【SF小説】感想「黒いピラミッド」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 574巻)(2018年8月7日発売)

黒いピラミッド (宇宙英雄ローダン・シリーズ574)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150121915
黒いピラミッド (宇宙英雄ローダン・シリーズ574) (日本語) 文庫 2018/8/7
デトレフ・G・ヴィンター (著), クルト・マール (著), 稲田 久美 (翻訳)
文庫: 266ページ
出版社: 早川書房 (2018/8/7)
発売日: 2018/8/7

【※以下ネタバレ】
 

ローダンはアルマダ中枢の消息を探る遠征を計画。トルクロート人の大艦隊とともに帰還したアトランに、その任務を託すのだが……


アルマダ炎を帯びたアトランひきいる《ソル》が惑星バジス=1に帰還してきた。アルマダ中枢、すなわちオルドバンが沈黙してのち狼藉を働いていたトルクロート人を平定し、その大艦隊とともにもどってきたのだ。トルクロート人は、アトランをオルドバンの使者と思いこんでいる。ローダンは、この状況を利用してアルマダ工兵に先んじようと、オルドバンの消息を探る遠征を計画。ふたたびアトランに任務を託すのだが……?

 

あらすじ

◇1147話 オルドバンを探して(デトレフ・G・ヴィンター)(訳者:稲田 久美)

 トルクロート人は今後もアトランに従うことになり、アトランは五万隻の艦隊の指揮権を手に入れた。そのあとアトランはローダンの依頼でアルマダ中枢の捜索に出発し、アルマダ炎の感覚を頼りに飛行すると、アルマダ種族「ルクユーン」の睡眠ブイにたどり着く。ルクユーンはフロストルービン突入時に睡眠者の精神が一つに融合して目覚められなくなり、彼らの救援を求める声をアトランがオルドバンと誤認したのだった。アトランがルクユーンを覚醒させると、彼らは礼として、アルマダ中枢の位置は「王子」だけが知っていると伝え、そのまま立ち去った。(時期:不明。NGZ426年12月頃)

※初出キーワード=ルクユーン(種族名)



◇1148話 黒いピラミッド(クルト・マール)(訳者:稲田 久美)

 惑星バジス=1に白いカラスが現れ、ローダンに「アルマダ年代記」が隠された惑星の位置を伝え、アルマダ工兵より先に年代記を入手するように指示する。ローダンたちは目標の惑星「クモの網」で不時着している黒いピラミッドを発見し調査すると、中には数億もの小箱が搭載されていた。さらに小箱の中には「ウォム」という親指サイズの生物が格納されており、ウォムは記憶している過去の出来事をテレパシーで伝える生きた記録装置だと判明する。直後アルマダ工兵の命を受けた「ランクウォート人」の艦隊が出現し、ローダンはアルマダ炎を身につけてランクウォート人と交渉するが、その間にピラミッドは離陸して消えてしまった。ローダンはウォムを一体だけ持ち帰っていた。(時期:不明。NGZ427年の初頭頃)

※初出キーワード=惑星「クモの網」、ウォム、ランクウォート人


あとがきにかえて

 40年以上前に、ドイツでカトリック修道院を見学した話。


感想

 前半エピソード … 終盤までは話がだるく、アトランがトランス状態に入ってオルドバンを探し始め、周囲のメンバーが呆れて反乱を起こしかける、という展開は退屈の一言。ただ、終盤の「オルドバン」の正体明かしや、謎めいた「王子だけがアルマダ中枢の場所を知っている」という手掛かりなど、最後は上手くまとめていたので、読後感はほどほどに良好でした。


 後半エピソード … ローダン世界は「謎の構造物」というと何かというとピラミッドですが、またまたピラミッドが登場。無限アルマダの数百万年の旅の記録「アルマダ年代記」が、妙な生き物の記憶の形で保存してあるという、意表を突くというか、斜め上の方向というか、の真相がちょっと面白かったです。
 
 
 

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