのだ。行先は「恐怖島」と呼ばれる謎の島。目的は黒檀を彫ってつくられた貴重な置物を探すことだ。だが、島は呪いをかけられていて、訪れた者は生きては帰れぬという言い伝えがある。君たちを待ち構えている運命は?

インディ・ジョーンズ シバの女王の秘宝 (アドベンチャー・ゲームブツクシリーズ) 新書 1986/8

君の父、ジョージ・バレンタイン博士が2人の男に誘拐された。博士は失われたシバの女王の秘宝のありかを示す地図を持っていたのだ。そしてまた、博士は謎の新兵器ダイアモンド・レーザーの秘密にも通じていた。エチオピアに軍を進めたファシスト勢力は、その2つを手に入れたいと考えていたのだ。君は父を救い、財宝を発見するために、インディと共に、悪漢や非情なスパイが待ち受ける国エチオピアへ、火山や迷路の冒険へと出かけることになる。インディは、この冒険の成否は君が握っていると言う。何をなすべきか決めるのは君なのだ。

インディ・ジョーンズ 銀の塔の巨人族 (アドベンチャーゲームブックシリーズ) 新書 1986/8

インディと親しいジョージ・ロジャース教授がチベットの山の中で行方不明になった。教授の娘ライラの話によると、彼女たちは伝説の巨人族と銀の塔をその眼で見たばかりでなく、巨人族に捕われ、その村から逃げ出してきたという。教授を探してくれるよう、ライラから頼まれたインディは、ライラと君を連れてチベットの山中へ踏み込む。君は自分の判断によって、君たち3人の進路を決めていかぬばならない。3人の運命は君の判断にかかっているのだ。

 
 まあ、短いからそこそこ簡単にクリアできるらしいです。

 おまけとして、未訳に終わったシリーズ残り8冊についても簡単な解説付き。親切ですね。

評価

 まあ扱われている作品が少ないし、名作とかいえるものも無さげなので、あんまり堪能できたとは言えませんが、未知の作品群について知ることが出来たので、そこそこには満足です。