15年以上も前から、毎年のように「今年は前より厳しい」と言い続けつつ、それでもしぶとく生き残っているエロゲ業界。しかし、昨年末には老舗ミンクが店じまいを宣言して話題を呼びましたが、今年も老舗ブランドがまた一つ退場を宣言しました。なんと今度はminoriが店じまいです。
●公式サイトでの告知
minoriは2019年1月25日の『その日の獣には、』の発売を区切りにソフトウェア制作を終了することにしました。
それに伴い、現行の制作チームは解散し、ソフトウェアのダウンロード販売、サポート業務などの一部を除き、ほとんどの業務も終了する予定です。
制作終了を決めた理由はいくつかあります。
まず1つ目は、お客様とのお約束を守ることが出来なかったからです。
そして、残念ながら(例えどのような理由があったとしても)、我々は発売日を公知にした後に変更するという失態を犯しました。これに対するペナルティは受けるべきですし、約束(契約)というものは、それほどに重いものだと思っています。
2つ目は「自分たちが作りたい(または作ることができる)もの」と「みなさんが欲しいもの」の乖離を感じており、どちらかが無理をして合わせることはお互いにとって不幸でしかないからです。
日に日に「求められる」ことが大きくなっていき(これは当たり前のことなのですが)、多様性を維持することがここ数年特に難しくなりました。そして、我々は「求められる」作品を作れるほど器用ではないということです。
3つ目は、このタイミングであれば、現在所属しているスタッフたちが、どこか他の場所で活躍できるチャンスがあるのではないかとも思ったからです。minoriという場所で得たものを他の場所で還元していくことは社会的に大事なことと捉えていますし、他の文化と融合させていくことが、発展的使命かと思います。
そして、4つ目。minoriというブランドは、創設から現在までに関わってきた全てのスタッフたちの血と汗と涙と努力によって作られてきました。そのポリシーを曲げてまで存在し続けることは、過去から積み上げてきた何か大切なものを崩す気がします。
「これにて『minoriの作品制作』、終幕!」
●minoriの華麗なる歴史
いやはやminoriまでが撤退か……、しかしまあ、エロゲ業界という斜陽産業で今まで生き残っていたのも凄いと言えば凄いんですけどね。
2001年の「BITTERSWEET FOOLS」でそこそこ注目されてデビューし(なんと原画はガンスリンガーガールの相田裕!)
2002年の「Wind」でスマッシュヒットを飛ばし、
2006年~2008年の「ef」はきっちりアニメ化され
とゼロ年代はエロゲ業界の勝ち組でしたが、2008年以降の世界的な不況と、それに伴う業界の果てしない衰退の中で存在感を失っていったように思えます。エロゲに熱心な層には認知されていたでしょうが、作品がアニメ化どころか漫画化すらされなくなっていっては、ライトなオタクには全く縁遠い会社となっていきましたしね……
●良くまだこの業界が存在しているよね……
今回のminoriの撤退劇ですが、「遂に老舗minoriまで力尽きたか……」というよりは、「この業界の人間ってよく食っていけてるよな」という感しか無いですよね。
ゼロ年代よりグラフィックの質も面積も向上し、声優を大量投入し、開発に一年も二年もかけてゲームを作って、それでいて売れるのは2000本、では、どうやって利益を出しているのか見当もつきません…… まあ抱き枕カバーとかのグッズを売ることで何とかしているのでしょうけど……
ホント、この業界の市場が未だ存在していることが不思議で仕方が無いですよね……、今後も続々「あのブランドが?」という馴染みのところがきえていくのですかねぇ……?