【SF小説】感想「ヴィーロ宙航士の帰郷」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 680巻)(2023年1月6日発売)

ヴィーロ宙航士の帰郷 (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-680)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150123934
ヴィーロ宙航士の帰郷 (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-680) 文庫 2023/1/6
エルンスト・ヴルチェク (著), ロベルト・フェルトホフ (著), 嶋田 洋一 (翻訳)
出版社:早川書房 (2023/1/6)
発売日:2023/1/6
文庫:272ページ

【※以下ネタバレ】
 

プシ定数の正常化により"エスタルトゥの奇蹟"が消滅しつつあるなか、イジャルコルは十二銀河に新秩序を樹立すべく奮闘するが!?


十二銀河ではプシ定数の正常化によって“エスタルトゥの奇蹟”はことごとく消滅しつつあり、超光速航行は事実上麻痺した。通常路のいたるところに“プシオン的死の領域”である凪ゾーンが生じ、エネルプシ技術に支えられていた文明構造は崩壊していく。そんななか、永遠の戦士イジャルコルはただひとりほかの戦士たちを糾合し、かれらをシングヴァとの戦いに参加させ、十二銀河にあらたな秩序を樹立すべく奮闘するが…。

 

あらすじ

◇1359話 最後の戦士(エルンスト・ヴルチェク)(訳者:嶋田 洋一)

 エスタルトゥ12銀河では、プシ定数が正常化したことでエネルプシ技術が使用不可能となり、文明は崩壊を始めていた。永遠の戦士イジャルコルは、超越知性体エスタルトゥが帰還する日を信じ、その時のために12銀河に新秩序を構築すべくキャプテン・アハブ(ストーカー)と共に行動を開始した。他の永遠の戦士たちは、自決するかシングヴァの配下となっていたが、イジャルコルはムウン銀河を拠点として、全ての種族が平等に暮らす社会を作ることを決意していた。(時期:NGZ447年6月10日~13日とその前後)

※初出キーワード=惑星サングイン。サングイナー種族。衛星プロイサン。



◇1360話 ヴィーロ宙航士の帰郷(ロベルト・フェルトホフ)(訳者:嶋田 洋一)

 NGZ427年2月。ブルとイルミナ・コチストワは、“それ”から、年内にプシオン・ネットは消滅し、またヴィールス物質には別の使用目的があるため、ヴィーロ宙航士は故郷銀河に帰郷するようにとの指示を受けた。二人は7月31日を集結日と定め、エスタルトゥ12銀河に散らばるヴィールス船にメッセージを伝えた結果、当日までに全65万隻中50万隻が到着した。アトランはネットウォークで銀河系を目指し、ジェン・サリクの力でコスモクラートの呪いが解除されていることを確認した。(時期:NGZ447年2月~7月31日)

※初出キーワード=凪検知器


あとがきにかえて

・「第2回 飯舘YOITOKO発見!ツアー」に参加した話


感想

・前半エピソード 原タイトル:DER LETZTE KRIEGER(意訳:最後の戦士)

 永遠の戦士イジャルコルが、すっかり以前とは別人と化してエスタルトゥ12銀河の新秩序確立のため奔走する話。こういう話は大好きです。ヴルチェクがこういう感動ノリの話を書けるとは思わなかった。

 ところで……、最近のローダン・シリーズは翻訳者毎に用語の翻訳が微妙に異なる例が散見されますが(ヘクサメロンとヘキサメロン、等)、このエピソードでは同じ話の中ですら、P39「トレライシー」・P127「トレイシー」と食い違いがあります……、ちゃんとチェックして(涙)



・後半エピソード 原タイトル:ABSCHIED DER VIRONAUTEN(意訳:ヴィーロ宙航士への別れ)

 ヴィーロ宙航士の銀河系への帰還話と、作者オリジナルのキャラ・サラアム・シインの大活躍を描いた回。自キャラを物語のキーとなる重要人物にしてしまうあたり、フェルトホフはエーヴェルスに作風が近い(?)のだろうか……
 
 
 

675巻~700巻(「タルカン」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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