【ドラマ】感想:海外ドラマ「名探偵ポワロ」第31話「ABC殺人事件」

名探偵ポワロ 全巻DVD-SET

名探偵ポワロ NHK https://www.nhk.jp/p/poirot/ts/1K56ZK71Q9/
放送 NHK BSプレミアム

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

「灰色の脳細胞」の推理が冴えわたる!アガサ・クリスティーの名作ミステリー<全70回>

 

第31話「ABC殺人事件

 

あらすじ

名探偵ポワロ(31)「ABC殺人事件」
[BSプレミアム] 2023年01月11日 午後9:00 ~ 午後10:42 (102分)


世界が愛した名探偵、エルキュール・ポワロ。アガサ・クリスティーの人気作。ABCと名乗る人物からポワロに予告状が。ABCの順に殺された被害者の接点とは?長編作品


ポワロのもとにABCと名乗る人物から「21日、アンドーバーに注意せよ」という奇妙な手紙が届く。その日、アンドーバーでアリス・アッシャーという女性が殺された。その後、第2、第3の予告状が届き、いずれも被害者はアルファベットのB、Cに関連していた。どの現場にも必ず残されていたのは「ABC鉄道案内」。ポワロは被害者の接点を調べる。次はDのイニシャルが狙われるのか…?


出演者ほか
デビッド・スーシェ…熊倉一雄,ヒュー・フレイザー富山敬安原義人,フィリップ・ジャクソン…坂口芳貞,ドナルド・ダグラス…内田稔,ドナルド・サンプター…矢田稔,【原作】アガサ・クリスティー,【演出】アンドリュー・グリーブ,【脚本】クライブ・エクストン

 
 ポワロの元に「ABC」なる人物から「21日にアンドーバーに注意せよ」という犯罪をほのめかす手紙が届く。そしてその予告通り、21日にアンドーバーで老婦人「アリス・アッシャー」が殺害される。地元警察は、被害者と不仲だった元夫を容疑者と見なすが、ポワロは現場にABC鉄道案内が置いてあることに注目する。

 やがてまたポワロの元に「ABC」から、25日にベクスヒルでの犯行を予告する手紙が届く。警察は厳重な警戒を実施するものの、海岸で「ベティ・バーナード」の死体とABC鉄道案内が見つかる。

 そして、第三の「ABC」からの手紙がポワロの元に届き、内容は29日のチャーストンでの犯行予告だった。しかし手紙は何故か宛先の記載が誤っていて29日当日に遅配されてしまい、ポワロと警察がチャーストンに向かった時には、既に大富豪「サー・カ―マイケル・クラーク」が殺害されていた。

 ポワロはここに至り、被害者同士には何の繋がりも無く、犯人はただイニシャルが「A」「B」「C」の順に殺人を実施していると認識する。ポワロは3件の殺人の被害者の遺族を集め、手掛かりがないかと丹念に聞き取りを行い、三つの事件すべてで、ストッキングのセールスマンがいたことを突き止める。

 そんな中、「ABC」からの第四の手紙が届き、9月10日にドンカスターで犯行を行う旨が記載されていた。被害者遺族は犯人逮捕のためチームを組み、ポワロ・警察と共にドンカスターに向かう。厳重な警戒の中、またしても殺人が行われるが、今回は有力容疑者が見つかり、警察は「アレキサンダーボナパルト・カスト」という男を捕まえる。

 カストのイニシャルは「ABC」で、また四件の殺人で必ず犯行のあった町を訪問していた。またカストはセールスマンとして雇われ会社の指示でそれぞれの町を訪ねたと主張したが、会社側はカストを雇ったことを否定していた。さらにカストの部屋からは犯行予告の手紙を打ったタイプライターが見つかり、カスト自身は会社から送られてきたと主張するものの、裏付ける証拠は無かった。ただしカストには第二の殺人の際のアリバイがあった。

 警察と世間はカストが犯人という事で納得するが、ポワロはカストと会い、とても今回のような犯行を企てられる人間ではないと判断する。


 ポワロは警察と被害者遺族を集め、自分の推理を開陳する。カストは真犯人に陥れられた被害者であり、本当の殺人者は別にいる。四件の連続殺人は、針山に針が有っても目立たないように、連続殺人の中にその真犯人の目的とする殺人を隠すために行われた。

 アリス・アッシャーもベティ・バーナードも財産をもっておらず、殺しても得をする人間はいない。しかしサー・カーマイケル・クラークは大富豪でおり、しかも彼の妻は重病で余命僅かであり、彼女が死ねば財産はサーの弟のフランクリン・クラークのものとなる。この三番目の殺人こそが犯人の真の目的だった、と。

 フランクリンはポワロに証拠が無いと食って掛かるが、カストの持っていたタイプライターにフランクリンの指紋が付いていたと指摘すると、フランクリンは慌てて逃げ出そうとして警官に取り押さえられる。実は指紋云々はフランクリンにボロを出させるためのポワロのハッタリだった。


 事件解決後、ポワロは「ABC」の手紙が自分に送られて来た理由を種明かしする。犯人フランクリンにとって、本命の第三の殺人を安全に行うため、第三の犯行予告の手紙が早く届きすぎては困るという事情があった。そのため、第三の手紙は「住所の誤記」で遅配され無ければならず、そのため一個人のポワロが送り先に選ばれたのだった。もしスコットランド・ヤード宛なら、住所が間違っていても遅配されないからである。

 釈放されたカストはポワロに感謝し、新聞社からカストの体験談に100ポンド払うという申し出が来ている事を話すが、ポワロは500ポンド吹っ掛けるように助言するのだった。


感想

 熊倉一雄の声で有名なドラマ。あの有名な「ABC殺人事件」のドラマ化という事で見てみましたが、これがいい出来。

 長編推理小説を映像化すると、大抵二時間あってもまだ足りないもので、映画「ナイル殺人事件」なんか、犯行後に容疑者の証言を一通り聞いただけでもうポワロが事件を解決してしまう駆け足展開となっています(※それでも面白い映画ですけどね)


 ところが本作では、四件も殺人があるのに、1時間40分の尺でほぼ原作通りの内容を、変な駆け足感も無く余裕で収めており、ほとほと感心させられました。それどころか原作に無い「犯人が往生際悪く逃走して、警官たちに取り押さえられるまで」というシーンまで入っていたし(笑)

 まあ「四番目の殺人がDの名前の被害者でなかった」事をカットしていたのがちょっと不満だったのと、犯人は原作では若くてハンサムな男だったのに、このドラマではお爺ちゃんで「こんな老人がベティ・バーナードをナンパしてから殺すなんて無理だろ」と思ったのが引っかかったくらいです(笑)
 
 

世界が愛した名探偵、エルキュール・ポワロ。アガサ・クリスティーの名作ミステリーをドラマ化した大人気シリーズ『名探偵ポワロ』のハイビジョンリマスター版を完結編シーズン13まで放送します。
ポワロを演じるのはデビッド・スーシェ、日本語吹き替え版は熊倉一雄


原題:Agatha Christie’s POIROT
制作:1989年~ イギリス


出演者・キャストほか
エルキュール・ポワロ
(デビッド・スーシェ / 声: 熊倉 一雄)


 
テレビ版 名探偵ポワロ
テレビ版 名探偵ポワロ