【SF小説】感想「フロストルービンふたたび」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 612巻)(2020年3月5日発売)

フロストルービンふたたび (宇宙英雄ローダン・シリーズ612)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150122725
フロストルービンふたたび (宇宙英雄ローダン・シリーズ612) (日本語) 文庫 2020/3/5
デトレフ・G・ヴィンター (著), トーマス・ツィーグラー (著), 嶋田 洋一 (翻訳)
文庫: 271ページ
出版社: 早川書房 (2020/3/5)
発売日: 2020/3/5

【※以下ネタバレ】
 

ローダンとタウレクは、ふたたびフロストルービンにもどる。セト=アポフィスによる悪影響でネガティヴ寄生体が生じたというが!?


第三のクロノフォシル・二百の太陽の星が活性化して、安堵したのもつかの間、《バジス》ではペリー・ローダンアルマダ王子ナコールがタウレクとヴィシュナにともなわれて、いずこかへ去ってしまう。《バジス》は最高指揮官を欠いたまま、ハミラー・チューブの操縦で、無限アルマダとともに次の目的地、銀河系のフェルト星系に向かっていた。そんなとき、船内にハイパーエネルギー製だと思われる、謎の石壁が出現した!

 

あらすじ

◇1223話 オルドバンの遺産(デトレフ・G・ヴィンター)(訳者:嶋田 洋一)

 ローダンやナコールたちが《バジス》を離れている間、《バジス》と無限アルマダは次のクロノフォシルのフェルト星系へ向かっていた。“それ”は《バジス》乗員にコンタクトし、冷気エレメントが消滅した事を伝えた後、テラナーはやがてコスモクラートに背を向けて独自の道を進むため、“それ”の援助を得られなくなる、という未来を予言して消えた。

 ナコールとヴィシュナは、オルドバンの精神の断片「メンタル保管庫」を調査し、未知の敵が保管庫を改変しオルドバン復活を妨害していると知る。その敵とはオルドバンの友のサドレーユで、本物のサドレーユは数百万年前に殺され、エレメントの支配者の部下がすり替わっていた。ナコールは偽サドレーユを倒し、復活したオルドバンの精神と完全に一体化した。(時期:~NGZ428年7月9日)

※初出キーワード=なし



◇1224話 フロストルービンふたたび(トーマス・ツィーグラー)(訳者:嶋田 洋一)

 ローダンとタウレクはフロストルービンに巣くう「ルービン微生物」を排除するため、再度フロストルービンに向かった。宇宙のモラルコードは宇宙の各部分の物理法則を定義しており、トリイクル9が失踪したことで、トリイクル9と繋がっていた宙域は物理法則が消滅し「ネガスフィア」と化していた。ローダンたちはフロストルービンに突入し、ローダンはルービン微生物三体の正体が自分のメンタル成分であると気が付き、排除に成功した。

 一方銀河系では、ティフラーたちが、無限アルマダの通過で銀河系種族が混乱しないように、人気の星間レポーター「クローン・メイセンハート」を雇って、ショー形式の中継番組を放送させるが、その最中にメイセンハートたちは「冷たい群れ」の一人と遭遇してしまう。(時期:NGZ428年7月3日~16日)

※初出キーワード=宇宙創造プログラミング、メッセンジャー、ルービン微生物、精神凍結(サイコフロスト)


あとがきにかえて

 五十肩になった話の続き。


感想

 前半エピソード … 結構密度の高いエピソード。銀河系種族がコスモクラートと縁切りをするという衝撃の予言あり、サドレーユが無限アルマダ旅立ちの時点で既に偽物にすり替わっていたという後出し設定あり、オルドバンの(今度こそ本当の)復活あり、と、ドラマがいっぱいでした。


 後半エピソード … お調子者の星間レポーター・クローン・メイセンハートとその仲間たちが登場。ルナが十戒に襲撃されて目の前で銃撃戦が発生しているのに、冷静にティフラーに「今のご感想は?」みたいなことを平気で聞いていて心底笑いました(笑)

 またローダンとタウレクの会話では、宇宙のモラルコードの役目についてさらなる設定が公開されました。宇宙の光速や絶対零度やその他諸々の宇宙の決まりごとは、実はモラルコードの中身が定義していて、モラルコードが無くなれば物理法則も無くなってしまう、という凄い設定。いやー、かつては無邪気に宇宙を飛びまわっていたローダン・シリーズが、ついに宇宙の構造というかそんな深遠な事まで語りだすとは…… 本当に遠くまで来たなぁ、という思いでいっぱいです。
 
 
 

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