【歴史】感想:歴史番組「ダークサイドミステリー」シーズン3(2021年版)「天才か? 悪魔か? 謎の連続爆弾魔ユナボマーを追え!」(2021年5月6日(木)放送)

The Unabomber: The Life and Crimes of Ted Kaczynski, the Domestic Terrorist Responsible for the FBI’s Most Expensive Manhunt (English Edition)

ダークサイドミステリー NHK https://www.nhk.jp/p/darkside/ts/4847XJM6K8/
放送 NHK BSプレミアム。毎週木曜夜9時放送。

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

perry-r.hatenablog.com
 

本当の謎は、人間の闇


背筋がゾワゾワ、心がドキドキ、怖いからこそ見たくなる。世界はそんなミステリーに満ちている。世間を揺るがした未解決の事件、常識を越えた自然の脅威、いにしえの不思議な伝説、怪しい歴史の記録、作家の驚異の創造力…。こうした事件・出来事を徹底再検証!
人智を超えた謎に迫る「幻解!超常ファイル」を拡大スピンオフ!今度は人間や自然が生み出した謎と恐怖に満ちた事件・伝説の正体に、栗山千明志方あきこ中田譲治のダークなトライアングルで引き続き迫ります。

 

天才か? 悪魔か? 謎の連続爆弾魔ユナボマーを追え! (2021年5月6日(木)放送)

 

内容

ダークサイドミステリー「天才か?悪魔か?謎の連続爆弾魔・ユナボマーを追え!」
[BS4K] 2021年05月06日 午後9:00 ~ 午後10:00 (60分)


犯行18年!目的不明で手掛かりなし!全米を恐怖に叩き込んだ連続爆弾魔ユナボマーは何者か?異様な木製爆弾に本一冊分の犯行声明。すべてが前代未聞の怪事件の真相とは?


天才はなぜ爆弾魔へと堕(お)ちたのか?IQ167の頭脳でアメリFBIチームを十数年も振り回し続けた連続爆弾魔ユナボマー。狙うのはなぜか、大学と航空関連。予告も取引要求もなく、目的は不明。爆弾は手作りの木製だが、手掛かりを一切残さない緻密な犯行。ついに公表した犯行声明は、なんと本一冊分の長大な論文。その「人の生き方」を問う内容は、全米で議論を巻き起こした!すべてが前代未聞の天才爆弾魔の正体に迫る!


【ナビゲーター】栗山千明,【ゲスト】犯罪心理学者・法政大学教授…越智啓太,日本大学危機管理学部教授…福田充,【語り】中田譲治,【司会】青井実

 
 今回のテーマは「連続爆弾魔ユナボマー」。


ユナボマー出現

 「ユナボマー」は1978年から18年間にわたり全米で合計16回もの爆弾事件を起こした前代未聞の爆弾魔。その知能はなんとIQ167だった。

 ユナボマー最初の犯行は、1978年5月26日、イリノイ州ノースウェスタン大学。同大学のクリスト教授宛ての荷物が駐車場に放置されており、心当たりのない教授が荷物を警備員に開けてもらうと爆発した。爆弾は大半が木製で、火薬はマッチの発火部分を使ったもので、爆発力は大したものではなく警備員が手にやけどを負った程度だった。

 一年後の1979年5月9日、同じノースウェスタン大学でまた爆発が発生し大学院生一名が負傷した。葉巻の箱に仕込まれた爆弾がテクノロジー研究室に置かれていた。爆弾は木製の部品が使われていた。しかしアメリカでは爆弾事件はありふれており、この頃は一年に2000件も起きていたので、大した注目も集めなかった。

 1979年11月15日、シカゴ発ワシントンD.C.行きのアメリカン航空444便内で航空郵便が爆発するという事件が発生した。444便は緊急着陸して機は無事だった。ついにFBIが捜査に乗り出し、爆弾に木が使われていたことから、シカゴの大学での爆発事件と同一犯の犯行だと考えられた。

 1980年6月10日・通算四度目の犯行。イリノイ州レイクフォレストユナイテッド航空社長のパーシー・ウッズの自宅に送りつけられた爆弾が爆発した。爆弾はやはり木製の部品が使われており、FBIは一連の爆弾犯を「大学 UNIVERSITY」「航空会社 AIRLINE」「爆弾犯 BOMBER」を組み合わせた「ユナボマー UNABOMBER」と名付けた。

 しかしFBIはこれといった手掛かりを掴めなかった。爆弾の大半は木で出来ており、電子部品は廃材からとられたもの、釘に至っては手作り、そして部品にはやすりがかけられ丹念に指紋が消されていた。犯人はシカゴに住む、当時リストラを進めていた社長へ恨みを持つ人物で、大学での事件はその予行演習と考えられた。

