【ミステリー】感想:歴史ミステリー番組「ダークサイドミステリー」(2020年版)『やあ諸君、私は連続殺人鬼だ ~究極の劇場型犯罪・ゾディアック事件~』(2020年7月9日(木)放送)

殺人鬼ゾディアック――犯罪史上最悪の猟奇事件、その隠された真実 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-3)

ダークサイドミステリー NHK https://www.nhk.jp/p/darkside/ts/4847XJM6K8/
放送 NHK BSプレミアム。毎週木曜夜9時放送。

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

perry-r.hatenablog.com
 

本当の謎は、人間の闇
背筋がザワザワ、心がドキドキ、怖いからこそ…見たくなる!
世界はそんなミステリーに満ちている。
未解決の事件、自然の脅威、不思議な伝説、怪しい歴史など、謎と恐怖の正体に迫ります!

 

やあ諸君、私は連続殺人鬼だ ~究極の劇場型犯罪・ゾディアック事件~ (2020年7月9日(木)放送)

 

内容

やあ諸君、私は連続殺人鬼だ ~究極の劇場型犯罪・ゾディアック事件~
[BSプレミアム]2020年7月9日(木) 午後9:00~午後10:00(60分)


映画などで何度も題材になる伝説の未解決事件「ゾディアック」。殺人鬼がテレビ生出演?謎の暗号文書!奇怪な衣装で襲撃!アメリカを恐怖に陥れた劇場型犯罪を徹底分析!


前代未聞!連続殺人鬼テレビ生出演?気づけばあなたも舞台の上!?マスコミへの挑戦状で市民を巻き込む「劇場型犯罪」の究極、アメリカの「ゾディアック事件」。多くのミステリー作品のモデルになった伝説的事件だ。最初は目立たない殺人だったが、新聞社に送った謎の暗号文に市民が反応。そのやりとりの果てに子どもを狙う無差別殺人が予告され、街は大パニックに。いったいなぜ?あなたを巻き込む劇場型犯罪の恐怖を徹底分析!


【ナビゲーター】栗山千明,【ゲスト】阿部憲仁,新井克弥,【語り】中田譲治,【司会】青井実

 
 今回のテーマは「ゾディアック事件」(1968~74年)


●連続殺人発生

 1969年7月5日。午前0時40分。サンフランシスコの北40キロにあるヴァレーホ市の警察に、素性不明の男から「殺人二件を報告する。若者二人が銃に撃たれて死んでいる。去年にも二人殺している」という電話が入る。警察が指定された場所を調べると、電話から40分前、若い男女が銃で男に撃たれており、男性は生き延びたが女性は死亡した。

 そして、半年前の1968年12月20日。前述の事件現場から五キロ離れた地点で、午後11時10分頃、やはり若い男女が銃で撃たれて死亡する事件が起きていたが、犯人は捕まっていなかった。

 この二組の男女に全く関係は無く、無差別殺人犯の犯行と推測された。



●犯人からの手紙

 1969年8月1日(金)午前。サンフランシスコ最大の新聞「サンフランシスコ・クロニクル」の編集者の元に匿名の手紙が届くが、その内容は自らを殺人の犯人だと名乗ったうえで、犯人しか知らない事実を書いており、最後には署名の代わりに、〇に十字を重ねた奇妙な記号を記していた。

 また全く意味不明の暗号文が同封してあり、その暗号を解けば自分の正体が解るとしたうえで、この内容を金曜午後までに一面に掲載しなければ、金曜日と週末に殺人を犯し、犠牲者は12名になると脅していた。

 しかし、クロニクルは既に朝刊は発行し終わっており、また夕刊は無いので、犯人の要求に応えようがなかった。また犯人は、全く同じ内容の手紙を「エグザミナー」「タイムズ・ヘラルド」紙宛てにも送り付けていた。こちらの二紙は夕刊が有ったので、犯人の要求を実行可能だった。

 両紙の編集者は対応に苦慮したものの、結局「エグザミナー」は、三面に手紙だけのせて暗号文は載せず、「タイムズ・ヘラルド」は系列紙「ニュース・イヴニング・クロニクル」の一面に暗号を掲載した。そして、結局8月1日に無差別殺人は起きなかった。

 翌8月2日からは、各紙とも大々的に暗号文を掲載してニュースにした。ヴァレーホ市警察の署長は、犯人に向けて、本物の犯人である証拠として、より詳しい情報を記した二通目の手紙を送れと要求した。犯人はすぐさま、タイムズ・ヘラルドに手紙を送りつけてくるが、その手紙では自らを「ゾディアック」と名乗り、内容は警察の捜査を揶揄するものだった。



●暗号解読さる

 ゾディアックが新聞社三紙に分割して送り付けた暗号に市民は食いつき、新聞社には解読できたという電話が殺到した。そして早くも翌8月2日には高校教師のドナルド・ハーデンが解読に成功した。

 暗号はギリシャ文字・天気記号・海軍の手旗信号・占星術の記号・アルファベットを織り交ぜた複雑な物だったが、ハーデンは文章にきっと「KILL」という文字が含まれていると見当をつけ、それを突破口に解読に成功したのである。

