【SF小説】感想「恒星ハンマー」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 561巻)(2018年1月24日発売)

恒星ハンマー (宇宙英雄ローダン・シリーズ561)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150121621
恒星ハンマー (宇宙英雄ローダン・シリーズ561) (日本語) 文庫 2018/1/24
クルト・マール (著), 嶋田 洋一 (翻訳)
文庫: 248ページ
出版社: 早川書房 (2018/1/24)
発売日: 2018/1/24

【※以下ネタバレ】
 

ローダンはM-82内のある惑星で基地建設にとりかかった。しかし、その惑星の恒星近くに不審なアルマダ牽引機の部隊が出現した!


ペリー・ローダンはまだらの白いカラスにだまされ、自分の細胞組織をわたしてしまった。アルマダ工兵がそこからドッペルゲンガー“シンクロニト”をつくりだせば意のままに操られることになる。ローダンはその事態を防ごうと、シンクロニトの追跡につとめる一方、M-82内に《バジス》の拠点に適した惑星を見つけて基地建設にとりかかった。ところが、惑星の母星である恒星近くに不審なアルマダ牽引機の部隊が出現した!

 

あらすじ

◇1121話 恒星ハンマー(クルト・マール)(訳者:嶋田 洋一)

 ローダンたちは拠点に適した惑星を見つけ、「バジス=1」と命名して基地の建設を開始し、またローダンはゲシールと結婚した。しかしローダンの周囲は、ローダンがシンクロニトに操られていないか疑っていた。アルマダ工兵はテラナーが出現しそうな星系に自動兵器「恒星ハンマー」を送り込み、そのうちの一つがバジス=1の太陽に出現した。バジス=1は恒星ハンマーからの砲撃で大損害を受けるが、テラナーは恒星ハンマーを破壊した。(時期:不明。NGZ426年8月頃)

※初出キーワード=惑星バジス=1、惑星ナンド



◇1122話 アルマダ工兵侵攻(クルト・マール)(訳者:嶋田 洋一)

 ロワ・ダントンは、ローダンのシンクロニトを破壊するため、アルマダ工兵から情報を得ようと、白いカラスから教えられた、アルマダ工兵がいる惑星「ナンド」へ向かった。ナンドでは、アルマダ工兵が巨大採鉱ロボットを使用して惑星の資源を略奪していた。ダントンたちはアルマダ工兵を撃退し、また貴重なデータを持ち帰った。(時期:不明。NGZ426年8月頃)

※初出キーワード=ナンディル(種族名)


あとがきにかえて

・新潟のSF大会「GATACON」に参加した話。
・故・松谷健二氏の息子さんがSF作家「七佳弁京」としてデビューしている、という話

感想

 表紙の折り返しに誤植あり。後半のエピソードのタイトルは「アルマダ工兵侵攻」ですが、折り返しの登場人物欄では「アルマダ工兵の略奪行」になっています。「~略奪行」は仮題として発表されていたタイトルなので、変更の際のチェック漏れでしょう。毎月二冊も出していれば、こういう事もあるのでしょう……


 前半。アルマダ工兵の秘密兵器・恒星ハンマーを巡るエピソード。太陽の中に潜み、(多分)太陽のエネルギーを利用して、惑星上を猛烈なビームで攻撃する自動兵器、という設定は中々に燃えるものがありました。

 ただ、太陽の中に隠れている人工物体、という設定は、カビンサイクルで地球が巡る太陽の中に潜んでいた「太陽衛星」に似ているのですが、のみならず外観までが「ダンベル型で両端が尖っている」というのは……、太陽衛星も「紬型」でしたから、もうこれそっくりですよ。シリーズに長いこと付き合っている読者向けのサービス的な何かなのか、それとも何も考えずに適当に書き飛ばしただけなのでしょうか……?

 P48で、ローダンは、ゴードンという人物のニックネームが「フラッシュ」だと聞いてすぐに納得します。これはもちろんアメコミヒーロー「フラッシュ・ゴードン」から来ている訳ですが……、西暦4000年代に不死者たち以外にフラッシュ・ゴードンを知っている人間がいるとは思えませんが……、


 後半。未開惑星を好き勝手に蹂躙するアルマダ工兵に対し、ロワ・ダントンたちが華麗に立ち向かって撃退するという痛快エピソード。

 P134で旧暦20世紀の文学ネタとして、「スパイス」「惑星アラキス」といった単語が出てきます。西暦4000年代の人間も「砂の惑星」を読んでいるのか……
 
 

550巻~600巻(「無限アルマダ」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

perry-r.hatenablog.com
 

2020年の読書の感想の一覧は以下のページでどうぞ

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