【ミステリー】感想:歴史ミステリー番組「ダークサイドミステリー」(2020年版)『東京1962 姿なき爆弾魔からのメッセージ ~昭和の闇“草加次郎事件”~』(2020年6月18日(木)放送)

日本爆弾事件史: 玄洋社、自由民権運動、草加次郎、東アジア反日武装戦線、オウムなど日本を震撼させた爆弾事件の記録

ダークサイドミステリー NHK https://www.nhk.jp/p/darkside/ts/4847XJM6K8/
放送 NHK BSプレミアム。毎週木曜夜9時放送。

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

perry-r.hatenablog.com
 

本当の謎は、人間の闇
背筋がザワザワ、心がドキドキ、怖いからこそ…見たくなる!
世界はそんなミステリーに満ちている。
未解決の事件、自然の脅威、不思議な伝説、怪しい歴史など、謎と恐怖の正体に迫ります!

 

東京1962 姿なき爆弾魔からのメッセージ ~昭和の闇“草加次郎事件”~ (2020年7月2日(木)放送)

 

内容

ダークサイドミステリー「東京・昭和の闇 姿なき爆弾魔“草加次郎事件”」
[BSプレミアム]2020年7月2日(木) 午後9:00~午後10:00(60分)


こんな怪事件が東京で!?歴史に埋もれた未解決・草加次郎事件。スター俳優脅迫!地下鉄など連続爆発!急行列車で空前大捜査!オリンピック前の知られざる東京、闇の秘史。


オリンピックに向け華やぐ昭和37年の東京に突如、連続爆弾魔“草加次郎”が出現。街を恐怖に突き落とした。都内各所に発火物を仕かけ、紅白出場歌手やスター俳優を脅し、ついに地下鉄で爆弾を破裂させるなど、「愉快犯」の凶行は大暴走。背景にひそむ、知られざる大都会の闇とは何か?犯人逮捕か!?空前の大捜査、緊迫の1時間!犯行予告の実現を阻止せよ!東京の最も長い1日とは?歴史の闇に隠れた未解決怪事件の実像に迫る。


【ナビゲーター】栗山千明,【ゲスト】桐生正幸,原山浩介,【語り】中田譲治,【司会】青井実

 
 今回のテーマは「草加次郎事件」(1962~63年)


草加次郎現る

 昭和37年(1962年)、東京オリンピック開催を二年後に控えた東京で、何物かによる連続爆弾事件が発生した。

 11月4日、当時人気絶頂の歌手・島倉千代子の事務所に差出人不明の封筒が届き、中に入っていた物には「祝」「呪」の二文字が書かれていた。事務員がその物体が真ん中から引き抜けそうなので抜いてみたところ、その瞬間発火し手にやけどを負った。中はマッチと同じ原理で引き抜くと発火する仕掛けがしてあった。また中には「草加次郎(そうか・じろう)」と署名されていた。


 その後も、

・11月13日
 六本木のクラブホステス宅に爆発物が郵便で届くが不発


・11月20日
 有楽町の映画館ロビーで床に落ちていた円筒形の箱が発火。横に倒れているうちは何も起きないが拾って縦にすると発火する仕掛けだった。


・11月26日
 日比谷劇場で同様にボール箱が爆発。


・11月29日
 世田谷の電話ボックス内においてあった石川啄木歌集のしおりを引き抜いたところ発火。本の中身がくりぬかれており、しおりが抜かれると通電する仕掛け。


・12月1日
 新聞に、上記の事件の全てで爆発物に「草加次郎」の署名があり、同一犯の犯行だと記事が掲載された。


・12月12日
 浅草寺境内に置かれたエラリー・クイーンの小説「犯罪カレンダー」に爆弾が仕込まれているのが発見される。(不発)

 警察は草加次郎事件の捜査に、この年10月に誕生したばかりの「警視庁機動捜査隊」を投入、署の管轄の壁を越えた捜査を開始するが、草加次郎は姿を消してしまった。また翌年の昭和38年(1963年)3月には「吉展ちゃん事件」が発生し、草加次郎は忘れ去られていった。



草加次郎の復活

 昭和38年(1963年)7月15日、上野公園でおでんの屋台を引いていた人物が背後から銃撃され重傷となった。10日後の7月25日、上野署に草加次郎名義の封筒が届き、中には犯行に使われたのと同じ銃から発射された弾丸が入っていた。

 警察はそれまでは草加次郎は面白半分の変質者だと考えていたが、この事件で暴力団関係者も容疑の対象となり、犯人像が絞れなくなった。この事件では世間には草加次郎の関与は公表されなかった。



●日本初の地下鉄無差別テロ事件

 同年9月5日、午後8時14分。地下鉄銀座線京橋駅に到着した列車内で爆発物が爆発し、10人が重軽傷をおう大惨事となった。これは日本初の地下鉄での無差別テロ事件とされる。爆弾内の電池の破片から「次郎」の字が見つかり、過去の事件との筆跡を照合の結果、これが「草加次郎」の犯行だと明らかになった。警察はこの事件を契機に、ついに草加次郎に対する特別捜査本部を設立した。

 この事件は社会に大きな衝撃を与え、草加次郎を名乗る模倣犯の事件がが500件以上発生した。

 爆弾に使用されたタイマーには「次は10日」と書かれており、これは次回の犯行が「9月10日」と予告しているものと解釈された。



吉永小百合への脅迫

 同じころ、草加次郎は、当時人気絶頂だった女優・吉永小百合に対し何度も脅迫状を送り付けていた。そして最後には「9月9日に上野発青森行きの急行列車に乗り、8時までに懐中電灯の明かりが見えたら100万円を列車から投げ落とせ」という脅迫状を送ってきた。これは、同じ年に公開された映画「天国と地獄」で誘拐犯が身代金を異に入れるときに使った手口の模倣だった。

 9月9日。警察は大包囲網を仕掛けて犯人を待ち受けたが、懐中電灯の明かりは遂に点灯することは無く、空振りに終わった。



●消えた草加次郎

 9月10日。警察と鉄道関係者は総力を挙げて地下鉄の列車と構内を調べたが、ついにこの日怪しい物は何一つ見つからなかった。そして草加次郎はこの時を最後に姿を消した。


感想

 今回のテーマは「草加次郎事件」。連続爆破事件、銃による殺人未遂、地下鉄でのテロ、芸能人への脅迫、など、手広く(?)やっているのに、なぜか知名度が低いようで、今回番組に取り上げられるまで全然知りませんでした。「吉展ちゃん事件」とか「三億円事件」とか昭和の事件でも有名な物はすごく有名なのに、この愉快犯というか劇場型犯罪のはしりというか、の事件がこれほど知名度が低いのは何故なんでしょうかね?

 番組はいつもの通りの手堅い構成でめっちゃ面白かったです。
 
 

光と闇のナビゲーター 栗山千明
MC 青井実 (アナウンサー)
語り 中田譲治
テーマ音楽 志方あきこ

 
 

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一万三千人の容疑者―吉展ちゃん事件・捜査の記録 (1966年)
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