【SF小説】感想「滅びゆく宇宙タルカン」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 675巻)(2022年10月18日発売)

滅びゆく宇宙タルカン (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-675)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150123829
滅びゆく宇宙タルカン (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-675) 文庫 2022/10/18
エルンスト・ヴルチェク (著), クルト・マール (著), 工藤 稜 (イラスト), 嶋田 洋一 (翻訳)
出版社:早川書房 (2022/10/18)
発売日:2022/10/18
文庫:256ページ

【※以下ネタバレ】
 

ストーカーがソト=ティグ・イアンを倒し、故郷銀河に平安が訪れたことをグッキーから知らされ、ローダンたちは安堵するが……!?


ストーカーがソト=ティグ・イアンを倒し、故郷銀河に平安が訪れたことをグッキーから知らされたローダンたちは安堵した。残すは“不吉な前兆のカゲロウ”の問題だけだ。四星系植民国家タルカニウムが保有するバラ露がカゲロウに反応し、その影響で監視役をつとめるエスパーたちがつぎつぎに無残な死を遂げていたのだ!ローダンは永遠の戦士イジャルコルを仲介役に、ナックとカルタン人とを引き合わせようとするが…

 

あらすじ

◇1349話 カルタン年代記(エルンスト・ヴルチェク)(訳者:嶋田 洋一)

 ローダンたちは銀河系が永遠の戦士の支配から解放された事を知るが、タルカニウムにはナックの差し向けた「不吉な前兆のカゲロウ」の大群が殺到していた。ローダンたちはカルタン人とナックを引き合わせ、ナックはカルタン人が同胞であると認識し、カゲロウを退却させることを承諾した。

 一方、M-33(三角座銀河)では、オーグ・アト・タルカンカルタン人の秘密を明かした。カルタン人は異宇宙「タルカン宇宙」の種族で、他種族と共に、寿命の末期にあるタルカン宇宙から、故郷・ハンガイ銀河をこちら側の宇宙「メエコラー宇宙」に転移させる大計画を進めていた。ナックはそのためにプシオン・ネットの操作を担当し、オーグは第三の道の哲学でエスタルトゥ種族をこの計画に巻き込もうとしたが、シングヴァの陰謀で失敗し、カルタン人たちは力の集合体から逃走した。

 そして、《ナルガ・サント》は、ハンガイ銀河が転移する予定の、ドリフェルから4000万光年離れた宙域に移動し、タルカン種族はその近辺の銀河(M-33)に拠点を建設した。しかしタルカン種族は、異宇宙に移動した影響で遺伝子が変異し退行していくことが判明した。オーグは数世代のちに種族が再興できるように準備した後、深層睡眠に入るが、様々な理由により計画は破綻し、カルタン人の再興には五万年かかってしまったのだった。

 やがて手違いから不吉な前兆のカゲロウがタルカニウムに接近してしまい、貯蔵されていたパラ露が大爆燃した。同時に、M-33の近傍に異宇宙の銀河が出現した。(時期:NGZ447年1月1日~1月31日)(「ネットウォーカー」サイクル完結)

※初出キーワード=タルカン宇宙。



◇1350話 滅びゆく宇宙タルカン(クルト・マール)(訳者:嶋田 洋一)

 ドリフェル内部を調査していたローダンは、謎の衝撃で失神し、気が付くと異宇宙・タルカン宇宙に転移していた。ローダンは近くにあった惑星に向かい、この惑星「ベンタング」に基地を持つ「ハウリ人」と接触した。ハウリ人は高度な文明を持っていたが、宇宙の滅亡こそが完成で、そこから逃れようとするものは不信心者と見なす宗教を信奉し、特にカルタン人を憎悪していた。ローダンはハウリ人の宗教を全く受け入れられず、密かにベンタングを脱出した。(時期:NGZ447年1月31日~2月4日~)(「タルカン」サイクル開始)

※初出キーワード=ハウリ人。惑星ベンタンク。ヘクサメロン。支配者ヘプタメル。プシオン=サイバネティクス(プシ=サイバー)・システム。マグフルウ・マグハア銀河(ハンガイ銀河の別名)。シャムシュの連鎖真珠。


あとがきにかえて

・8月に海に遊びに行った話
・今後の仮題(1351話~1400話)


感想

・前半エピソード 原タイトル:CHRONIK DER KARTANIN(意訳:カルタン年代記

 ネットウォーカー・サイクル最終話。カルタン人の秘密が一気に明かされるエピソード。プシ定数の上昇とかプシオン・ネットの変質が、永遠の戦士たちの陰謀どころか、超越知性体エスタルトゥお墨付きの計画の一環だったという仰天の事実が明かされてもうびっくり。ネットウォーカーの五万年の歴史はなんだったのか……



・後半エピソード 原タイトル:TARKAN(意訳:タルカン

 ローダンが一人で異宇宙タルカンに転移させられ、一人で冒険する話。記念すべき新サイクルの一話目ですが、うーん、地味すきる。新サイクルの幕開けなのですから、もう少し心躍る展開にしてほしかった、というのが正直なところです。

 まあ、ローダンはネットウォーカー・サイクルでは殆ど出番が無かったので、その分一杯活躍させようということなのかもしれませんが……
 
 
 

650巻~675巻(「ネットウォーカー」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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