 しかし、暗号の内容はゾディアックの正体を明かすような物ではなく、自分は殺人が好きだ云々と一方的に主張を並べ立てたものでしか無かった。



●第三の事件

 1969年9月17日。午後4時頃。ベリエッサ湖畔でピクニックをしていた若い男女が襲撃され、男性は一命をとりとめたものの女性は死亡した。黒ずくめの男が二人に銃を突きつけた後ロープで縛り上げ、さらに刃物でめった刺しにしてから立ち去ったのである。しかも犯人は被害者の車のボディに、第一・第二・第三の事件の犯行日付を記していた。生き延びた被害者の証言で、犯人は処刑人を連想させる覆面をかぶっていたことが判明した。

 その後ゾディアックはまた新聞社に手紙と暗号文を送り付け、一面に掲載するように要求してきたため、各紙は要求通りにした。暗号は340個の記号からなる、通称「Z340」と呼ばれるものだが、こちらは市民の関心を集めたものの、結局現在に至るまで解読されていない。



●第四の事件

 1969年10月11日。午後9時30分。サンフランシスコ市内でタクシー運転手が射殺され財布を奪われる事件が発生した。警察は当初ありふれたタクシー強盗事件だと考えていたが、3日後、サンフランシスコ・クロニクルにゾディアックから、タクシー運転手殺しは自分の犯行だと伝える手紙が届く。ゾディアックは自分の犯行の証拠として、被害者のシャツから切り取っていた血染めの断片を送り付けてきた。

 さらに手紙には、スクールバスを襲撃し、出てきた子供を射殺するとも書いてあった。子供が襲われると予告されたことで市民はパニックに陥った。カリフォルニアの検事総長は、ゾディアックに向け自首を勧める嘆願書を発表した。



●殺人犯のテレビ生出演

 1969年10月22日。午前2時。警察にゾディアックから電話が入り、「テレビの7チャンネルのトークショーに自分の指定する弁護士を出演させれば、その番組に電話する」と伝えてきた。7チャンネルとは地元ローカル局「KGO-TV」で、警察はすぐにKGO-TVに連絡した。

 KGO-TVはすぐさま翌23日の朝6時30分から二時間の緊急特番を放送し始めた。番組開始から50分後、電話が入り、相手は「サム」と名乗った。「サム」は逆探知を警戒してか、電話をいきなり切ってはまたかけてくることを繰り返し、「子どもを殺す」といったまとまりのない内容を喋るだけだった。電話は二時間の間に12回かかって来て、その様子が全て生で放送された。

 警察の逆探知の結果、電話の相手は病院に入院している患者で、本物のゾディアックでは無かったと判明した。


●市民のパニック

 1969年10月。ゾディアックのスクールバス襲撃予告を受け、州政府から市民に緊急警告が発令された。警護のため、スクールバスにはパトカーの追尾が付くか、警察官が同乗することになった。またスクールバスの運転手には、例え襲撃されても絶対に停止せず、人気のある場所まで走りぬくように指示が出された。

 1969年11月9日。サンフランシスコ・クロニクルにゾディアックからの七通目の手紙が届くが、その内容は手作り爆弾の設計図だった。ゾディアックは、スクールバスは銃ではなく爆弾でも襲えると書いてあり、サンフランシスコ・クロニクルは影響の大きさを考え記事にはしなかった・

 ところが、翌年1970年4月29日。サンフランシスコ・クロニクルにまたゾディアックからの手紙が届き、爆弾を爆発させて欲しくないなら、手作り爆弾の設計図から組み立て方まで細かく紙面に掲載するようにと要求してきた。クロニクルは要求に屈し、ゾディアックの求めるままに記事を掲載した。

 ところがその後スクールバス襲撃事件は起こることは無く、1974年に届いた手紙を最後にゾディアックは闇へと消えた。



模倣犯たち

 1994年、ニューヨークで連続殺人事件が発生し、犯行現場にはゾディアックのマークが入った手紙が残されていたが、逮捕された犯人はゾディアックとは無関係だった。また暗号文を真似した手紙がテレビ局に送りつけられるなど、模倣犯が続出した。

 しかし、もう現在ではゾディアック事件のような劇場型犯罪は起きないとされている。メディアは、例え真犯人からの手紙であっても、それに飛びついて記事にして犯人にむざむざ利用されるようなことはしなくなったからである。


 警察がゾディアックの容疑者としてリストアップしたのは2500人以上いたが、未だ犯人は捕まっていない。


感想

 今回は軽く名前だけは知っていたゾディアック事件。いつものように事件の全貌をみっちり紹介した内容で満足度高でした。それにしても、殺人、暗号文送り付け、テレビ出演(偽物だったけど)、スクールバス襲撃予告、とやっていることが多すぎ。

 軽く調べてみても(ウィキペディアを含めて)詳しく紹介しているサイトが見当たらなかったのですが、番組を見て、凄い事件だったと実感しました。これが現実に有った事件だとは信じられないわ……


 ちなみに劇中のゾディアックの声は「東地宏樹」氏でした。名前は出ていませんでしたが、あの冷酷そうな声(笑)は間違えようがないです(笑)
 
 

光と闇のナビゲーター 栗山千明
MC 青井実 (アナウンサー)
語り 中田譲治
テーマ音楽 志方あきこ

 
 

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