 翌82年からは爆弾事件が3件連続して発生したが、事件が起きたのはユタ州テネシー州カリフォルニア州とシカゴからは遠く離れており、しかも全て大学。FBIによる社長への復讐という見立ては完全に外れてしまった。



エスカレートする犯行

 ユナボマーは1985年には四件もの爆弾事件を立て続けに起こした。まず最初は5月5日で、カリフォルニア州のカリフォルニア大学バークレー校で大学院生が重傷を負った。爆発物として硝酸アンモニウムが使われ、また殺傷力を高めるために釘を仕込むなど、明らかに以前より技術が向上していた。

 この年4件目の12月11日・通算11回目の犯行では、カリフォルニア州のパソコン店の経営者が死亡し、ユナボマー事件の初の死者となった。

 FBIは犯人のプロファイリングを行い、ユナボマーは白人男性、犯行開始当時20代後半から30代前半(現在は30代後半から40代前半)、有名大学を卒業した高い教養を持つ人物で、犯行のターゲットが70年代は航空産業、80年代はコンピューター関係、と移り変わっていることから、最先端技術をターゲットにしている、と推測した。

 FBIは犯人をあぶり出すため、このプロファイリングを公表したが、唯一学歴のところだけは「高卒」と変えておいた。これでプライドを刺激されたユナボマーが反応することを期待していたが、ユナボマーは沈黙したままだった。

 1987年2月20日・12回目の犯行でユタ州のコンピューターショップの駐車場で偶然爆弾を仕掛ける男が撮影された。フードとサングラスで顔を隠していたが、プロファイル通り30代後半から40代前半の白人男性だった。FBIには二万件を超える情報が寄せられたが、犯人に結び付く手掛かりはなかった。

 その後ユナボマーは沈黙していたが、1993年6月22日に13回目の犯行を敢行。カリフォルニア州ティブロンの遺伝子研究者エプスタインに送られた郵便物が爆発した。その後、1993年6月から1995年4月までに三件の犯行を行い、二人が死亡した。

 ユナボマーは1993年6月に大手新聞社にメッセージを送り、「近いうちに犯行目的を伝える」と予告してきた。



●犯行声明「産業社会とその未来」

 予告から二年後の1995年6月28日。ニューヨーク・タイムズ本社に、ユナボマーの犯行声明が到着した。そのポリュ―ムは56ページ、35,000語にもなる膨大な物だった。ユナボマーニューヨーク・タイムズ紙かワシントン・ポスト紙に全文を掲載しその後の追加掲載を認めるなら、今後の爆弾事件を停止するとの条件を提案してきた。

 両社はFBIとの話し合いを行い、声明文は9月19日にワシントン・ポスト紙に掲載され、850,000部は完売した。内容は「産業社会とその未来」という論文で、産業革命以降の発展は人間の自由を奪っている云々という物であり、FBIがプロファイリングした通り先端技術への憎しみが書かれていた。



ユナボマー逮捕

 ユナボマーの犯行声明を読み、デヴィット・カジンスキーという人物からFBIに「声明の内容が兄の書いた論文に似ている」という情報が寄せられた。その兄はモンタナ州リンカーンの山の中で、自分が手作りした山小屋で電気も無い素朴な生活を送っていた。名前はセオドア・J・カジンスキー。

 1996年4月3日。FBIはカジンスキーを逮捕した。小屋の中からは犯行声明を書いたタイプライターや爆弾に使う薬品などが次々と見つかった。

 カジンスキーは1942年シカゴ生まれ。幼い頃から頭がよく、16歳で飛び級ハーバード大学に入学し、25歳で史上最年少の助教授になっている。IQは167。しかしその二年後大学を去ってしまっていた。

 子供の頃から頭が良すぎて周囲と馴染めず、飛び級で入った大学でも友人は出来なかった。カジンスキーは合理性を求める社会が今の孤独を生んだと恨みをため込んでいった。

 1998年カジンスキーの裁判が始まるが、司法取引で「公判無しの仮釈放なしの8回分の終身刑」を受け入れ、そのまま収監された。現在(2021年)カジンスキーは78歳である。


感想

 名前だけなら知っているくらいの超有名爆弾魔ユナボマー事件の回。なんと18年間も延々爆弾事件を起こしていたそうでビックリ。名前だけ先行して犯行の実態は知らなかったので、今回の番組でしっかり勉強させてもらいました。
 
 

光と闇のナビゲーター 栗山千明
MC 青井実 (アナウンサー)
語り 中田譲治
テーマ音楽 志方あきこ

 
 

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